小学生が恋したのは実の母親!?『ハッピーファミリー』は、普通じゃないけどステキな家族愛を描いた作品

小学生が恋したのは実の母親!?『ハッピーファミリー』は、普通じゃないけどステキな家族愛を描いた作品
     

大学卒業以降職を転々としたが、幼い頃から三度のメシより本が好きなことを思い出し、自分には物書きしかないと一念発起。
現在はフリーライターとしてひた走る。
漫画は少女漫画を中心にオールジャンル読むが、闇が深いものとミステリー要素があるものが考察しがいがあって好き。

   

『ハッピーファミリー』は、ゴスロリ雑誌のイラストも手がける三原ミツカズ先生の作品。
作品内でもパンクやゴシックテイストのおしゃれなファッションを着こなし、生き方にも信念を持った個性的な登場人物が多く登場します。
『ハッピーファミリー』のストーリーも、小学生のなるとが父親を追い出して母親と結婚しようとする奇抜な設定です。
表紙やあらすじから、趣味には合わないのでは……?と敬遠される方も多いかもしれません。

しかし、『ハッピーファミリー』はキャラクターの心理描写が丁寧に描かれていて、自分とは違う生き方をしているキャラクターでも心理部分ではしっかりと共感でき「こんな家族の形」や「愛の形」もあるんだと感銘を受けるおすすめの作品です。

なるとの両親の馴れ初めを描いた『ハッピーファミリー エクストラ』と合わせて読むと、両親がどんな思いでなるとを育てているのか、家庭を作ろうと思ったのかが分かり、より多面的な視点から作品を楽しむことができますよ。

あらすじ

引用元:Comee.net

日比野家は父親のうづし夫(うづしお)と、母親のまゆら、そして小学生のなるとの三人家族。
若い夫婦の間に生まれたなるとは、一風変わったパンクな親に育てられたこともあってか、小学生ながら賢く早熟(生意気)に育ちました。

母親のまゆらを恋愛対象として本気で愛しており、家からうづし夫を追い出して、まゆらと2人で生活していけるように、一刻も早く大人になることを願っています。
周りからは冗談だと思われ、本気だと認められなくても、なるとはまゆらへの思いを諦めることなく、うづし夫とまゆらの仲を引き裂こうと画策します。
その過程で、両親や周りの大人たちの思いを聞き、影響を受けて成長していく話です。

母親・まゆらの愛の形

母親のまゆらは、普段はおっとりとしていて、小学生の子どもがいる年になっても、ゴシックやパンクの服を見事に着こなす美人な女性。
なるとの姉と間違われ、20代の若者からナンパされることもあるほどです。

可愛らしい見た目や優しい性格から、大した不幸を知らず、努力もせずにぬくぬくと育ってきた世間知らずな女だと思われることも多く、出会ったばかりのうづし夫からも、「努力もしないで男につくってもらった「幸せな家庭」に居座ろうとしている女性と誤解されていました。

しかし、早くに両親を亡くしたまゆらは、自分がしっかりとしていなければ幸せな家庭は作れないと考えており、結婚後も、うづし夫を頼って守られてばかりいるのではなく、自ら家庭を守るために行動する芯の強い女性です。

母親への愛をストレートに表現する破天荒ななるとの行動や言動に対しても、なるとの気持ちを尊重しながらも、世の中には許されないことがあること、親子としてのけじめをつけなければならないことを小学生のなるとに向き合ってきちんと言葉で説明しています。

なるとが中学生になってからは、なるとのまゆらに対する愛に賛同した同級生の及川地衛(おいかわちえい)の暴走で、地衛の双子の姉である天衛(あまえ)が、薬で混濁させたうづし夫との隠し撮り写真を撮って匿名でまゆらに送り、うづし夫に浮気疑惑が浮上します。
疑惑はすぐに晴れましたが、まゆらは、天衛の心の歪みの根底には母親を亡くした寂しさがあることに気づき、彼女の気持ちに寄り添うことで心を癒しました。

まゆらが芯の強い女性であり続けられるのは、うづし夫の存在も大きいです。
うづし夫は、ファッションもパンクで、行動も破天荒。
子どもにも容赦なく暴言を吐き、理由もよく説明せずに家に帰らなこともたびたびあります。
はたから見れば、理想的な父親とは言えないかもしれません。

しかし、まゆらは、うづし夫が帰ってこないのには納得できる理由があること、なにがあっても絶対に自分たちの元に帰ってくること、そして、家族を大事にしている人であることを信じています。
実際に、クリスマス直前に連絡もなく、何日も帰ってこなかったときは、トラックで秋田まで行って、本物のモミの木を手に入れて、クリスマス当日に帰ってきたエピソードもあります。

まゆらがうづし夫をそれほどまでに信用しているのは、うづし夫が、まゆらが1番欲しかった「家族」を与えてくれた存在だからです。
自分が大事にしたいと思えて、大事にできる人たちがいること。そして、どんな時も自分を1番に大事にしてくれると思える人がいること。
それを心から信じられることがまゆらの幸せであり、彼女の強さの源でもあるのです。

父親・うづし夫の愛

うづし夫は、ピアスをジャラジャラと開け、髪を染め、いわゆる“普通の会社員のお父さん”とは見るからに違う生き方をしています。
30歳を超えているのに20代に見えると女性からも人気で、昔は女性関係もだらしなく、ナンパな青年でした。
しかし、まゆらと出会い、まゆらが自分と同じように「ただ幸せな家族」を望んでいることを知ってからは、まゆら一筋です。

しかし、小学生のなるとには、うづし夫とまゆらの強い絆はわかりません。
うづし夫を家から追い出して自分がまゆらと結婚をしようと考えています。

なるとはまゆらに対し、真剣に愛の気持ちを伝えていますが、まゆらは、なるとの気持ちを家族愛だと認識し、真には理解しません。
なるとの気持ちを本気で理解しているのは、皮肉にもうづし夫だけです。
うづし夫は本気でまゆらを愛しており、そしてまだ小学生のなるとを1人の人間として認めているからこそ、なるとの愛が真実のものであることを理解し、ライバルとして扱うのです。
そのため、なるとのまゆらへのスキンシップも、過剰な家族愛では片付けず、本気で妨害します。
うづし夫がなるとの感情を否定せず、行動を見守り、1人の人間として存在を認めているのも、また彼なりの愛の形です。

なるとの家族への思いはどうなる!?

小学生の頃のなるとは、まゆらへの思いの丈を無邪気にぶつけ、キスをせがみ、うづし夫がいなくなることを本気で願うこともありました。
中学生に上がって心も身体も成長したなるとは、抱きついたり、軽々しく愛の言葉を言ったりと、無邪気にまゆらへの愛を示すこともなくなります。
しかし、まゆらへの恋心がなくなったわけではなく、むしろ心の中に秘めた想いは、行動として示すことができない分、より強くなっていきます。

そんな中、なるとのまゆらへの思いを知った同級生が本気で日比野家の家庭を壊そうとしたことをきっかけに、まゆらが不幸になってまで自分の気持ちを貫くのが本当の愛なのかどうか迷うようになります。

自分がまゆらを手に入れることができない本当の理由を理解したなるとは、少しずつ自分の考えを確立していきます。
彼がたどり着いた彼なりの愛の形がどんなものなのか、ぜひ確認してみてください。

まとめ

まゆらもうづし夫も、自分の幸せを自ら見つけることができたキャラクターです。
だからこそ、なるとにも愛を与えることができ、温かい家庭を築くことができているのではないでしょうか?

小学生時代のなるとには、母親がまゆらであるという境遇を幸せと思うことができなかったようですが、「子どもを愛さない母親がいてたまるか」と迷いなく言うことができるほど、親からの愛を享受しています。
思春期を迎えたなるとも自分なりの愛の形、生き方を見つけていきます。

『ハッピーファミリー』と、『ハッピーファミリー エクストラ』の両方の作品を読むことで、登場人物たちの心情と、多様な愛の形を丁寧に描かれていることが、より理解できる作品となっています。

 

ボクたちは幸福な家族。ボクと、パパと、ママ。母親のまゆらを愛するなるとと、なるとの父親うづし夫は、まゆらを奪い合い、日々壮絶な恋のバトルを展開!! 三原ミツカズが描く、おしゃれで華麗なトライアングル・ラブ!!

(C)三原ミツカズ/祥伝社
引用元:Comee.net

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