人と人との繋がりで世界が輝きだす! 『金剛寺さんは面倒臭い』は誰もがハッピーエンドを迎える漫画であるッ!!

人と人との繋がりで世界が輝きだす! 『金剛寺さんは面倒臭い』は誰もがハッピーエンドを迎える漫画であるッ!!
     

サブカルクソ研究者。
英文学・言語学・メディア記号論を専攻。
新聞社を退職後、翻訳補助を通じて総合文化研究に携わるも、中の人がどオタクであった為に、研究対象は漫画、アニメ、ゲーム等に限られる。Twitter→@semiotics_labo

   

『ラブロマ』のラブコメ展開と、『タケヲちゃん物怪録』の異形との遭遇が合わさった、とよ田みのる作品の集大成と言える『金剛寺さんは面倒臭い』。

ですが、肯定的な人間関係が描かれている点は一貫しています。

今回は、人との繋がりが世界を繋げる漫画『金剛寺さん』をおすすめとして紹介します。

『金剛寺さんは面倒臭い』のここが面白いッ!

ノリは少年漫画

引用元:Comee.net

ある日、都内某所に突如として直径200mの「」が開いた。

それは地獄に繋がる穴だった!

地獄の穴から地上へ「」が現れた!

 

だがそれはッ!

本編とは大きく関わりの無い物語であるッ!!

 

本編は、鬼(♂)と人間(♀)の男女が、清い交際をするお話です。
地獄の穴はだいたいスルーです。

少年漫画だったら霊界探偵が出動している一大事ですよ。

 

3歳の時に地獄から逃がれてきた高校1年生の鬼・”樺山プリン”くんは、1学年上のエリート女子・”金剛寺金剛”さんに一目惚れします。

樺山くんが高校1年という事は、地獄の穴が開いて少なくとも12年は経過してるはずなんですが、この世界では鬼が普通にファーストフード店で働き、「最近鬼増えたわよネー」と人間側もめっちゃ馴染んでる様子で、誰も気にしていません。

というか鬼も普通に学校に通ってるんだね…。

お相手の金剛寺さんは、「聞きしに勝る堅物」と評されるほどお堅い性格。
カッチカチの鉄壁ガードに守られた心を、樺山くんの真っ直ぐな善意が溶かし、2人はお付き合いを始めます。

鬼だけど善意…間違っていません。

 

お付き合いを「死合い(しあい)」と呼び、

手を繋ぐ時の掛け声は「うおおおおおおおっ!!!!

 

語尾の「!」マークの数がラブコメ漫画じゃない。

 

血闘の空気漂う熱き視線が交差する狭間にッ!!!
1匹の蜻蛉が迷い込んだッ!!!
その中央に差し掛かった刹那ッ!!!
蜻蛉は爆ぜたッ!!!
尋常ならざる闘気のなせる技だったッ!!!

引用:とよ田みのる/小学館『金剛寺さんは面倒臭い』1巻 83~84頁

 

ちょいちょい挟まれるナレーションも、完全に『グラップラー刃牙です。
語尾に「ッ(促音)」がやたらと入るバトル漫画のノリです。

だが中身は少女漫画

しかし…!
心を溶かされた金剛寺さんの反応はどうでしょう。

 

朝起きても、通学中も、授業中も、夢の中も、拒絶しても、
君が心の傍にいるのだ。これは一体何なのだ…

引用:とよ田みのる/小学館『金剛寺さんは面倒臭い』1巻 62~63頁)

 

と、手で顔を覆い隠すこのシーン。

こ、これはまさか…!

”平匡”さんへの恋を自覚した時の、『逃げるは恥だが役に立つ』の”みくり”さんじゃないですか!

煮詰まった想いが表に出てくるのをとっさに手で覆い隠すという、『逃げ恥』では4巻18話かけて到達した境地に、『金剛寺さん』ではわずか2話で辿り着きます。

 

作者初の連載作『ラブロマ』も、第1話の最初の1コマ目で告白→すぐに交際と、かなり展開が早かったんですが、『金剛寺さん』でも同様に、樺山くんの心は第1話からすぐに輝きだします。

 

なあカオル、世界って美しいなあ!!!
世界が輝いて見えるんだ!!!

引用:とよ田みのる/小学館『金剛寺さんは面倒臭い』1巻 18頁)

 

樺山くんの台詞にある「世界が輝いて見える」は、『ラブロマ』にも出てきた台詞でして、同作品の2巻では4度も使用された、ラブラブな2人を言い表すキーワードなのです。

恋愛作品では、付き合うまでの過程に重きを置くのが定番。
しかし『ラブロマ』や『金剛寺さん』では、付き合った後の世界が違って見える様子を印象的に描いています。

樺山くんと金剛寺さんを取り巻くキラキラは、まさしく少女漫画の背景にあるそれです!

これまで気にも留めなかった風景が、好きな人を中心に輝き始める、人と人との繋がりを描くテーマが、とよ田みのるのラブコメ作品の特徴です。

人との繋がりで世界も繋がっていく

地獄の鬼である樺山くんが、なぜ地上にやってきたのかは、読み切り版『金剛寺さん』で説明されています。

 

 

柔道部のエピソードだけで別の漫画が作れそう…!

 

樺山くんは、育ての親である”婆ちゃん”に拾われて人の心を学び、金剛寺さんと出会った事で世界が輝きだすのですが、人と人との繋がりが世界をも繋げていく心の連鎖は、地獄と世界が繋がる設定に象徴されているように思えます。

鬼として生まれた樺山くんにとっての世界とは、地獄が全てでした。
ある日大きく繋がった人との世界は、どれほど眩しかった事でしょうか。

金剛寺さんのお父さん”金剛寺合掌”の台詞にも、連鎖の模様が表されていますね。

 

もし君が私の娘と深くつながりたいと考えているならば、
私とも深くつながることになる。
人と人とのつながりは君達だけでは終わらないのだ。

君の人生という名の物語に大きく関わり無いと思われる物が、
ある日大きくつながるのだ!!

引用:とよ田みのる/小学館『金剛寺さんは面倒臭い』1巻 103~104頁)

 

ふーむ、樺山くんの物語から世界を見ると、なかなか哲学的です。

 

『金剛寺さん』の面白さは、本編とは大きく関わりの無い物語が、ある日突然、本編と大きく繋がり、世界を輝かせる所にあると思います。

金剛寺さんが助けた妊婦に始まり、様々な人生が次々と繋がっていく、読むだけで幸せになれる漫画、それが作者の人生訓が詰まった『金剛寺さんは面倒臭い』です。

 

ところで。

筆者は漫画のテキストデータを集めて計量分析するという、暇人極まりない読み方を普段からしております。

『金剛寺さんは面倒臭い』では「!」マークが多用されていますよね。
暇な筆者はこれを数えてみました。

(擬音・擬態語にある「!」マークは含みません。)

 

 

「!」(びっくり)マークは、感嘆符、エクスクラメーションマークとも呼ばれ、少年漫画では特に多用される事で知られています。

『金剛寺さん』1巻で使用された「!」マークの合計数は何と、

1183個 !!

特に第1話の309個は、週刊少年ジャンプの1話平均(約300個)に匹敵するッ!

 

だがそれはッ!

本編とは大きく関わりの無い物語であるッ!!

まとめ

人と人との繋がりを肯定的に描く『金剛寺さんは面倒臭い』のご紹介、いかがだったでしょうか。

これも本編とは大きく関わりの無い物語ですが、実は作中で金剛寺さんは『ラブロマ』の2人とすれ違っています(1巻179頁)。

他の作品の登場人物も、探せば見つかるかも知れませんね。
1巻の続きはサンデーうぇぶりで読めますので、是非チェックしてみて下さい。

 

このヒロインには、付け入る隙などない!

口を開けば正論!正論!正論!
金剛寺さんはいつも正しい!
おまけに学業優秀&柔道の名手!
隙などまったくない彼女に、樺山くんは…よりによって恋をした!
彼の運命やいかに!?

ちなみに本編とは大きく関わりのないことだがッ!!
この世界は地獄と繋がっているッ!!

「ラブロマ」「友達100人できるかな」「タケヲちゃん物怪録」のとよ田みのるが贈るロジカルピュアラブストーリー!!

(C)とよ田みのる/小学館
引用元: Comee.net

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