リオ五輪閉会式のトーキョーショーにて、日本を代表する漫画文化として紹介された高橋陽一の傑作サッカー漫画『キャプテン翼』。
この漫画には、2つの続編が存在します。
高橋陽一による正統な原作続編と、テクモより発売されたゲーム版です。
引用元:Comee.net
原作 『キャプテン翼 ワールドユース編』
ゲーム 『キャプテン翼2 スーパーストライカー』
どちらもフランス国際Jr.ユース大会の3年後から始まり、U-19の頂点を決めるワールドユース選手権の優勝で幕を閉じますが、原作続編は連載打ち切りの憂き目に遭ってしまったがゆえに消化不良の部分が多く、『キャプ翼』ファンの間で、
テクモ版こそが正史!
という声が根強く存在するほどです。
なぜゲーム版のストーリーが高く評価されているのか?
『WY編』と『キャプ翼2』の違いを、順を追って確認してみましょう。
原作続編と『キャプ翼2』のストーリー比較
序章 → 親善試合 → アジア予選 → 本戦
この4つに分けたフローチャートで説明していきます。
序章
序章では、以下の流れで進行します。
『WY編』
葵新伍の章 → サッカーサイボーグ サンターナの章
『キャプ翼2』
リオカップ → 高校サッカー選手権
大きな違いは3つ。
新主人公・葵新伍の登場
原作では、後に全日本ユースチームの救世主となる、葵新伍が登場します。
葵のライバル、イタリアチームのサルバトーレ・ジェンティーレも初顔合わせしますが、WY本戦ではグループリーグで日本との対戦を前に日本の決勝トーナメント進出が決定、試合でもGKのヘルナンデスと共に怪我でスタメンを外れ、後半30分過ぎに申し訳程度に投入されて葵との因縁が決着する有様です。
そこは全勝同士の対決で良かったんちゃう。
カルロス・サンターナとの出会い
原作 ブラジル全国選手権の最終戦
ゲーム リオカップの決勝戦
ゲーム版が評価される理由は、リオカップで登場したサンパウロFCを含む7つの各クラブチームのライバルが、WY選手権でブラジルチームのもとに勢揃いし、最強の敵として登場する点です。
対する全日本チームも、高校サッカー選手権で登場した南葛高校を含む7つの高校から選抜され、決勝はジャパンオールスター対ブラジルオールスターの戦いになります。
原作の方はカルロス・サンターナの親友・レオが代表入りするくらい。
後はWY決勝戦にしか登場しないキャラばかりです。
高校サッカー選手権の結果
原作 東邦学園が南葛を下して3連覇
ゲーム 一昨年が東邦、昨年が南葛が優勝、3年目の今年はV2をかけて争う
原作では結果のみが伝えられ、試合シーンはカットされています。
親善試合
親善試合では、
『WY編』
最強の敵!オランダユース
『キャプ翼2』
ジャパンカップ
となっており、それぞれ対戦相手が異なります。
視点の違い
原作 全日本視点
ゲーム サンパウロ視点
ゲーム版では、サンパウロFCの一員として日本に凱旋した大空翼が、ハンブルガーSVの若林や、全日本チームと対戦します。
敵チームはガッツを消費しないという仕様上、必殺技を無制限に使用してくる最終戦の全日本がめちゃくちゃ強く、派手な打ち合いとなる熱い展開です。
オランダチームの存在
本戦の強力なライバルとなるはずだった相手との親善試合。
原作では、オランダチームとの3連戦です。
『ワールドユース特別編』に収録されています。
若林くんの右腕を破壊したオランダ代表のブライアン・クライフォートと、左腕を破壊したスウェーデン代表のステファン・レヴィンは、WY選手権の決勝トーナメントでそれぞれ対戦する流れになっていますが、そのうちの一方であるオランダチームとは、本戦前に親善試合で戦っています。
ブラジル全国選手権(5月~12月)、高校サッカー選手権(12月末~1月)の後に親善試合が行われたと思われますが、作中ではWYの前年(つまり高校サッカー選手権より前)に戦った、または翼の恩師・ロベルト本郷のブラジル代表監督就任(WY開催年の4月)の後に戦ったとあり、時系列に若干の疑問があります。
誠に残念なのは、WY本戦でのオランダ戦が連載打ち切りによりダイジェストで伝えられ、見開き2ページで終了してしまった事です。
クライフォートと若林くんの決着が描かれず、カットされました。
アジアユース選手権
アジア予選では、
『WY編』
アジア一次予選 → アジアユース選手権(二次予選)
『キャプ翼2』
アジア予選
原作の方が密度が濃くなってます。
リアルジャパン7の登場
原作では、リアルジャパン7(真の全日本、の意味)が日本代表の合宿に乱入し、全日本ユースチームと試合を行います。
結果は、全日本チームの逆転負け。
メンバーを入れ替えた2試合目も完敗し、岬、日向、立花政夫・和夫、早田、次藤、新田の主力7人が合宿を追い出され、チームから離脱する事に。
全日本のエース・日向小次郎とウルグアイ育ちのRJ7エース・火野竜馬は、この時からお互いをライバルと認め合う関係になり、WY本戦でウルグアイと決着を付けるまで続きます。
ゲーム版では翼くんとカルロスの関係のみが描かれましたが、原作では、
葵 vs ジェンティーレ
若林 vs クライフォート&レヴィン
日向 vs 火野
と、翼くんの脇を固める登場人物にもそれぞれライバルを用意し、お互いの必殺技を破る為に試行錯誤し、切磋琢磨していきます。
一次と二次に分かれている
原作の方はアジア一次予選とアジアユース選手権(二次予選)に分かれており、一次予選は主力7人を欠いた状態で戦います。
コンサワット3兄弟とキャプテンのブンナークを擁する強敵・タイユースに大苦戦しますが、前半途中からSGGK若林、イタリアから合流した葵新伍が出場し、辛くも勝利を収め一次予選を突破します。
二次予選となるアジアユース選手権では、主力7人が戻り、岬くんがブーメランシュート、日向くんが雷獣シュートを習得。
ウズベキスタン
ザンギエフ
サウジアラビア
マーク・オワイラン、バルカン
中国
飛翔、王忠明、呉俊仁、肖俊光
と、各国の強者が次々と現れます。
特に中国の肖俊光は、カウンターシュート・反動蹴速迅砲で、若林くんからペナルティエリア外のゴールを奪い、2本目で右腕を負傷させ、存在感をアピール。
次のイラク戦からの若林→若島津からの交代のきっかけを作ります。
ゲーム版では、アジア予選では中国と韓国以外は無名選手ばかりで、ライバルキャラが絡むイベントもあっさりしています。
ワールドユース選手権
本戦では、
『WY編』
予選リーグ(3試合) → 決勝トーナメント(3試合)
『キャプ翼2』
予選リーグ(4試合) → 決勝トーナメント(6試合)
試合数は異なりますが、基本的な流れはどちらも同じです。
翼くんの新必殺シュート
原作 スカイダイブシュート、スカイウイングシュート
ゲーム サイクロン
原作とゲーム版で、翼くんが習得する新必殺シュートが異なります。
『キャプ翼2』では、副題にあるスーパーストライカーがストーリーの鍵になっており、リオカップ決勝前夜にロベルト本郷から、ヘディングが苦手というハンデを抱えながら1000ゴールをあげたブラジルの伝説のストライカー・ジャイロと、幻の必殺シュート「サイクロン」の話を聞きます。
その後、WYのグループリーグ最終戦でフランスユースのピエールとナポレオンの合体技・スライダーキャノンを見て、ジャイロの必殺シュートの話を思い出し、決勝トーナメントを勝ち進むごとにサイクロン習得イベントが発生。
前提条件
ドライブシュートより落下が鋭く威力がある
ジャイロはヘディングが苦手
仮定
ジャイロは浮き球を全て頭以外で処理していた
その際に何らかの特殊な回転を空中で加えてシュートしていた
結論
ボールにバックスピンをかけて真上に蹴り、落下してきたボールをドライブシュート
嵐が吹きすさぶ夜のフィールドで、サイクロンはついに完成します。
この一連の流れと、必殺技習得シーンが激烈に格好良い。
雷光と共にボールがネットに突き刺さり、雨音に包まれながら静かに落ちる、そのネット越しに映る翼くんを、ゴール裏からの視点捉えるという見事なカットは、ファミコンの表現の極致とも言えます。
対する原作は、
スカイウイングシュート
日向くんの雷獣シュートと全く同じ原理
スカイダイブシュート
明確な反則(反スポーツ的行為に当たる)
うーん、何だかなぁ。
ラスボスの存在
原作 ナトゥレーザ
ゲーム コインブラ
原作もゲーム版も、WY決勝戦はブラジルユースが相手です。
そして試合途中から真のエース、背番号10が登場する所も同じ。
原作のラスボスは、アマゾン奥地からやってきたサッカー王・ナトゥレーザです。
後半44分から出場し、打ち下ろしのドライブオーバーヘッドをペナルティエリア外から決め瞬く間に同点にし、その後もフィールドを支配し続けました。
ゲームのラスボスは、完成されたスーパーストライカー・コインブラです。
特殊能力・倍速ドリブルの持ち主で、全ての基礎能力がカルロス・サンターナを上回り、なおかつ敵が単独で放つ必殺技の中では最強の威力を誇るマッハシュートまで使用する、手の付けられない強さです。
コインブラは、ゲーム序盤のリオカップで発生するイベントで初登場しており、そこで翼くんが持つ自分と同じ可能性に触れ、その後のWY決勝でお目見えした時の衝撃の大きさから、ラスボスに相応しい風格を備えていました。
副題であるスーパーストライカーを象徴する存在こそ、コインブラなのです。
対するナトゥレーザは、決勝でいきなり出てきたかと思うと、ひと通りの見せ場を作った後は、あっという間に決着してしまいました。
ゲーム版の決勝戦は、リオカップで戦ったライバルがブラジルチームに勢揃いする展開、スーパーストライカーとして覚醒した者同士の対決と非の打ちどころが無く、ストーリーが高く評価される要因となっています。
どうすれば原作は良くなったか?
打ち切りになっていなかった場合、どういう展開になっていたでしょうか。
屈指の良キャラであるサルバトーレ・ジェンティーレや、ブライアン・クライフォートが雑に扱われず、葵と若林との決着がちゃんと描かれたでしょうし、決勝・ブラジル戦では、最強の敵ナトゥレーザをいかにして攻略するか、作者のアイデアがもっと冴え渡ったはずでした。
特別編や1巻から広げた風呂敷が畳み切れなかったがゆえに、ゲーム版と比べて相対的に低い評価を受けたのだと言えます。
よって、
ジェンティーレ vs 葵の決着
クライフォート vs 若林の決着
ナトゥレーザを全員サッカーで攻略する
この3点が改善されてさえいれば、『ワールドユース編』のストーリーの軸が完成していたと考えられます。
作者自らが手掛ける続編への期待の大きさ。
その反動も大きかったという事でしょう。
まとめ
『キャプテン翼』の原作続編とゲーム版の違い、いかがでしたか?
原作とゲーム、それぞれに良さがあり、原作は試合展開の濃密さに、ゲーム版はラストに集約されていく展開に評価が集まっていると思います。
どちらのストーリーが良いかは、結局は受け手次第ですので、どちらも楽しむのが最良の選択なのかも知れませんね。
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引用元:Comee.net
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