『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』が模索する正義の形とは?

『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』が模索する正義の形とは?
     

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突然ですが、正義の味方は好きですか?

子供の頃は「憧れのヒーローのようになって、地球の平和を守る!」
なんて夢を持っていた人も多いのではないでしょうか?

しかし、成長していくと世の中はそんなに簡単なものではないと思い知ります。

そもそも、正義とはなんなのでしょうか?

今回は漫画『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』の作中の描写を参考にしながら、少しだけ正義について考えてみませんか?

作品紹介とあらすじ

それは、戦災という名の“もうひとつの戦争”!!帝国陸軍情報部第3課、“復興”を担うモノたち。通称――PumpkinScissors(パンプキン・シザーズ)!!永き戦乱により荒廃しきった帝国各地。停戦後の3年間を奔走(ほんそう)するパンプキン・シザーズだが、なかなか成果は挙がらぬまま……。しかしある日突然現れた、大重量の単発拳銃を片手で操る“巨漢の復員兵”が、この国の《運命》を変えていく――!!!!

(C)岩永亮太郎/講談社
引用元:Comee.net

戦災復興を目指す物語

本作は『マガジンGREAT』で連載を開始し、現在は移籍し『月刊少年マガジン』で連載されている作品であり、2006年にはアニメ化も果たしています。

共和国と帝国による大規模な戦争が停戦し3年、人々の生活が落ち着きを取り戻しつつも、まだまだ戦争の爪痕は根強い帝国が舞台の物語です。
帝国陸軍情報部第3課に所属する女性、アリス・L・マルヴィン少尉の主な任務は戦災復興であり、人々の生活を支援することです。
ある任務の中、大柄の男性であるランデル・オーランド伍長と知り合います。
普段は温厚で、他の軍人のような威圧感を一切持たないランデルですが、腰につけたランタンを点灯させると感情や身の保身などを一切考えることなく、敵や戦車に向かっていきます。

非公式部隊に所属していたランデル

ランデルは戦時中、911ATTと言われる非人道的な実験の結果生まれた、非公式の部隊の一員でした。
戦車に対してその身一つで単身突撃し、強力な兵器によるゼロ距離射撃により戦車を破壊するという、常識では考えられない任務を与えられていた兵士の一人です。

そして戦後は情報3課に所属し、戦災復興に向けて任務をこなしていきます。
しかし、平和な世の中でも戦争による悲劇は全て終わったわけではありません。
戦車を乗りまわしたり、強力な兵器や権力で弱者を貶める軍人などを取り締まるため、情報3課、通称パンプキン・シザーズは力を尽くします。

『Pumpkin Scissors(パンプキン・シザーズ)』が示す正義の形

正義の味方に憧れるハーケンマイヤー

本作の13巻以降に登場するハーケンマイヤーという女性キャラクターがいます。
彼女は正義の味方に憧れており、好きな言葉は「正義(ジャスティス)」というほどの筋金入りの英雄好きです。
正義の味方(英雄)になるという目標のために、剣の名手である貴族の生まれという利点を生かし、剣術を必死に習得してきました。

そんな彼女が憧れる最大の存在がアリスです。
アリスもまた剣の名門と呼ばれる貴族の生まれであり、剣を振るう姿はまさしく英雄のようだと称されていました。

ハーケンマイヤーはアリスに理想の英雄像を重ねますが、アリスは子供の頃と違い、正義の味方になることを拒否します。
そして憧れのアリスに裏切られたと感じたハーケンマイヤーは、強い負の念に囚われるのでした。

正義ってなに?

正義、という言葉に違和感を覚える方もいるのではないでしょうか?

『正義の反対は、また別の正義である』という言葉もあるように、現代社会は正義と正義のぶつかり合いでもあります。
戦争にもなると互いの陣営が自分たちの正義を主張して戦います。
「いやいや、絶対の正義なんてどこにもないよ」というシニカルな態度をとる方もいるかもしれません。
実をいうと、筆者もそのような立場です。

しかし、本作はそうではありません。

帝国でテロ事件が発生し、アリスはテロリストと交渉をします。
その際に「アリス・L・マルヴィンの正義」を高々に宣言します。

アリスは「正義というものは存在しないと、本当に決めつけてもいいのだろうか?」と語ります。
実は、その諦めこそが真実の正義を模索することを諦める原因になっているのではないか? と考えます。

例えば、ライト兄弟が人間は空を飛ぶことができない、と諦めていたら、もしかしたら飛行機は生まれていないかもしれません。
無理だ、夢想だと諦めることが、果たして正しい態度なのだろうか? と疑問を抱きます。

そして彼女は絶対の正義を見つけるための足がかりの1つとして「アリスの正義」を宣言すること決意します。
それはある意味では傲慢でエゴイズムに溢れるものでもあります。
本作は「絶対の正義はない」と決めつけるのではなく、それを模索することがの方が大事なのではないか? と語りかけてきます。

ハーケンマイヤーの正義

自分の憧れの存在であったアリスに否定されて、心に深い傷を負ったハーケンマイヤーは、テロに巻き込まれてしまい心身共にボロボロな状態になります。
体は疲れ果て、心も折れているような状況で、それでも親とはぐれて泣いている子供に手を差し伸べます。
その様子を見ていた女性看護師はこう呟きます。

 

「弱りきったあなたが…すがるあの子を見捨てずにちゃんと手を差し伸べてあげた。
本当に弱っている時にそんなことできるなんて…すごいなぁ…って…
私も…だから…弱くても弱り切っても負けやしない…って…」

引用元:岩永亮太郎/講談社『Pumpkin Scissors』18巻87話180頁

 

その姿はたった一人の女の子と、一人の女性看護師を勇気づけました。
それこそ、まさしく「正義の味方」であり、英雄的行為でしょう。
敵を華麗に倒すことだけでなく、誰かが本当に困っているときに手を差し伸べる、それだって立派な正義だと言えるのではないでしょうか?

まとめ

いかがでしたか?

正義の味方の代表作であるアンパンマンを生み出したやなせたかしは「お腹を空かせている人に食事を分けてあげるのは、正義である」という言葉を残しています。

正義という言葉を聞くと、ちょっと痒くなるような感覚を覚える人もいるかもしれません。
子供っぽいと笑うかもしれません。

しかし、そのようにシニカルな態度ではなく、間違いだとしても正義を求め続けることが大事だと告げる本作の語る正義は、とても価値のあるものだと考えます。

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