『ペリリュー 楽園のゲルニカ』が描く戦場の日常とは?

『ペリリュー 楽園のゲルニカ』が描く戦場の日常とは?
     

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2018年の8月15日、日本は73回目の終戦記念日を迎えます。

当時のことを知る方々の高齢化により、戦争の記憶が風化してしまうことを危惧する声も多く上がっています。

今回は第二次世界大戦の日米戦の中でも、激戦地の1つとして知られるペリリュー島の戦いを描いた漫画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を紹介します。

作品紹介とあらすじ


昭和19年、夏。太平洋戦争末期のペリリュー島に漫画家志望の兵士、田丸はいた。そこはサンゴ礁の海に囲まれ、美しい森に覆われた楽園。そして日米合わせて5万人の兵士が殺し合う狂気の戦場。当時、東洋一と謳われた飛行場奪取を目的に襲い掛かる米軍の精鋭4万。迎え撃つは『徹底持久』を命じられた日本軍守備隊1万。祖国から遠く離れた小さな島で、彼らは何のために戦い、何を思い生きたのか――!?『戦争』の時代に生きた若者の長く忘れ去られた真実の記録!

(C)武田一義・平塚柾緒/白泉社(ヤングアニマル)
引用元:Comee.net

ペリリュー島の戦いとは?

本作が描くペリリュー島の戦いをご存じない方もいると思いますので、少しだけ説明させていただきます。
現在のパラオ共和国にあるペリリュー島で1944年の9月15日から、11月27日にかけて戦闘が行われました。

当時、日本はサイパン島、グアム島などが米軍により占領されており、戦況は悪化の一途を辿ります。
東南アジア方面におけるアメリカの狙いはフィリピンでした。
そこから台湾、沖縄、そして日本本土へと攻撃していこうという計画です。

そしてフィリピンへ向かう前に、日本軍による巨大な飛行場があるペリリュー島を標的にし、日本は重要な拠点の防衛のために大規模な軍隊を送ります。
これにより、米軍と日本軍によるペリリュー島での戦いが行われます。

この時のペリリュー島を守る日本軍兵士の数が1万人に対し、米軍は4万人と大きな差があります。
また、兵器に至っては100倍以上の差があったとされており、戦力差がとても大きいものだったことがわかります。

可愛らしいキャラクターデザインと戦争

本作のキャラクターデザインを一見すると、戦争を扱った漫画作品とは思わないかもしれません。
キャラクターはほぼ3頭身でデフォルメ化されており、まるでゆるキャラのような、可愛らしい印象を受けます。

しかし、描かれるのは戦場の現実です。
爆撃によって美しい島の自然は見る影もなく破壊されます。
そして、つい先ほどまで話していた仲間が、跡形もなく吹き飛ばされてしまう現実がそこには描かれています。

このキャラクターデザインと過酷な戦争描写のギャップにより、さらに強烈な印象を受けます。

死に慣れていく戦場の恐怖

主人公の田丸は漫画を描く普通の青年でした。
現代であればもしかしたら、この記事を読んでいたり、漫画家としてデビューしていたかもしれません。

そんな彼に与えられたのが「功績係」という仕事でした。
これは亡くなった仲間たちの最期を、家族たちに知らせるために手紙を書く仕事です。

しかし、誰も彼もが勇敢に戦い亡くなったわけではなく、家族としては信じられないような死に方をした仲間もいます。
そのため、時には誇張や嘘を交えながら、その最後を書いていくことに心を痛めながらも、功績係として任務を遂行していきます。

徐々に厳しくなる戦争、食べ物や飲み物にも困る生活、中には重症の仲間を見捨てることにもなります。
そんな時、初めは普通の青年であった田丸たちも、仲間の死や爆撃に慣れていく姿がこの作品では描かれています。
とても辛い状況ですが、そんな環境にも慣れてしまう……そんな愕然とする現実も描かれています。

まとめ

いかがでしたか?

いろいろと重い話になりましたが、戦争漫画としてはデフォルメ化された絵柄やキャラクターデザインもあり、だいぶ読みやすい作品です。

この夏、かつての日本の過去を知るためにぜひ手にとってほしい作品です。

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