2018年時点で世界累計売上部数3憶6000万部を誇る、尾田栄一郎氏の超大ヒット漫画『ONE PIECE』。
21年目となる今年4月に連載900回を超え、勢いは留まる所を知りません。
この漫画の特徴は何と言っても、世界観の奥深さにあります。
考察本の累計売上部数が60万部を突破するなど、謎解きは常に読者の高い関心を集め、物語が折り返しを迎えた現在でもネット上で考察が盛んに行われています。
今回は、そんな『ONE PIECE』の世界観をおさらいしてみましょう。
『ONE PIECE』の世界観
天竜人の「支配」とDの一族の「自由」
引用:File:Onepiece-welt.png – Wikimedia Commons
『ONE PIECE』の世界は、北から南までを縦断する赤い土の大陸(レッドライン)と、レッドラインに対して垂直に世界を一周する偉大なる航路(グランドライン)に分割された、
・東の海(イーストブルー)
・西の海(ウェストブルー)
・南の海(サウスブルー)
・北の海(ノースブルー)
4つの海で構成されています。
この世界を従えているのは、800年前に20の連合国が創設した世界政府であり、現在はネフェルタリ家を除く19の王族の末裔・世界貴族(天竜人)と、政府直属の下部組織・海軍によって4つの海が統治され、170カ国以上の国が加盟しています。
『ONE PIECE』を一言で説明するなら、
世界貴族(天竜人)による「支配」
vs
Dの一族がもたらす「自由」
この二項対立で織り成される逆転の物語です。
世界政府には、海賊団、革命軍、政府非加盟国などの対立する存在があり、
・海賊団 ゴール・D・ロジャーの遺言によって海へと駆り立てられる
・革命軍 世界政府に対するクーデターを支援
・非加盟国 世界政府への加盟を拒みテキーラウルフに送られる
それらはいずれも、「D」と呼ばれる一族の意志、「自由」と結びつきます。
Dの一族とは、20の連合国に滅ぼされた敗戦国の王族の血筋と考えられていて、この王国が栄えた100年間は、後の世界政府によって歴史上から完全に抹消され、空白となっています。
その為、一族の血を引く者達は「D」を隠し名とし、歴史の表舞台から身を潜めています。
空白の100年は、『ONE PIECE』の最大の謎。
Dの一族は空白期間を綴った石碑・歴史の本文(ポーネグリフ)を後世に残し、考古学者”ニコ・ロビン”がそれを読み解く事で、バックストーリーが少しずつ進行していきます。
こういった裏歴史は実際に数多くありまして、例えば日本では九州王朝(多元王朝)説が知られています。
7世紀末に大和王朝に滅ぼされ、国に纏わる書物は全て焚書、九州各地に点在する月読信仰だけが日本神話に習合された、というもの(諸説あります)。
その他にも世界史では、神聖ローマ帝国に敗れたザクセンの英雄・ヴィドゥキントが有名です。
部族を根絶やしにされた後、キリスト教に改宗させられた人物で、『ヴィンランド・サガ』のアシェラッドのように、本当の隠し名があったとされます(Widu=森、Kind=子供、「森の子」を意味する綽名)。
空白の歴史や隠し名は、歴史上の敗者がそこに居た事を示すもの。
『ONE PIECE』はこれを空白の100年の謎に非常に上手く取り入れています。
Dの一族にも面白い隠し名の人物が居ますね。
新七武海の”トラファルガー・D・ワーテル・ロー”の名前は、フランス皇帝・ナポレオンが大敗した、トラファルガー海戦および復位後のワーテルロー会戦から取られたと見られます。
ここから、作者・尾田栄一郎が敗者の歴史に注目していた事が伺えるのです。
引用元:Comee.net
支配なんかしねェよ この海で一番自由な奴が 海賊王だ!!!
引用:尾田栄一郎/集英社『ONE PIECE』 52巻 97頁
Dの名を持つ主人公”モンキー・D・ルフィ”の海賊王宣言は、世界政府による「支配」を終わらせ、800年間虐げられてきた「自由」を天竜人から取り戻す戦いを指しているのでしょう。
海賊王とはすなわち、真の自由を勝ち取った者の称号です。
Dの意志に導かれた先にある「自由」とは何なのか?
次項で詳しく述べていきましょう。
4つの海とひとつなぎの大秘宝
考察のポイントとなるのは、世界貴族である天竜人が、
「創造主」 もしくは 「神」
と呼ばれている事です。
引用元:Comee.net
そしてある土地では”Dの一族を”こう呼ぶ者達もいる…!! ”神の天敵”
”神”を仮に”天竜人”とするならば、お前達の目的は…!! この世界の破壊なのかもしれない”D”には”神”に相対する思想があるハズだ
引用:尾田栄一郎/集英社『ONE PIECE』 77巻 16~17頁)
天竜人は、神に最も近いとか、神に等しいという例え方ではない。
「神」そのものだと言います。
これはどういう事でしょうか。
『ONE PIECE』の世界には、人間の他に、魚人・人魚族、巨人族、小人族、手長・足長族、ミンク族など、様々な種族が居て、例えば巨人族は戦いの神エルバフの審判を受けたり、空島の一部では月の神の神話が残されていたりと、信仰する神も種族によって様々です。
なのに、天竜人がどの種族からも等しく「神」と認識されているなんて、おかしいですよね。
そこで注目したいのが、もう1つの呼び名「創造主」です。
引用元:Comee.net
「創造主」である王達は…それぞれの家族を引き連れ「聖地マリージョア」に住む事にした…
今もなお住み続け…世界に君臨するその…”創造主”の末裔達こそが…”天竜人”だ!!引用:尾田栄一郎/集英社『ONE PIECE』 73巻 24頁
創造主と言うからには、天地万物を創りたまいし唯一の神という、そんじょそこらの神とは別格の意味を備えているに違いありません。
現在の秩序を築き上げた業績だけでは絶対にこうは認識されないでしょう。
だとしたら、創造主とは4つの海に分かれた世界を、文字通り 「創造」 した のではないのか?
考えてもみて下さい。
・海王類が生息する海域・凪の帯(カームベルト)を、政府直属の海軍だけが通過できる
・それ以外は毒海蛇に船を引かせるか、自力で海王類を倒さなければ通過できない
・世界政府は海楼石の採取場所や加工方法を独占している
・それ以外は採取する事も加工する事も出来ない
世界政府にとっては都合が良く、海賊にとっては都合が悪いこの世界。
あまりにも出来すぎではありませんか?
このような勝者に都合の良い世界から想像するに、
天竜人は海を征服する力を保有し、その力を使って海を4つに分断した
と考えられるのです。
ご存知のように、この世界の海には「悪魔」が潜んでいます。
人をカナヅチにする、海の悪魔です。
悪魔の実は「海の悪魔の化身」と呼ばれていて、食した者はその身に悪魔を宿すのでしたね。
海の悪魔が持つ神羅万象の能力と引き換えに海に嫌われ、カナヅチとなる、と。
すなわち、「海」と「海の悪魔」は対立関係にある。
では、「海」と同等のパワーを持つ海楼石を使って「海の悪魔」を取り締まる世界政府は、この世界にとってどういう意味を持つのか、もはや説明する必要はありませんね。
世界政府とは、「海」を征服する者。
その頂点に立つ天竜人は、「悪魔」に対する「神」、という訳です。
天竜人は、神の力に相当する何かを保有しているはずです。
そうでなければこの大海賊時代に、世界の国々が大人しく従う訳が無い。
おそらくそれが、元天竜人の”ドフラミンゴ”が狙っていた「マリージョアの国宝」なのでしょう。
今から800年前、後の世界政府となる20の連合国は、「国宝」の力でDの王国を滅ぼし、世界の海を4つに分断、それぞれ分割統治した。
ひとつなぎの大秘法(ワンピース)とは、4つに分断された海を1つに繋ぎ合わせ、自由を取り戻した元の世界の姿であると考えられます。
Dの意志は、何者にも縛られない自由の海へと導いてくれているのではないでしょうか。
引用:『ワンピース』ポータルサイトの公式Twitterアカウント
ここで思い出して欲しいのが、主人公・ルフィが元々カナヅチであった事です。
ルフィは生まれつき「海」に嫌われていました。
「海」とはつまり、神・天竜人によって支配されたこの世界の事。
神の天敵・Dの一族の宿命を背負って生まれてきたとも受け取れます。
ここから考えると、悪魔の実でカナヅチになる設定も、どうやらDと関係がありそうですね。
先の海賊王”ゴール・D・ロジャー”がいかにして生まれたのか、どんな能力の持ち主だったのかが明らかになれば、この疑問も解消されていくはずです。
古代兵器プルトン、ポセイドン、ウラヌスの役割
最後に、古代兵器プルトン、ポセイドン、ウラヌスについても触れておきましょう。
3つの古代兵器は「この世界を滅ぼせる程の力」を備えているとの事ですが、ここで言う世界とはもちろん、天竜人が支配する世界を指すと見て良いと思います。
古代兵器の力が何であるのか、正体をはっきりと示したのが、魚人島編の人魚姫・”しらほし”です。
引用元:Comee.net
ジョイボーイと同じ時代に生きた人魚姫、もしかしてこう呼ばれてたんじゃないかしら
……つまり同じ力を持つしらほし姫も…これと同じ名を受け継ぐ事になる
彼女の……もう一つの名は… ”古代兵器”「ポセイドン」引用:尾田栄一郎/集英社『ONE PIECE』66巻 64~65頁
しらほし姫に目醒めた、海王類を動かす力。
これを使用すれば、海軍だけが通行できるカームベルトを消滅させる事が可能になるでしょう。
4つに分断された海の、北と西、東と南がそれぞれ繋がり、半分が戻ってきます。
魚人島編にはもう1つ伏線が残されていて、的中率100%の占い師・”マダム・シャーリー”が予言した、「ルフィの手によって魚人島が滅ぼされる」という未来が、実は完了していません。
これがポセイドンの使用を指しているのだとしたら、
天竜人が創った世界を滅ぼし、4つの海に地殻変動が起こる
↓
地殻変動によって海底10000mにある魚人島が消滅
↓
島民は”約束の舟”ノアに乗って浮上
という使用後の流れが容易に想像できます。
と同時に、海の上にある本物の「森」に連れて行くという、しらほしと交わした約束も守られます。
これと同じ事を、プルトン、ウラヌスにも当てはめると、
・「戦艦プルトン」(島一つを跡形も無く吹き飛ばす)
レッドラインの破壊に使用?
北と東、西と南がそれぞれ繋がると予想できます。
・「ウラヌス」(詳細は不明)
天空神ウラノスは、ギリシャ神話の世界を統治した最初の王です。
ティターン神族を生んだ父であり、ポセイドンらオリンポス神族の祖父になります。
ギリシャ語で「天」を意味しますが、ギリシャ天文学から見た「天」とは、天体(ホロスコープ)を表し、太陽や月、惑星および88星座の全てを表すのがこのお方、と説明するのが早いでしょうか。
ギリシャ神話では、ウラノスの妻・地母神ガイアが「創造主」です。
創造主と交わり天地を創造したのがウラノス、という関係性から考えれば、
天竜人による世界の創造が、古代兵器ウラヌスを用いて行われた
とも解釈できますね。
参考:『ギリシャ神話の世界』http://www.greek-mythology.info/
また、ウラノスはガイアの命令を受けた息子・クロノスに倒された神です。
この時、ウラノスはクロノスに対し、「いつかお前も自分の子供に倒される」と予言を残しています。
ウラノスの予言は、クロノスの息子・ゼウスによって成就されます。
ギリシャ3主神の関係性は、『ONE PIECE』の世界に符号するんですよね。
ウラノスとクロノスの戦いを「800年前の戦争」に、
クロノスとゼウスの戦いを「大海賊時代の戦争」に当てはめると、
原初の神族
ウラノス …Dの王国(2代目の王に倒される)
ティターン神族
クロノス …世界政府(3代目の王に倒される)
オリンポス神族
ゼウス …Dの意志を受け継ぐ者
このような構図が見て取れます。
古代兵器ウラヌスの正体が明かされた時、空白の100年の真実も、白日の下に晒される事でしょう。
まとめ
『ONE PIECE』の世界の真実を探求する旅、いかがでしたか?
800年前から続く「支配」と「自由」の戦いは、古代兵器の使用をもって終わりを迎えるはずです。
勝利を収めるのは果たして天竜人かDの一族か、今後の展開からも目が離せませんね。
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