『ひるなかの流星』は少女漫画の原則を覆す?! 馬村大輝の魅力を結末から考察 ※結末のネタバレ有

『ひるなかの流星』は少女漫画の原則を覆す?! 馬村大輝の魅力を結末から考察 ※結末のネタバレ有
     

大学卒業以降職を転々としたが、幼い頃から三度のメシより本が好きなことを思い出し、自分には物書きしかないと一念発起。
現在はフリーライターとしてひた走る。
漫画は少女漫画を中心にオールジャンル読むが、闇が深いものとミステリー要素があるものが考察しがいがあって好き。

やまもり三香による『ひるなかの流星』は2017年に映画化もした人気漫画。

高校一年生の“与謝野すずめ”が田舎から東京に転校し、マイペースに周りを巻き込みながら恋に友情に新しい学校生活を繰り広げるお話です。

すずめが上京後に初めて出会い、初恋の相手となる担任の“獅子尾五月”や、東京での初めての友達“馬村大輝”はどちらも魅力的な人物でドキドキのシーンが満載です。
2人の間で心が揺れるすずめはどちらと結ばれるのか、結末が気になって最後までハラハラさせられる展開でした。

少女漫画では初恋の相手や先に出会った相手と結ばれることがほとんどで、獅子尾と結ばれるだろうと思っていた方も多いと思いますが、そのセオリーは覆されました。

今回は少女漫画の原則を覆した、“馬村大輝”の魅力に迫ります。

当て馬キャラから大逆転! 馬村の魅力とは

馬村大輝の魅力その1:女性慣れしていないところ

転校先の高校ですずめは馬村の隣の席になりますが、初めの馬村はとっても不愛想でスカしている印象でした。

その日の放課後、すずめは偶然馬村に出くわしますが、またしてもすぐに去ろうとする馬村。
転校初日に周りと馴染めなかったすずめは、もっと話がしたいと思わず馬村の手を引っ張ります。
すると、馬村は「ぼんっ」という効果音が出るほど顔が真っ赤になってしまい、腕で必死に顔を隠します。

男性所帯で育ってきて、女子とかかわる機会も少なかった馬村は、スカしていたのではなく、女性に免疫がないのを隠そうとしていたのです。

馬村が女性を苦手なことを内緒にすることを条件に二人は友達になりますが、その後少しずつ仲良くなり、すずめにだけは素直に心情を明かしたり、気にかけたり、真正面からぶつかるようになっていく馬村の変化が丁寧に描かれていきます。

特に印象的なのは、「オレが自分から触れた女はお前が初めて」というセリフ。

すずめに対する特別扱いがたまりません。

馬村大輝の魅力その2:意外と独占欲が強いところ

すずめは担任の獅子尾を好きになり、告白しますが、振られてしまいます。

その日偶然にも馬村とばったりと出会い、振られたことを伝えると、馬村はすずめを抱きしめて、赤面しながらも「お前、俺のこと好きになればいいのに」と告げます。

しかし、すずめは獅子尾への思いを捨てきれず、獅子尾も告白されたことからすずめを意識するようになり、二人は付き合うことになります。
結局、先生と生徒という禁断の関係であることを乗り越えられず、二人は別れることになってしまいます。

その後、2年生になって改めて告白した馬村に対し、すずめは、「まだ馬村への気持ちが恋かどうかはわからないけど努力したい」と伝え、二人は付き合うことになります。

馬村はすずめのことをそれまで以上に大切に扱い、二人のお付き合いは順調に進みましたが、それまでの経緯から、すずめが本当は獅子尾のことをまだ好きなのではないかという不安はあったでしょう。

実際、馬村とすずめが付き合い始めたことを知った獅子尾に、すずめは改めて告白され、動揺しますが、馬村はすずめを抱き寄せて、「かんたんにはなさねぇよ」とささやき、運動会のリレーで獅子尾と対決し、すずめは渡さないと宣言して見事に勝利します。

クールで照れ屋なため、なかなか素直になってくれない馬村ですが、大事な場面では男らしさを見せ、ライバルにも真っ向から勝負をして譲らないところが非常にカッコいいです。

馬村大輝の魅力その3:なによりもすずめを大事にしてくれる

獅子尾とすずめが付き合っていた際、そのことに薄々感づいていた馬村は、すずめへの思いを抱きながらも、獅子尾との別れを促すのではなく、ただすずめのことを気にかけていました。

クリスマス当日に獅子尾から会えないかもしれないというメールをもらって落ち込むすずめの様子を察した馬村は、一緒にクリスマスツリーを見に行こうと誘います。
その間も、獅子尾との付き合いがなかなか上手くいかないと悩むすずめの話を聞いてあげる馬村。

好きな人の恋バナを聞くなんて辛いはずですが、それでもすずめが笑えるように励ます姿はとても健気です。

付き合う前からずっとすずめのことを大切にしてくれていた馬村。
すずめもそれに気づいたからこそ獅子尾をあきらめ、馬村と向き合おうという決心をしたのでしょう。

そして、付き合い始めた二人は、課外学習で沖縄に行きます。

沖縄の観光地を廻り、順調に楽しむ二人でしたが、馬村は途中ですずめの様子がおかしいことに気づきます。
実は、すずめは東京にいる獅子尾が怪我をして病院に運ばれたことを電話で知ってしまい、気が気でなかったのです。

そこで馬村は、なんと、「お前が好きなのは獅子尾なんだ、気づいていないフリするな」とすずめを東京に送り出したのです。

馬村は自分の幸せよりも、本当に好きな獅子尾と一緒にいることがすずめにとっての幸せだと考えたのです。

沖縄に残った馬村は、「一時でもあいつの特別になりたかった」「こんなに早く終わりが来るなら、言っておきたかったことがたくさんあった」と後悔している様子。
しかし、メールでもすずめにそれを一切ぶつけない馬村は本当に優しくて、最後までステキな彼氏ですね。

まとめ

東京に戻ったすずめは獅子尾の元に向かいます。

獅子尾のけがは大したことのないものでしたが、二人は久しぶりに向き合って本音で話し合い、すずめは獅子尾が「自分の初恋の相手でした」と獅子尾に対する思いを清算しました。

そして、そのまま馬村のいる沖縄にとんぼ返り。
浜辺にいた馬村に抱き着いて押し倒すと、その勢いで、「馬村が好き。これからは私が馬村を幸せにする」と告白します。

ずっと自分を幸せにしてくれていた、自分を一番大切にしてくれたのが、獅子尾ではなく馬村だったと、迷いなく思えるようになったからでしょう。

最終話は「幸せにできる喜びを教えてくれたのは、君です」というエピローグで結ばれます。

これは、すずめと馬村の二人の気持ちだと考えられます。

自分主体で幸せになるのではなく、好きな人を幸せにできることが自分の幸せになるというメッセージ。

読んでいる最中は、すずめが獅子尾と馬村のどちらを選ぶのかは、最終話までわかりませんでしたが、思い返せば、馬村はすずめを気にし始めたころから、ずっとこのメッセージ通りの行動をしていましたね。

『ひるなかの流星』は、読者も読み終わった後に幸せな気分になれる素敵な作品でした。

 

引用元:Comee.net

 

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