【インタビュー】いじめ?優しさ?『微妙に優しいいじめっ子』に込めたもすこ先生の想いとは!?

【インタビュー】いじめ?優しさ?『微妙に優しいいじめっ子』に込めたもすこ先生の想いとは!?
     

漫画と酒と日本語ラップをこよなく愛する人。漫画蔵書5000冊以上。漫画はオールジャンルなんでも読みます。お酒もオールジャンルなんでも飲みます。元よしもと漫画研究部副部長。現在は人生模索中。

   

『久住くん、空気読めてますか?』、『うっかり体育大生-マンガ家ですが、ニチジョに通っていました-』を描かれたもすこ先生。

以前Comee magでも紹介させていただきましたが、もすこ先生がTwitterに投稿して大反響を呼び、現在マガポケでも連載中の『微妙に優しいいじめっ子』の書籍化が決定しました!

今回は祝・書籍化ということで、もすこ先生に『微妙に優しいいじめっ子』と先生自身について色々とお話しを伺ってきました。

漫画家になったいきさつから、「いじめ」とは何かや作品に込めたメッセージ、Web漫画と紙媒体の違いなどなどかなり深いところまで話してくださいました。

この記事を読んでもらえればさらに『微妙に優しいいじめっ子』を深く理解できる内容になっています!

さらに今回も読者プレゼント企画があるので最後まで是非一読を!

【プロフィール情報】

もすこ
2012年に漫画家としてデビュー。
紙雑誌だけでなくwebでの連載も行っており、多媒体での活躍が目立つ。
これまでに自身の大学時代の思い出をつづったエッセイ作品『うっかり体育大生-マンガ家ですが、ニチジョに通っていました-』の連載やコメディ要素たっぷりの
『久住くん、空気読めてますか?』『微妙に優しいいじめっ子』などを手がけている。

 

就活で気づいた“本当にやりたいこと”

河野: 今日は『微妙に優しいいじめっ子』を中心に、漫画の事からプライベートの事まで色々お話を聞かせて頂きたいとおもいます。よろしくお願いします!

もすこ: よろしくお願いします!

河野: 早速なんですけど、漫画家になろうと思ったきっかけを教えてください。

もすこ: 小さい頃から絵は描いていたんですけど、どちらかというと描くことより漫画を読むことの方が好きでしたね。絵を描くのは息抜き程度でした。卒業文集とかには「漫画家になる!」って書いていたんですけど、持ち込みをした事はなかったです。

河野: 確かもすこ先生は体育大学に進学されていますよね。その当時の様子は『うっかり体育大生-マンガ家ですが、ニチジョに通っていました-』にも描かれていますが。そこからどう漫画家へと繋がったのですか?

もすこ: 大学生の時に就活をしていたんですけど、最終選考までいった企業の面接で人事の方に「本当にあなたは会社勤めがやりたいことなの?」って聞かれまして、結構諭されてしまって(笑)

河野: 面接で諭されるっていうのも面白い話ですね!(笑)

もすこ: その時にちゃんと自分と向き合ってみて「一度しかない人生だし漫画を描いてみたいな」ってまた思って。周りはみんな就活の真っ最中でしたけど、私はその時に就活を全部辞めてつけペンを持ち始めました(笑)

河野: 一念発起ですね! 「いっちょ漫画描いてみっか!」みたいな!(笑)

もすこ: 「やったるでー!」ってな感じでした!(笑)そこからは沢山描いて大学卒業間近に出版社に持ち込みに行きまして。そこで編集さんに「漫画の形にはなっているけど、ストーリー作りなど基礎がなっていない。プロの漫画家さんの所で勉強しなさい」と言われてアシスタント先を紹介してもらって。

河野: ちなみにどんな漫画家さんのアシスタントに行かれたんですか?

もすこ: 本当にたくさんの漫画家さんのアシスタントをさせて頂きましたね!持ち込んだ先が少女漫画誌だったので、それこそ少女漫画界の看板作家と言われるような方や有名な方、たくさんの先生の元で学ばせてもらいました。

河野: 特定の師匠さんはいらっしゃらないんですか?

もすこ: 師匠ではないですけど、一番尊敬している漫画家さんは最富キョウスケ先生ですね。最富キョウスケ先生からは漫画家としても人としても大事な部分を教えてもらいました。人との接し方だったり、生きる上で大切な事を本当にたくさん教わりましたね。アシスタントに行かなくなった後も定期的に飲み会等に誘って頂いて、つい数日前も一緒に飲ませてもらいました(笑) 公私ともにお世話になっています。

河野:  そう思える人がいるのは羨ましいです。素敵な関係ですね!

『微妙に優しいいじめっ子』について

微妙に優しいいじめっ子 ©もすこ/講談社

「いじめという概念がある世界を描かなければいけない」

河野:  最初に『微妙に優しいいじめっ子』を描こうと思ったいきさつを教えてください。

もすこ:  元々はいじめについての本をたまたま読んだんですよ。その時に「なんでこんないじめをするんだろう」ってモヤモヤしてしまって……。「いじめ」っていうテーマを漫画で扱う時、「私だったらこう描くのに!」って思ったのがきっかけですね。私のこれまでの漫画は、「優しい世界」を描いてきたので、逃げずに「いじめ」を描いてみよう、「いじめ」という概念がある世界を描かなければいけない、と思って。なので「いじめ」というワードは削らずにタイトルに残しています。

河野: 「いじめ」という言葉は明確な意図の元、扱っているんですね。

 

微妙に優しいいじめっ子 ©もすこ/講談社

 

もすこ:  そうですね。何を「いじめ」と呼ぶかって、人によって違うと思うんですよ。何をもって「いじめ」と呼ぶのか定義がないじゃないですか。だから木崎くんがしてることは本当に「いじめ」なのか、田村くんのことを「村田くん」と間違えて呼ぶクラスメイトたちも、田村くんに手を差し伸べたりしますが、それは本当の優しさなのか、「あなたはどう思いますか?」と読者に問う気持ちで描いていますね。

河野: 作品を通して読者に投げかけているわけですね。

 

微妙に優しいいじめっ子 ©もすこ/講談社

 

微妙に優しいいじめっ子 ©もすこ/講談社

読者の共感を得たTwitterの投稿

河野:  最初はTwitterに投稿したんですよね?

もすこ: はい、Twitterに4ページで投稿したのが最初ですね。その時にびっくりするくらい反響をいただいて。

 


河野:  最初の4ページを投稿した時に続きの構想はあったんですか?

もすこ:  全く無かったですね! あの4ページに私の思っていること、描きたいことを詰め込んだつもりだったので。私は元々Twitterに頻繁に創作漫画をアップするタイプでは無かったので、とにかく「伝われー!」って感じで載っけました。それに思っていた以上に共感してもらえたので嬉しかったですね。

河野: そうだったんですね! 反響のあった最初の4ページを描いた後に続きを描くのは大変じゃなかったですか?

もすこ:  大変さはありましたけど、描きたいことはまだあったので、木崎くんと田村くんにお題を与えてキャラコントをさせていってみたいな。基本的に私の漫画はキャラコントだと思っているので(笑)

「いじめ」というテーマの作品を描く難しさ

河野: 『微妙に優しいいじめっ子』を描く上での苦労、気をつけていることってありますか?

もすこ: やっぱり「いじめ」をテーマにしているので、凄く気を使っています。これを描いたら傷つく人がいるんじゃないか……といった判断をするのは難しいですね。

河野: ただ単なるいじめになってしまったら、それは違いますもんね。

もすこ: そうですね。そこには、本当に気を付けなければな、と……。

河野:  本当に根っこの部分で言うと僕は木崎くんがやっている事はいじめではないと思っています。でも田村くんは「これはいじめなのか…?」と思ってはいるわけですもんね。

もすこ:  もちろんいじめはいけないことですが、「これくらい愛をもってして欲しい」って思いながら描いていますね。この作品はちょっとしたニュアンスを間違えるだけで読者の方とも気持ちのすれ違いが起こってしまう漫画だと思うんですよ。「いじめ」がテーマですし、慎重になりながらも、人それぞれの考え方があるという思いも持って、軸をぶれさせずに自分の想いを描いています。

河野:  そうですよね。さっき僕は木崎くんがやっていることはいじめじゃないと思うと言いましたが、それって田村くんの心の声も見えているからそう思えるのであって、例えば木崎くんが田村くんに「パン買ってこい!」って言うシーンとかは現実で実際に見たとしたらいじめだなって思いますし。

もすこ:  難しいですよね。さっきも言いましたが、やっぱり人それぞれ「いじめ」の定義って違うなって。私も殴られたり蹴られたり、すごいひどいいじめを受けたことは無いですけど、それなりに精神的に嫌な思いとかはしてきたこともあって……。木崎くんが作中でしているような「いじめ」をその時の私にしてくれていたら、心が救われたのかなと思いながら描いています。

木崎くんと田村くんのモデルは?

河野:  ちなみに木崎くんと田村くんにモデルはいるんですか?

もすこ: いないです。『微妙に優しいいじめっ子』に関して言えば全くいないし、なんなら最初にネームを考えた時にキャラクターのことは全然考えていなかったんですよ。「こんないじめをした時にこういった配慮をしてくれちゃう奴」みたいな完全に題材から入りました。

河野: そうだったんですね! キャラが立っているので最初から練られたキャラなのかと思いました!

もすこ:  最初の4ページを描いてTwitterに投稿したら読んでくれた方から「木崎くん優しい!」って声が意外と多くて、「あ!木崎くんって優しいんだ!」みたいな(笑)そこからキャラクターの事を考えるようになって、どんどん色付けていったら「面白いな、このキャラ」って思うようになりました。

河野: 田村くんも心のツッコミで言っていましたけど、なんで木崎くんは不良やっているんですかね?(笑)そもそも木崎くんは不良なんでしょうか?(笑)

もすこ: 不良だとは思うんですけど……、どうなんでしょう(笑)

河野:  タバコも吸わないですよね?

もすこ: タバコは吸わないですね。身体に悪いから(笑)

河野: あはは!(笑)憎めないやつですねー! 田村くんと木崎くんの出会いってまだ描かれてないですよね?

もすこ: まだ描いてないですね。今後どこかで描く予定です。木崎くんの幼少期とかも描けたらなぁと思ってます。

河野: 楽しみだなぁ!もう2人の過去の構想はあるんですか?

もすこ:  あります!でも木崎くんがちょっと難しいやつで(笑)田村くんの方が意外と描きやすくて、どういった幼少期でどんな家庭環境なのかとかは割とすんなり決まりました。

河野: 田村くんの方が動かしやすいんですね。

もすこ: そうですね。田村くんってああ見えて割と冷めてる人間だと思うんですよ。そんな田村くんがこれから木崎くんとのコミュニケーションでどう変わっていくのかも注目して貰えたらうれしいです。

外の世界を広げるよりも深めることをしていく

河野:  読者さんも気になっている部分でもあるかと思うのですが、今後ほかのキャラクターが話に絡んでくることはあるんですかね?

もすこ: メインはこの2人で展開させていこうとは思っています。ストーリーを持たせる上で、2人の状況を知っていたり、見守る立場のキャラクター、それこそ親だったり先生だったりは出てくるかもしれません。

河野: 基本は木崎くんと田村くんの2人で?

もすこ: そうですね。今のところはまだ2人以外の主要キャラは考えていないです。最初は私も登場人物を増やした方が作品的にも幅が出るんじゃないか、世界が広がるんじゃないかと思って担当さんに相談したことがあったんですよ。その時に担当さんに「この漫画は外に世界を広げるよりも、深める作業をやっていくべきだと思う」って言われた時に、凄く納得したんですよね。この2人の関係性を掘り下げて素敵な世界を描く事が、この連載でやるべき事なんだなって気付けて。

河野: なるほど。言われてみれば凄く説得力がありますね! 広げていった外の世界も見てみたい気もしますが、題材を考えたら深くしていった方がより伝わるしテーマとしても良いものになるんじゃないかという気がしますね!

▶︎Page.2:もすこ先生の考える「いじめ」について。『微妙に優しいいじめっ子』の書籍化に対する想いは次ページにて。

 

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