僕がジャケ買いして正解だったシリーズ②『ロッキンユー!!!』

僕がジャケ買いして正解だったシリーズ②『ロッキンユー!!!』
     

1982年生まれのサラリーマン。息子と娘の四人家族。
『あひるの空』の考察ブログ『あひるの空ヘビーローテーション+』(
http://blog.ahirunosora.net)
を趣味で執筆中。
ライター名の由来はそこから。
Comee mag.では『あひるの空』以外の漫画についてあれこれ書いています。

   

最近始めた漫画のジャケ買い。

第1回で紹介した『ひさかたのおと』は、書店に1時間居座って厳選に厳選を重ねた甲斐もあって大当たりに終わった。

 

【僕がジャケ買いして正解だったシリーズ①『ひさかたのおと』】

 

「ジャケットは中身ほどに物を言う」ということわざを作ってもいいのかもしれない。

そう思えたのは、2冊目となるジャケ買いがこれまた当たりだったからだ。
今回紹介する『ロッキンユー!!!』も大当たりだった。

今回のジャケ買いのポイント

僕は今回、「電子書籍のジャケ買い」という未知の領域に一歩足を踏み入れた。

電子書籍の購入自体初めてで、僕にとっては書店でのジャケ買いよりもドキドキし、最後の購入確定ボタンを押すまでに悩みに悩んだ。

買ったのにそこにない不安。

僕が電子書籍に感じる不安だ。

スマホやタブレットを持っていればその感覚は違うのかもしれないが、僕は現役バリバリのガラケーユーザーであり、電子書籍はパソコンで読むことになるため、紙の本と同等の携帯感がない。

だから、なんだか不安になる。もっといえば、実体がないから損をした気分になる。

僕はまだそんなアナログ人間なのだ。

しかし、今回買った『ロッキンユー!!!』は、電子書籍もありかもしれないと思わせてくれる漫画となった。

ではまず、『ロッキンユー!!!』をジャケ買いするに至ったポイントをお伝えしておこう。

 


高校の部活レクリエーションで1人の地味で暗そうな生徒が演奏した音楽「ロック」。その演奏に心を奪われた真神(まがみ)たかしは、ロック研究会の戸を叩く…。そこでたかしが出会ったモノとは…!? 青春ロックストーリー第1巻!

引用元:amazon.co.jp

 

ジャケ買いポイント① web漫画だからweb映えしたのか!

電子書籍の書店のいいところを挙げるならば、全て表紙が顔(表)を見せているところだ。
リアルの書店ではそんなことはない。
むしろ背中を向けた漫画が殆どで、レコードをジャケ買いするDJの如く、書棚から出し入れする不便さを前回のジャケ買いで感じていた。

しかし、電子書籍では当然表紙が顔を見せていて、一目で表紙を閲覧できる。そのことは今回のジャケ買いに大きく影響した。

『ロッキンユー!!!』を初見の際、僕の目に飛び込んできたのは『ロッキンユー!!!』というタイトルだ。

商品名として「ロッキンユー!!!」とあったからこそやっと読めたタイトルだったが、デカめ・太文字・赤文字・ドカーンのこのタイトルは、見事にweb映えしていた。

この時、僕はまだ『ロッキンユー!!!』がweb配信の漫画だということを知らなかったが、一読し『ロッキンユー!!!』のことを色々調べ始めてすぐに、この漫画がweb漫画であることを知る。

表紙が顔を向けているからといって、僕の小さなノートパソコンではデスクトップのアイコンと同等のレベルで小さな表紙があるだけだった。にもかかわらず、おっ!と手を止めたのは、やはりweb漫画の独特の匂い、つまりweb映えする工夫が凝らされているのだろうと思う。

ジャケ買いポイント② 少女の物語…ではなかったけど

表紙を拡大してみると、若者がギターをかき鳴らす様子がタイトルの後ろ一面に描かれていた。

男の子とも女の子ともとれない眼鏡の若者だ。

僕はここでてっきりこの若者を女の子だと思い込み、『ロッキンユー!!! 』は冴えない少女のバンド物語なんだ早合点した。

僕は、シャカリキな少女の姿が描かれると、どうも応援をしたくなる、そんなお年頃なのです。

この時点で買うことは殆ど決まっていたのかもしれない。

その誤解は数ページ読み進めても気づかなかったわけだから、この表紙で到底判断することはできなかった。

さらに数ページ読み進めると見開きのページが登場する。

そこで咆哮する彼女とそれに魅了される主人公の場面だ。

ここでようやく彼女ではなく、「彼」であったのだと僕は気づいたわけだが、その頃にはもうこの作品に魅了されていた。

ジャケ買いポイント③ギターを弾いている躍動感と粗削りな画の先にはロックが待っている!

僕のマウスポインタを購入確定ボタンに進めたのは、やはりこの表紙の画だ。

ギターを弾くこの躍動感と粗削りに乱暴な画。

この先に待っているのはロックな漫画であることを確信したのである。

僕は『あひるの空』の日向武史先生の影響で、近頃とにかくロックミュージックを聴いている。

過去にバンドをやっていたわけでも、「NO MUSIC NO LIFE」と言い張れるほど音楽が好きというわけでもない。

好きな作家がロックをこよなく愛している人だからという理由で、ただただ聴いているようなものであるのだが、そんな僕でもページを開いてみたいと思うロックがその表紙の先にある気がしたのだ。

『ロッキンユー!!!』ってどんな漫画?

一読し『ロッキンユー!!!』について調べてみると『ロッキンユー!!!』には前身となる『ロッキンオン!!!』という読み切りが存在していることを知った。

『ロッキンオン!!!』は、2017年8月26日に集英社が運営する漫画投稿サービス「ジャンプルーキー!」に投稿されるや否や、Twitterで一気に注目を浴びたようだ。

Twitterにその爪痕が残っていた↓

《はァ〜〜〜〜なんだこのドチャエモ性癖漫画はァ〜〜〜贅沢が過ぎるんだが〜〜〜〜〜〜〜??????》

《「ロックなんてやってるやつみんなキモいに決まってる」名言だ。ナンバガピロウズイースタンユースってガチベタ感もいいぞう!》

《これはなんか予感がする。重点チェック。》

《2017年にとんでもない漫画出てきた》

《あまりにも良すぎて呆然としてしまった…》

《RTで流れてきた。身近な友人全員にLINE送って共有したいという気持ちがズンッて来るくらいドストライク案件音楽漫画だった。俺は家に帰ったらNUMBER GIRLとお野菜サンバを聴く。》

《あああああ!!!これだよォおおおおお!!!チャラくてイケイケモテモテとかじゃねーんだよぉ!!!キモくて泥臭くてエグいほど刺さるのがロックなんだよぉッッ!!!!》

《えっすごい好き、表現方法がすげーーーーー特殊っていうか癖があるけどめっちゃ好き》

《何度でも言うけど、音楽好きは読んでくれ!! 最高だから!! そして、続編が掲載されるように、お気に入りしよう!》

《さっきから話してる漫画はこれです。この内容でこのタイトルなんだからもう一切ブレーキ踏まずに突っ走って、おじさんたちの全身をかゆくさせたり一部の若者の道を痛々しく踏み外させてほしい。》

《ナンバガとかeastern youthとか主人公の音楽の趣味が古臭すぎて最高。良い趣味してる。ほんで漫画としても面白い。連載じゃないのもったいないなぁ、もっともっと読みたい。》

こうして音楽好きを中心に人気を集めた『ロッキンオン!!!』は、2018年4月7日から『ロッキンユー!!!』として、webマンガ誌「少年ジャンプ+」にて連載を開始し、”コーンフレーcu”改め”石川香織”先生の初連載となる漫画となった。

今ではダ・ヴィンチとniconico主催の2018年「次にくるマンガ大賞」の”webマンガ部門”にもノミネートされ、人気絶頂の漫画だと言えよう。

僕も「次にくるマンガ大賞」にしっかりと『ロッキンユー!!! 』を1位で投票させていただきましたよ。

『ロッキンユー!!!』のあらすじ

「モテたい」一心で高校デビューを狙っていた主人公真神たかしは、まだ入る部活も決めかねていた。

ある日行われた部活紹介で、”ロック研究会”の紹介が始まった。そこには想像とは違う暗くてキモい2年生の不二美アキラが一人、舞台へと立った。

 

引用:少年ジャンプ+公式twitterアカウント

 

演奏が始まると不二美は豹変しギターを掻き鳴らし、歌詞すらも聞き取れないほどの爆音を轟かせ、歌とも言えない咆哮を見せつけた。

演奏したロックナンバーは、そこにいた誰もが知らない曲で、そんな演奏が突き刺さる者は誰もいない…ハズだった。

しかし―

 

引用:少年ジャンプ+公式twitterアカウント

 

その演奏を目の当たりにした真神に深く突き刺さってしまう。

真神はロック研究会の戸を叩くことをそこで決める。

入部した真神はさっそく不二美に薦められる曲を聴き込み、どんどんロックにのめり込んでいった。

そしてある時、部室で「今一番推してる」という曲を聴くように言われる。

それを聴いた真上は「こういうのが聞きたかった」と絶賛した。

その曲は不二美の作った曲だったのだ。

それを知った真上は、

「不二美さんの作った音楽…世に出したいよ!!!」

と言い、「バンドをやろう」と言い出した。

それに対し、過去にバンドを組んで苦い経験をしたことのある不二美は「100人いたら99人に無視されて1人に刺さればいい」と自分の音楽を言い捨て、バンドを組むことを拒否する。

しかし、真上は「俺みたいなバカに刺さるんだから、みんなにも分かるに決まってるんだよ!!!バンドしましょう、不二美さん 俺は100人に刺したい!!!」と言い張り、不二美をバンドへと突き動かした。

そこからロック研究会の部員探し=バンドメンバーの探しが始まる―。

『ロッキンユー!!! 』の面白さはニワカでも十分ついていける。

「ロック研究会」を中心に描かれる本作は、「研究会」という名だけに軽音部を描いた漫画とは一味違う音楽系漫画となっている。

作中には「NUMBERGIRL」や「フジファブリック」といった実際のバンドが引用され、時に楽曲の解説が加えられるのだ。

作中の言葉を借りるなら、『ロッキンユー!!! 』はオルタナな漫画(新進気鋭の漫画)だ

ところが、紹介される楽曲はニワカ(にわかファン)を突き放すような曲ばかりだ。

・『透明少女』NUMBERGIRL

・『桜のダンス』NUMBERGIRL

・『桜の季節』フジファブリック

・『ワールズエンド・ダンスホール』wowaka(現実逃避P) feat.初音ミク、巡音ルカ

僕はどれも知らない曲だった。

でも、これをきっかけにこれらの曲を聴いてみることで、真上の気持ちに寄り添えるような、そしてロック研究会の一員になったような、そんな気分にさせられる。

「アンテナ張ってない奴にへこへこして呼び込んで!うっすい所で話合わせるのとかさ!!できねえし!!!」という不二美に突き放されまいと、いつしか必死になって聞き込んでいる自分がいる。

音楽好きに注目された『ロッキンユー!!! 』だが、ニワカでも必死でついて行きたいと思わせる仕掛けがたくさん詰まった音楽系漫画なのである。

そもそも「ロック」って何??

さて、ロック、ロックとこれまで連呼してきたが、

「『ロック』って何ですか?」

この質問に即答できる人はいるのだろうか。

「どうして人を殺してはいけないのですか?」

という質問と同じように僕らを悩ませる質問の1つであると思う。

『ロッキンユー!!! 』には「ロックって何?」の答えがしっかりとある。

 

引用:少年ジャンプ+公式twitterアカウント

 

「ロックなんかやってる奴 キモいに決まってるだろ!!!!」

そう言い捨てる不二美の言葉が引っかかっていた真上が出した答えに、「ロックとは」の全てが詰まっているように僕は感じた。

「キモいけどかっこいいんだよ!!」

この言葉に尽きるのではないだろうか。

「〇〇だけどかっこいい」全部ひっくるめると「やっぱりかっこいい」に落ち着くのがロックなのだ。

まとめ

「まだガラケー使ってんの?」という問いかけはうんざりするほど聞かされた。

そんなとき決まって伊坂幸太郎先生の本で言っていたことを思い出す。

 

外には携帯電話の売り場があって、〈中略〉脇の幟にには、『世界が携帯電話に繋がっている』とあるが、あながち大袈裟にも思えなかった。
神に抵抗する唯一の方法は、子供を作らないことだ。ある小説にこう書いてあったことを蝉は思い出した。今は違う。神に抵抗する唯一の方法は、携帯電話を持たないことだ。

引用:伊坂幸太郎/角川書店『グラスホッパー』 112ページ

 

これもまた、今は違う。
神に抵抗する方法は、スマホを持たないことだ。

情報の出所もわからないことに「いいね」をして、知らなくてもいいことをその場で調べては一喜一憂する。

スマホは我々人間の感情をも司どり、世界を手玉に取り始めた。

世界を創っているのはスマホなのではないか。

一方でガラケーはどんどん配信コンテンツは閉鎖され、便利さを失いつつある。

お店に行けば「当店のアプリは―」と度々案内され、「ガラケーなんで」と恐縮しなければいけない始末だ。

ガラケーは世界から疎外され始めたのだ。

「なんでスマホにしないの?」

答えの定まっていない頃には、「変えるタイミングがなくてさ」とか「電話しかしないから」とか「今電話代2千円だしさ」などと誤魔化していた。

しかし、口にはしないものの今では「神に抵抗しているんだ」という思いでいる。

じゃあ、なんで神に抵抗しているの?と聞かれたら、答えに詰まる。

そこまで突っ込んでくる人はいないだろうが、答えを用意することができた。

「なんでスマホにしないの?」

「神に抵抗しているんだ」

「じゃあなんで神に抵抗しているの?」

「ロックだからだ」

『ロッキンユー!!! 』を読んだ今、そう答えようじゃないか、と僕は思っている。

『ロッキンユー!!! 』をとにかく色んな人にオススメしたい。

世界と繋がるべきは携帯電話でもなく、スマホでもない。

ロックなのだ。

それを教えてくれるのが『ロッキンユー!!! 』なのだ。

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