誰かと自分を比べて落ち込んだり、本当の自分を分かってほしいと思ったりしたときにぜひ読んでほしい『たましいのふたご』

誰かと自分を比べて落ち込んだり、本当の自分を分かってほしいと思ったりしたときにぜひ読んでほしい『たましいのふたご』
     

大学卒業以降職を転々としたが、幼い頃から三度のメシより本が好きなことを思い出し、自分には物書きしかないと一念発起。
現在はフリーライターとしてひた走る。
漫画は少女漫画を中心にオールジャンル読むが、闇が深いものとミステリー要素があるものが考察しがいがあって好き。

   

誰かと話していて、優越感や劣等感を抱いている自分に気づくことはありませんか?
それは、相手と自分を比べてしまっているから。
誰しもあることかもしれませんが、他人を指標にしすぎていると、他人の一挙一動に振り回されたり、他人に期待しすぎたり、自分のことを分かってもらえずにがっかりしたりしてしまいます。

もしそんな自分に少しでも心当たりがあるなら、今回ご紹介する『たましいのふたご』という作品をおすすめします。
1度目は巧みな伏線に驚かされてもう一度読みたくなり、2度目はストーリーの真意に気づいて癒される。そんな作品です。

『たましいのふたご』作品紹介

引用元:Comee.net

『たましいのふたご』は、上下2巻の短い作品です。
しかし、ストーリーはとても濃厚で、気になる謎や心に響くセリフが満載です。

あるハロウィンの日の同時刻、アメリカとドイツでアレックスリーテという2人の11歳の子供が亡くなったシーンから物語は始まります。
2人は生前の記憶を失ったままそれぞれ世界をさまよいます。

幽霊のような存在となった彼らの存在を認識することのできる人間は限られています。
彼らを見て話すことができるかどうかの条件は、自分の半身であり、互いを心から分かり合える「魂の双子」がどこかに存在している人であるということ。
自分の理解者を求める人間たちと関わることで、アレックスとリーテはそれぞれ生前の記憶について少しずつ思い出していきます。

例えば、アレックスは人文学部の教授として双子の研究をしている春陽(はるひ)と出会い、自分がなぜ子供なのに女性に対して敬語で話しているのかを思い出し、ソウルメイトと会うために薬の売人をするノエルが警察に射殺される瞬間に立ち会ってしまったことで、自分が実の父親に銃で撃ち殺されたことを思い出します。
リーテは、元児童心理学者で、ある理由から現在はアクセサリー職人をしているテオと話したことで自分の名前を思い出し、春陽の双子の妹である秋陽(あきひ)と出会ったことで、自分が母親の命令で児童買春をさせられていた過去を思い出します。
さらに、同じ学会に参加していたことがあったテオと春陽も偶然の再開を果たし、親密な仲になっていきます。

アレックスとリーテはなぜ死ななければならなかったのか?
彼らはなぜ世界をさまよい続けるのか?
彼らが自分の過去を思い出したとき、どんな結末が待っているのか?
そして、「たましいのふたご」とはなんなのか?
気になる謎が満載の作品です。

『たましいのふたご』で描かれるそれぞれのしあわせの形

『たましいのふたご』では、アレックスとリーテだけではなく、生きている人間の人生についても描かれます。
例えば、現実から逃避してゴスロリの衣装に身を包み、会ったことがなくてもなんでも分かり合えるメール友達を心の支えにしている女性と、そんな彼女に会いたくてもどうしても会うことのできない女性の話や、ライトノベル作者の女性と、そのラノベに登場する女の子のキャラのコスプレをしている男性の関係を描いた話です。
彼らもアレックスやリーテとかかわりを持つことで、自分の人生を見つけたり、自分がすでに持っているしあわせの形に気づいたりと変化していくのが見所です。

春陽と秋陽の関係について

『たましいのふたご』の中で、春陽はメインキャラクターとして描かれます。
春陽は秋陽と双子の姉妹として生まれ育ちました。
2人は子供のころは仲良しでしたが、成長するにつれお互いのことを分かり合えなくなってしまい、春陽はそれを「自分たちすら救えない」と悩んでいます。

春陽はスポーツも勉強もなんでもできて今や大学教授になるほど。
そんなできのいい春陽には何をやってもかなわないと悟った秋陽は、春陽からなんでも奪い取ろうとするようになります。
聡明でクールな春陽ができないような女の子らしい態度をとって、高校生の時には春陽の彼氏を奪います。
しかし、奪っても奪っても春陽はなんでも持っていると思っていた秋陽が、生まれて初めて「勝った」と思えたのは、不妊治療をしても子供ができない春陽から夫を奪って再婚し、子供を産んだ時でした。

そのことは春陽の心に大きな傷を残します。
春陽はそれでもまだ秋陽と分かり合える日が来ることを完全に諦めることはできませんが、どうしたらいいのかもわからずにいます。
そして秋陽もまた、子育てがうまくできないことに苦しみ、それを誰にも相談できずにいました。
子供を産んだことによって春陽に対して優越感を抱いた秋陽でしたが、それで彼女のコンプレックスがすべて解消されたわけではありません。
自分が子供を産んで育てているということを春陽に見せつけて優越感に浸るたびに、結局は春陽と自分を比較してしまっているのです。
彼女の幸せは砂上の楼閣であり、決して長続きするものではありません。
春陽が少しでも幸せになったり前向きになったりするたびに、秋陽の心はそれに振り回され、不安になってしまうのです。

秋陽のとった行動を支持することはできなくても、春陽のような人間にコンプレックスを覚えてしまう秋陽の心境に共感できる方は多いのではないでしょうか?

また、自分に「子供を産めない女」という烙印を一度押してしまった春陽の心がどうやって癒されていくのか、この作品を通して2人の関係がどんな風に変わっていくのかもぜひ注目してみてください。

まとめ

誰かと自分を比べたり、自分を誰かに見つけて欲しい、認めてほしいと思ったりした経験は、きっと誰しもあることでは無いでしょうか?
大人になってもなおそういったことに悩む方も少なくないはずです。
シリアスなストーリー展開の中に、たくさんの謎と、たくさんの幸せの形が散りばめられた『たましいのふたご』は、あなたの心を癒すためのヒントをくれる作品かもしれません。
ぜひ一度読んでみてくださいね。

 

ぼくをみつけて。わたしをさがして。これは、このちっちゃな家のなかで、このせまい街のなかで、この大きな国のなかで、この広い世界のどこかで、「あなたに見つけて欲しい私」と「君を探している僕」そんなふたりが出会うまでのお話。 別々の国で同じ時刻に死んだ二人の子供、アレックスとリーテ。ハロウィンの夜、僕らの旅は棺の中から始まった。思い出したのは名前だけ。だから僕が見える人に聞いているんです。いつか出会うために。見知らぬ、君に出会うため、呼びあう魂を求めて、世界のどこかにいるかもしれないソウルメイトを探す。 これは、魂が共鳴するソウルメイトをめぐる物語。

(C)三原ミツカズ/祥伝社フィールコミックス
引用元:Comee.net

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