『食戟のソーマ』 同じ月を見てきたって本当?月天の間の真実。

『食戟のソーマ』 同じ月を見てきたって本当?月天の間の真実。
     

サブカルクソ研究者。
英文学・言語学・メディア記号論を専攻。
新聞社を退職後、翻訳補助を通じて総合文化研究に携わるも、中の人がどオタクであった為に、研究対象は漫画、アニメ、ゲーム等に限られる。Twitter→@semiotics_labo

   

引用元:Comee.net

思い出す…懐かしき日を
自分が選抜を戦ったあの夜を

この舞台に立ったすべての料理人が
おなじ月を見てきたのだ

引用:附田祐斗・佐伯俊/集英社『食戟のソーマ』12巻 106~107頁

 

は?

 

同じ月を見てきた?毎年恒例?

いやいや、ちょっと待って。
月は太陽と違って見え方も出る時間もまばらですよ?

週刊少年ジャンプで連載中の人気料理漫画、『食戟のソーマ』。
秋の選抜料理大会・決勝戦では、試合会場となった月天の間の天井が割れ、月が見えている時間に料理バトルが行われる演出がありましたが、果たして現実に可能なのか。

細かい事が気になる筆者が検証してみました。

『食戟のソーマ』 同じ月を見てきたって本当?月天の間の真実

月は1日12度ずれる!

最初に気になったのは、月天の間の天井の開閉幅の狭さ。

一般的な水平スライド式の開閉屋根は、横方向に全開できる構造になっています。
しかし月天の間の場合、月の通り道となる一部分だけが縦方向に開いていますよね。

毎日同じ時間に月の動きを観察し続けると、1日ごとにおよそ12度ずつ、西から東に向かってずれていく事が分かります。
月と地球の公転周期をそれぞれ360で割り、地球の移動分を引いた数字が、地平線上から見た時の月が1日に移動する平均角度(12.191度)です。

月の1日の動き 360÷27.32(月の公転周期)=13.177度
地球の1日の動き 360÷365.24(地球の公転周期)=0.986度

13.177-9.986=12.191度

 

 

例えば2018年9月の東京の夜空を見てみると、

9月25日 21時 方位角:122.317度 高度:33.968度
9月26日 21時 方位角:109.545度 高度:29.056度
(方位角90度が真東の方角)

およそ12.8度、西から東に移動しています。

月天の間の天井は縦方向にしか開かない為、横方向に対してのマージンがありません。
ちょっとでも月の軌道が横にずれたら、もう見えなくなる。
月が会場のぴったり真上に来る日でなければ、月見の演出は成立しないのです!

もしも当日が曇天だった場合、翌日以降は開催時間を1時間ほど後ろに遅らせれば、月の位置がほぼ同じ方角になりますが、まさか深夜に開催する訳にもいかないでしょうから、それも1日程度しか余裕を取れません。

月天の間をデザインした人は、なぜ天井を横方向に開くようにしなかったんでしょうか…。
設計ミスじゃないのこれ?

月の出・月の入り、月齢は毎年異なる!

クリアすべき問題はそれだけではありません。

月は満ち欠けによって見え方が変わります。
開催日が必ずしも満月になるとは限らないのです!

秋の選抜の開催日を、月が真東(方位角90度)から昇る日だと仮定しましょう。
中秋の名月と呼ばれる時期に当たります。

 

出典:国立天文台 月の出入り http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2018/dni13.html

満月は月齢14.75の日です。

月見の演出を行うには、月が会場の真上に来る日でなくてはなりませんから、月の出の方位を毎年同じに合わせる事が必要となってきます。

春分・秋分頃の月が真東から出る時は、満月か新月に近い形になります。
このうちの満月が出る日を選べば、演出は達成できます。
ですが、2010年以降は満月から若干欠けて見える日がほとんどで、月の出の時間もばらばら。

完全な満月を愛でる事が出来る日は、数年に一度しか訪れません。

では、満月(月齢14.75)を開催日とすると、どうでしょう。

 

(出典:国立天文台 月の出入り http://eco.mtk.nao.ac.jp/koyomi/dni/2018/dni13.html)

今度は方位が最大14度ずれます。
月齢と出時間は一定に揃いますが、こうなると月天の間での月見はほぼ不可能です。

妥協点としては、

1.方位を合わせる事が第一条件
真東(方位90度)から月が出る日を選ぶ事が最も重要です。
月天の間の設計仕様上、ここは絶対。

2.開催予定日が満月でなかったら、前後1日を置いて満月を待つ
秋分頃の月が真東から出る時、およそ±1日で満月がやってきます。
1日くらいなら調整は可能です。

3.前後1日置いてずれた月の位置は、開催時間をスライドさせて調整
月の方位角は、前日の1時間前、もしくは翌日の1時間後とほぼ同じです。
これに合わせて開催時間もずらせばOK。

おお!

こうすれば何とか円満に開催できそうじゃないですか!

もちろん満月の調整が入るおかげで、スケジュールはよりタイトになりますが…。
天候が曇りでも予備日すら設定できなくなりますし。

時間がずれれば高度も変わりますから、もはや「同じ月」と言えるかも定かではない。

秋の選抜は運営が死ぬほど大変!

さて、秋の選抜料理大会の後、主人公の”幸平創真”ら1年生に愚痴をこぼしていた十傑メンバーが居ましたよね。

秋の選抜で―

食戟なんてしないでほしかったよ…

こっちは選抜が恙なく終わるよう苦心してたのにまさかの食戟2連発って…
諸々の手続きで奔走してタイムテーブルとにらめっこしてさ…
本気で肝を冷やしたよ

引用:附田祐斗・佐伯俊/集英社『食戟のソーマ』15巻 10~11頁

十傑の第一席、高等部3年の”司瑛士”先輩です。

この台詞には、

・月の出の方位と時間をチェックし決勝開催日を設定
・決勝開催日から逆算してトーナメントのスケジュールを組む
・準決勝前からは天気予報にも気を配り、予備日も設定
・「決勝は10日後」とアナウンス
・決勝戦に呼ぶ審査員3人の予定を押さえる

と、「1日でも遅れたらアウト」の過酷な運営を強いられながら、どうにかこうにか開催にまでこぎつけた、十傑評議会の苦労が滲み出ています。

遠月学園のブラックぶりが明らかになった今なら言える。

司先輩に謝れ!

まとめ

月天の間の衝撃の真実、いかがだったでしょうか。

月の出や月齢が一定ではない為に、毎年決まった日には開催できない秋の選抜料理大会。
その裏には、十傑評議会の知られざる苦労があったのでした。

遠月学園の財力をもってすれば、横方向にスライドする屋根に変える事も可能なはず!
いっそ試合会場を建物ごと移動させる方法もある!
生徒が過労死する前に、月天の間の設計の見直しを切に願います。

 

実家が下町の定食屋を営む中学生・幸平創真。目標である料理人の父を越える為、創真は修業の毎日を送っていた。しかし突然、父から料理学校への編入話を告げられ…!? 創造する新料理マンガ、ここに開演!! 【同時収録】特別読切 食戟のソーマ/番外編『倉瀬さんの日記』

引用元:Comee.net

 

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