戦国時代ときくと、屈強な武士による合戦が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか?
鎧兜に身を包み、刀や槍を掲げて馬に乗り颯爽と駆ける、その姿に憧れを抱く方もいるでしょう。
特に近年はゲームなどの影響もあり、戦国武将など歴史上の人物のファンは男女を問わず増えています。
しかし、戦国時代とは合戦だけの時代ではありません。
海外との貿易や、豪商や武将がパトロンとなり財力と権威を示すために、意匠を凝らした美術品を求ました。
その結果、華やかな安土桃山文化が花開いた時代でもあります。
今回はそんな戦国時代の文化に着目した作品『へうげもの』について紹介していきます。
合戦下手な主人公!? 古田織部について
引用元:Comee.net
本作は2005年から20017年にかけて『モーニング』にて連載されていた作品です。
2011年にはNHKにてテレビアニメ化も果たしました。
主人公は古田織部(ふるたおりべ)(※正式には古田佐介重然ですが、この記事では広く知られている古田織部の名前を用います)ですが、もしかしたら聞いたこともない方もいるかもしれません。
それもそのはず、織部は決して戦で大活躍した名将ではありません。
歴史ゲームにおいても政治や知略の面ではそれなりのステータスが与えられていますが、戦に関する数字はからっきし。
戦国時代では、どちからといえば地味な存在と言えるでしょう。
作中でも武将として合戦で名を上げるのか、それとも好きな美術品を収集するのか悩む姿が多く目につきます。
武士として活躍し、出世して家名をあげることを第一とする武家の常識は理解しつつも、自分の大好きな美術品にも熱をあげたい……一寸先は闇の戦乱の世を、葛藤を抱えながら迷いながらも生き抜きます。
織部は茶器などの美術品に非常に目が利く男でした。
その結果千利休(せんのりきゅう)の高弟である”利休七哲”のひとりとして名を残し、織田信長(おだのぶなが)、豊臣秀吉(とよとみひでよし)、徳川家康(とくがわいえやす)の三英傑にも仕えた武将です。
正直にいえば、本作において織部の描かれ方は決してかっこいいものではありません。
しかし、その俗人のように美術品に対する執着が捨てられない様などはとても人間臭く、どこか憎めない印象を与えます。
武力だけでは生き残れない時代
戦国時代といえば合戦が多く発生し、武力がものいう時代だと思われがちです。
しかし武力以外にも政治や外交の手腕も重要になってきます。
武力には自信があったものの、気がつくと政治闘争や外交の失敗により、悲惨な最期を迎える武将も少なくありません。
特に織部が使えた三英傑は、性格も大きく異なります。
海外にいち早く目を向け、美術品にも目が利き、厳しい一面を持つ織田信長。
派手好きであり、天下統一後は豊臣政権の地盤を固めることに尽力した豊臣秀吉。
質素倹約を至上とし、派手な文化を禁じた徳川家康。
この3人に気に入られ、生き残るためには様々な政治的な駆け引きも必要です。
織部は、その卓越した目利きと文化人としてのスキルを活かし、特に後年になるとより多くの武将と交流し一目を置かれる存在になります。
武ではからっきしの男ですが、乱世を生き残るための処世術に優れた人物だったことが伺えます。
本作自体が「ひょうげた」作品
織部が表現者として目指した境地は「乙」でした。
今でも「乙なもの」、という言葉があります。
織部曰く「甲乙丙のうち、最上であり誰もが認める最も優れたものが甲であるならば、自分はそれには少し劣るがどこか笑ってしまう乙なものを作ろう」という意味で、乙の境地を目指していました。
本作のタイトルである『へうげもの』の読みは「ひょうげもの」であり、ひょうげとはひょうきんなもの、ふざけるなどの意味があります。
作中で織部が目指すこの境地を、本作は見事に表現します。
豊臣秀吉が亡くなる際、ある有名なCMソングの歌詞が載りました。
当然のことながら、本作の舞台となる1600年前後にその歌は存在するはずもありません。
普通の歴史物であれば、歴史に反する表現ですから禁じ手とする作家もいるでしょう。
その禁じ手を使ってでも表現したもの、それは乙の精神であり、ひょうげの精神です。
私はその死に様と歌詞があまりにも合いすぎていて、ゲラゲラと笑い、乙な表現だと感心しました。
どんな歌詞なのかは、ぜひ読んで確認してください。
度肝を抜かれること間違いなしです。
決して万人が認める重厚な素晴らしい表現ではないかもしれない、しかしバカバカしくて笑える、そんな表現を模索していました。
本作は織部の魂や表現したいことを、余すことなく表現した作品です。
まとめ
いかがでしたか?
古田織部や戦国時代の美術と聞くと、あまり馴染みがないためにとっつきにくい方もいるかもしれません。
しかし、作中では国宝、重要文化財となる傑作を多く生み出す本阿弥光悦、風神雷神図などを書き上げる俵屋宗達などの華やかな安土桃山文化を支えた、多くの文化人も登場します。
もちろん、戦国武将もたくさん!
特に伊達政宗などは独眼竜にそぐわぬ、強烈な印象を残します。
新しい戦国時代の見方を教えてくれる本作、ぜひ手にとってみてください。
群雄割拠、下剋上の戦国時代。立身出世を目指しながら、茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。織田信長(おだのぶなが)の家臣・古田左介(ふるたさすけ)。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千宗易(せんのそうえき=利休)から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。生か死か。武か数奇か。それが問題だ!!
(C)山田芳裕/講談社
引用元:Comee.net
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