【インタビュー】元・東大生のゲーム大好き漫画家・ゆずチリ先生に漫画(とゲーム)に対する思いを存分に語っていただきました!

【インタビュー】元・東大生のゲーム大好き漫画家・ゆずチリ先生に漫画(とゲーム)に対する思いを存分に語っていただきました!
     
元少女漫画大好き芸人。
少女漫画歴22年、生涯で10000冊以上、5000作品以上の少女漫画を読んでいます。
男りぼんっ子です。男目線で少女漫画の魅力を語ります。
   

大好きなあだち充作品から影響を受けることも

田舎: 先ほどあだち充先生が大好きだと仰っていましたが、あだち充作品から影響を受けていることはありますか?

ゆずチリ: 影響はすごく受けてると思うんですけど、姫乃ちゃんとか描くときにはそれがなるべく出ないようにはしていますね。最初は表面を真似していたんですよ。それこそ、中学のときに初めて描いた漫画なんかは、あだち先生の漫画を丸パクリしただけのような原稿でした(笑)それを僕は当時、あろうことか少年サンデーに持ち込もうとしていたんですよ(笑)これはさすがに、ってギリギリで踏みとどまったんですけど。

田舎: あははは(爆笑)表面というのは絵柄とかですか?

ゆずチリ: 絵柄、コマ割り、台詞、ストーリーライン、すべて!!(笑)もう全部です。本当に全部丸パクリでした。違うのはタイトルくらい(笑)

田舎: そんなに!?(笑)

ゆずチリ: そんなレベルだったんですよ(笑)それが抜け始めたのが20歳超えたくらいからです。それまでは本当にあだち充先生の贋作(がんさく)を描いていたくらいのレベルでした。そこから表面的な部分を落としていって本質的な部分というか僕が本当にいいと思っていた部分を吸収するようになって。だから今でも僕の中には本質的に影響を受けてる部分はまだあるんですよ。ただ作品として出すときに、パッと見た感じでいかにも影響受けてる感じにはなっていないと思います。

田舎: 読み手にはわからないような部分で影響を受けているという感じですか?

ゆずチリ: そうだと思いますね。

田舎: 実は僕たち読者は気づいていないだけで、作品の奥の奥には実はあだち充イズムが隠れているんですね。

ゆずチリ: そうです。分かる人もたまーにいますね。「ここ、あだち充先生っぽくない?」とかたまに言われます。

田舎: あはは(笑)無意識に影響を受けているんですね。

ゆずチリ: はい、真似しようとして描いているわけではないので、無意識にですね。たまに自分の原稿を読み返してみると、「あ、ここあだち充先生っぽいなぁ」って思うところがあったりするので、見てて面白いですね(笑)

漫画を描いていなかったらゲームの仕事をしたかった

田舎: 漫画以外で影響受けるものはありますか?

ゆずチリ: やっぱり、ゲーム・映画・小説は、物語という意味では影響受けやすいものだと思いますね。いいなぁって思ったものはなんとなく覚えていて。

田舎: ちなみにゲーム・映画・小説の中で趣味として一番好きなのはどれですか?

ゆずチリ: 趣味で言うと、ぶっちぎりでゲームですね。

田舎: やっぱりそうなんですね! 『漫画学科のない大学』の中で、『ぷよぷよ』らしきゲームをやってるシーンがあったので、ゲーム好きなのかなって思ってました。

ゆずチリ: ありましたね! あれは大学時代に先輩が急にぷよぷよに狂ったようにハマりだして、「ぷよぷよすげーおもしろいからゆずチリくんもやろうよ」って誘われて。それまではあんまりぷよぷよをやったことがなかったんですけど、それこそ漫画を始めたきっかけと一緒で、「今からやれば3ヶ月くらいでうまくなるんじゃないか」みたいな(笑)そういう目処を立ててから始めるんですよ、僕は。当時はけっこう頑張ってましたよ、ぷよぷよ(笑)

田舎: 今はどんなゲームをされているんですか?

ゆずチリ: 最近は『スプラトゥーン2』ですね、Nintendo Switchの。

田舎: すごく流行っていますよね!

ゆずチリ: ですよね。知り合い同士でグループでやるようになってからはほぼ毎日やってます。ガチな感じではなくゆるーくですけど。でもまぁ、正直それが漫画の役に立つかと考えるとすごく微妙な感じなんですけどね……(笑)

田舎: じゃあゲームから吸収して漫画に活かしたことはそれほどないんですか?

ゆずチリ: 僕はどっちかというと漫画よりもゲームのガチ勢なので(笑)漫画家を志すまではずーっとゲームばかりしていたような子どもだったんです。だから、ゲームから学んだことを漫画に活かすというよりは、「ゲームが如何にしてユーザーを楽しませているか」っていうのを考えるのが好きですね。

田舎: ゲーム制作者の意図などを考えるということですか?

ゆずチリ: そうです! 例えば『スプラトゥーン』だったら、「開発グループはこういう狙いでこのシステムとゲーム性にしてるんだろうなぁ」とかを考えるんですよ。最近だと、けっこうゲーム雑誌などで制作側が裏側を語ってくれている記事とかがたまにあるので、そういうのはすごいなぁって思いながら読んでいますね。造り手としてそういう裏側を見るのはすごく好きです。

田舎: それは漫画家さんとしてもすごく勉強になりそうですよね! ちなみに子供の頃はどんなゲームを?

ゆずチリ: 子供の頃は弟と一緒に対戦ゲームをやっていました。2人で出来るゲームしか買ってもらえなかったので。だからRPGはてんで駄目で、パーティーゲームがほとんどですね、任天堂さんのゲームばかりをやっていました。『マリオパーティー』とか。Nintendo64,ゲームキューブをずっと。

田舎: ほんとに昔からずーっとゲームが大好きなんですね!

ゆずチリ: 今でも、ゲームの仕事欲しいなって思うくらい大好きですね(笑)だから、中学で漫画を描いている友達に出会ってなかったら、僕はもしかしたらゲームの仕事をしていたんじゃないかなって思います。任天堂さんの記事とか読んでたら、「うわー、やっぱり俺もこの世界に入りたかったなぁ」って今でも思いますよ!

田舎: わかります! 僕もゲーム大好きなので、たまに思います!

ゆずチリ: でも、ゲームを作る才能が自分にあるかと言われると、正直ないと思うんですけどね(笑)

田舎: でもどうやってユーザーを楽しませているかとか考えながらゲームしているほどですから、ゲームプランナーとか向いてそうですよね!

ゆずチリ: 分析して「うわーすごいなぁ」と思うことはたくさんあるんですけど、その“すごいなぁ”を僕自身は生み出せないと思うんですよね。漫画も描く人と読む人って役割は全然違うと思っていて。例えば、漫画が大好きな人の中には「この漫画のこのコマはこういう意図があるんだろうなぁ」とか分析をするのが好きな人もけっこういると思うんですけど、だからといってその人が漫画を描けるというわけではないと思うんですよね。

田舎: なるほど、たしかにそうですよね。

ゆずチリ: 僕もゲームの分析はすごく好きだけど、作れる側ではないんだろうなっていうのはすごく痛感します。「これすげぇ!」って思う度に、「自分には絶対思いつかないだろうな」って思っちゃってるので……だからやっぱり無理だろうなって思いますね。そういう意味では、僕は漫画を描いてはいますけど、漫画を読んで分析するのが僕より上手い人なんて山程いると思うんですよ、逆に。

ゲーム業界の流れから感じる、柔軟性の大切さ

田舎: 元々は雑誌でデビューしたゆずチリ先生ですが、webで漫画を描こうと思ったきっかけはありますか?

ゆずチリ: バンチの編集さんからお話をいただいてwebで描き始めました。もちろん僕が漫画家を目指し始めた中学生ときにはwebで漫画を描くという発想なんてなかったんですけど、時代に合わせて変わるものだと思いますし、個人的にどっちがいいとか強いこだわりがあるわけではないです。単純に、読んでもらえるならどちらでも、と思っています。くらげバンチさんはユーザーも多いですし(笑)だからいいかなって思って描かせてもらっていますし、かと言って「これからの時代はwebだぜ」とか、「雑誌での連載は捨てよう」みたいな思いはもちろん全然ないです。雑誌でもやりたいと思っていますし。

田舎: なるほど、時代に合わせて柔軟に、という感じなんですね! 昨今、海賊版や違法サイトなどによって漫画業界が少し荒れたという印象があるのですが、ゆずチリ先生は今後の漫画業界について何か思うところはありますか?

ゆずチリ: スタンスとしては僕は漫画界代表でもないですし偉い人じゃないので、いち漫画家としての意見ですが、僕がそもそも「漫画家とはかくあるべき」とか思っているタイプじゃないので、業界全体を見渡して何か物申してやろうという思想は一切持ってないんですけど……。うーん、まぁなんか、ぼんやりと危機感を覚えるときはありますね。

田舎: 危機感ですか?

ゆずチリ: はい。海賊版とか違法サイトの問題もそうですけど、単純に漫画という娯楽が今後どうなっていくのかなというのは考えるときがあります。永遠じゃないのかなって思います。例えば、もっと面白いものが出てきたときにどうなんだろう、という……。そういうことを僕はゲームが好きなので、ゲームに置き換えて考えてしまいがちなんですけど……(笑)

田舎: あ、僕もその方がわかりやすいかもです!(笑)

ゆずチリ: じゃあゲームに置き換えて話しますね(笑)僕はゲーム業界の流れを見るのが好きなんですけど、漫画が今後どうなるかって考えたときに、ファミコンってめっちゃ売れたじゃないですか。でも今の時代にファミコンがまったく新しいものとして現れたとしても多分そんなに大ヒットはしないと思うんですよ。で、そういうことって多分どの業界にもあると思うんです。もしかしたら今僕が描いてる漫画達が、将来ファミコンのような存在になる可能性だってあるんだなって思ってそれはなんとなく念頭に置きながら描いています。

田舎: なるほど! たしかにゲーム業界ってどんどんどんどん新しい面白いものが出てきて移り変わっていきますもんね。

ゆずチリ: そうなんです。でもそれって仕方ないことじゃないですか。ファミコンよりもっともっと面白くてすごいものが出てきたら、それはそれでいいことだと思うし、現に僕は今Switchでスプラトゥーンを楽しくやっているわけなので(笑)だから、スタンスとしては「現状の位置に固執しないようにしないといけないな」とは意識しています。いくら僕がゲーム大好きで、一番最初に好きになったゲームがスーパーマリオだったとしても、自分がゲームを作るとなったらスーパーマリオと同じくらいのものを作っていてもいけないと思うんですよね。

田舎: 時代は変わって進んでいるから、常に新しくてもっとすごいものを作り続けないといけない、と。

ゆずチリ: そうなんです。だから僕は、ファミコンやあだち充先生の作品のような自分の原点となった大好きなものを追いかけるだけではなく、今の時代のいろんな人に楽しんでもらえるものは何なのかというのを突き詰める努力もしないといけないと思っているんです。

田舎: 時代の流れに合わせて柔軟に動いて、多くの読者さんの目に触れるような漫画を描いていこうということですね。

ゆずチリ: はい、そして僕がそう思えるのは、大好きなゲーム業界にNintendo Switchが生まれたからなんですよ!

田舎: あはは(笑)

ゆずチリ: 任天堂さんがファミコンに固執して留まったりせずに、あくまでもファミコンのいいところを残しつつ新しくてもっとすごいものを生み出し続けているというところが本当に凄いなぁって思うから、僕もその考え方で漫画を描きたいなって思うんですよ。

田舎: たしかにゲーム業界ってすごいなって思わされるのが、常に天井を更新し続けている業界であることですよね。

ゆずチリ: 本当にそうです。常に今が天井だと思わされて、でもさらにいいものがどんどん生み出されていくので、本当に見習っていかないといけないなって思いますね。

田舎: 本当にすごいですよね。任天堂さんはファミコン、ゲームボーイ、スーパーファミコン、Nintendo64、DS、Wii、Switchって、ずーっと新しくてすごいものを生み出し続けていますもんね!

ゆずチリ: そうですよね! ファミコン世代の人をずーっと楽しませるんじゃなくて、今の子供達を喜ばせるのにはどうするかっていうところに情熱を注いでいる姿勢がすごく好きです! 僕もそうでありたいなと。だから今の漫画読者を喜ばせるためにはどうすればいいのかっていうのは考えて描いてます。くらげバンチさんとはそういう考え方が自分と合ってるなって思いますね。やっぱりwebでやっているだけあってすごいなって思います。新しいステージとしてやっている姿勢がすごいです。“漫画を描く”というよりは、“どういう漫画を描くべきかを考えていく”というその姿勢が好きなんですよ。

田舎: いやーめちゃくちゃいい話を聞きました! ゲームに例えていただいてすごくわかりやすかったです!(笑)

ゆずチリ: 何でもゲームに例えちゃう節があるんです、僕は(笑)

田舎: 素晴らしいです(笑)ゆずチリ先生の発言をまとめると、「今後は任天堂さんのような漫画家になりたい」ということですよね?

ゆずチリ: あはは(笑)まぁそう言っちゃうと簡潔すぎますけどね!(笑)でもその通りですね、わかりやすく言うと。

田舎: 貴重なご意見をありがとうございました! それでは最後にファンの方に一言お願いします!

ゆずチリ: 姫乃ちゃんの本格連載を楽しみにしていてほしいというのが一番にありますし、あとは、僕の漫画をあまり意気込んで読まないでほしいというか(笑)あくまで、いち娯楽として適当に流してもらったほうがいいかなと。

田舎: 気軽に読んでほしい、と?

ゆずチリ: はい、漫画ってそういうものだと僕は思っているので。僕は「僕の思想を読み取ってくれ!」とかそういうスタンスでは描いていなくて、純粋に漫画を楽しんでほしいだけなんです。だから、深いことを考えないで純粋に楽しんでください、僕は任天堂さんなので!

田舎: あはは(笑)ややこしいことは抜きにして、ただただ楽しんでもらえれば、ということですよね!

ゆずチリ: 本当にそれが一番嬉しいです。こちらとしては、「この漫画おもしろいなー」っていうシンプルな感情を抱いていただくために情熱を注いで描くのがすごく楽しいわけなので。本当にそれだけです! だから「ここに注目して読んでくださいねー」とかは一切ないです!(笑)とりあえず姫乃ちゃんを楽しみにしててください!

田舎: ゆずチリ先生、ありがとうございましたーーー!!

まとめ

いかがでしょうか?

省略しましたが、後半では脱線してゲームの話で盛り上がりすぎてしまい、漫画もゲームも大好きな僕にとっては、最高のインタビューとなりました!(笑)

今後の漫画業界のことやゆずチリ先生の漫画家としての在り方をゲームに置き換えて語っていただくなど、すごく聞きごたえのある素晴らしいお話が盛りだくさんでした。

取材後ゆずチリ先生は、「まさかこんなにゲームの話をするとは思わなかったです(笑)でもゲームに例えてみて自分でもすごくしっくりきました(笑)」と仰っていました!

僕にとっても本当にわかりやすくて、その話を自分自身にも置き換えて考えました。

僕もゆずチリ先生に負けじと、任天堂さんのように常に天井を更新し続ける人間になりたいなと思いました。

そして、10月26日から『くらげバンチ』にて本格連載が始動する『姫乃ちゃんに恋はまだ早い』にも大注目です!

 

さらにインタビュー内でも話題に上がった『漫画学科のない大学』も、なんと、10月12日にコミックス第一巻が発売されたばかり!

ゆずチリ先生が学生時代に描いた漫画も一部見れて、本当にオススメの作品です◎

 

【ゆずチリ先生の作品】

自称・ごく普通の女子高生、シノブさんは
たぶん、いや間違いなく…「忍者」です。
でも、それに気づいてるのは、なぜか僕だけで…
現役東大生漫画家が放つ
ヒミツ系“王道”純情ラブコメディー第1巻!!

(C)ゆずチリ/小学館
引用元:Comee.net

 

 

生徒会長兼
書記兼会計兼庶務の清士郎くんと
生徒会副会長の水谷さん。

たったふたりだけの生徒会。
忙しかったり、そうでなかったり。
提案したり、試してみたり。

ふたりだけど、毎日楽しい。

(C)ゆずチリ・かとそん/小学館
引用元:Comee.net

 

 

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