近年、住居の一室を借り、その不動産の持ち主と同居する「間借」というスタイルが流行っています。
お笑い芸人の矢部太郎さんが「週刊新潮」で連載中の『大家さんと僕』は、8年以上の間借生活を描いたエッセイ漫画。
朝日新聞社主催の第22回「手塚治虫文化賞 短編賞」を受賞し、20万部突破の話題の作品です。
今回はそんな『大家さんと僕』の作品の魅力をお伝えしていきます。
『大家さんと僕』の作者について
1階には大家のおばあさん、2階にはトホホな芸人の僕。挨拶は「ごきげんよう」、好きなタイプはマッカーサー元帥(渋い!)、牛丼もハンバーガーも食べたことがなく、僕を俳優と勘違いしている……。一緒に旅行するほど仲良くなった大家さんとの“二人暮らし”がずっと続けばいい、そう思っていた――。泣き笑い、奇跡の実話漫画。
引用元:Comee.net
『大家さんと僕』は、お笑いコンビ「カラテカ」でボケを担当している矢部太郎さんの漫画家デビュー作です。
お笑い芸人としてだけではなく、俳優として映画やドラマに出演したり、クイズ番組で優勝したり、番組内の企画により、11ヶ月で4ヵ国後を習得し、その方法を記した書籍を出版したりと多彩な才能を発揮しています。
漫画を描くのは『大家さんと僕』が初めてのことで、本人が言うには、決して絵が得意という訳ではないようですが、漫画という手法をとったことで、文章だけでは伝えきれない、その時の空気のようなものまでが丸ごと描かれています。
何でもないエピソードにもオチがあったり、必要な情報だけを絵やセリフで伝えるようにすることで伝えたいことが伝わる構成になっていたりと、漫才をずっとやってきた経験が生きているのが分かる作品になっています。
『大家さんと僕』のあらすじ
『大家さんと僕』は、カラテカの矢部さんが引っ越しをした8年前から始まります。
新しく暮らすことになったのは、木造の一軒建ての2階。
お風呂やトイレなどは別ですが、1階には大家さんであるおばあさんが住んでいる間借の住宅になります。
80才になる大家さんはとても上品で優しい方ですが、雨が降ると洗濯物を取り込むように電話をくれたり、帰宅するたびに「おかえりなさい」という電話をくれたりと、初めは矢部さんがその距離感の近さに戸惑っていました。
しかし、頻繁にお茶に呼ばれ、大家さんの昔話を聞いたり、おすそわけを頂いたりするうちに打ち解けていきます。
大家さんとの何でもない日常がそのまま描かれた作品
『大家さんと僕』は、カラテカの矢部さんと大家さんの実際の関係ややりとりを描いた、限りなくノンフィクションに近い作品のため、なにか爆笑できる面白いエピソードが満載という訳ではありません。
例えば、矢部さんが自転車で近所を走っていたら大家さんを見かけたという、それだけのエピソードなど、ちょっとした日常が描かれています。
そのため、まるで2人の日常に一緒に参加しているかのように感じることができます。
淡々と描かれる2人のやり取りを読み進めていくうちに、登場人物2人の人柄の良さや居心地の良い空気感が伝わってきて、もっと2人のエピソードを見ていたいと思うようになります。
この作品の中では、永遠に続くかのような、ゆったりとした時間が流れていますが、大家さんがご高齢であることを思い出させるエピソードもあります。
リアルを描いた作品だからこそ、この関係には確かに終わりがあるという諸行無常も感じられます。
永遠に続いてほしいと思いながらも、どういうエンディングを迎えるのかが非常に気になる作品です。
まとめ
核家族化が進み、近所の人との付き合いも疎遠になってきた現代の日本で、貸す人と借りる人との出会いが生まれる「間借」が人気となっています。
これまでのコミュニティや年代、趣味も超えた新しい出会いであり、互いに思いやりの気持ちをもって接することが必要ですが、新しいことを知ったり、考えが変わったりと暖かい関係を築くことができる点が魅力だそうです。
『大家さんと僕』は、まさにそんな「間借」の魅力を描いた漫画。
読むだけでも暖かい気持ちになり、「間借」もいいかもしれないとワクワクした気分になれる作品です。
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