漫画大国である日本で暮らしていると、どうしても漫画=日本の作品を連想する方も多いでしょう。
しかし、当然のことながら漫画は世界中で愛されています。
今回はその中でも、アメリカの漫画を代表する存在であり、日本でも高い人気を誇る『ピーナッツ』の魅力について紹介します。
『ピーナッツ』とはどんな作品?
もしかしたら『ピーナッツ』というタイトルを聞いても、ピンとこない方もいるかもしれません。
しかし、そのキャラクターは日本中で愛されています。
代表的なキャラクターは何といってもスヌーピーです。
二本足で立ち、とても賢く、冒険心溢れる白いビーグル犬です。
今でも多くの企業のCMやポスターなどでも使用されており、世界的に人気があります。
本作は1950年に作者のチャールズ・M・シュルツが大手記事配信会社、ユナイテッド・フィーチャー・シンジケーツ(現・ユナイテッド・メディア)に持ち込み、採用されて新聞の4コマ漫画として連載されていました。
もともと、シュルツはタイトルを『チャーリー・ブラウン』か『グット・オールド・チャーリー・ブラウン』にしようと考えていました。
しかし、上記のユナイテッド・フィーチャー・シンジケーツの社員が『ピーナッツ』というタイトルを考案し、シュルツは「ひどいタイトルだ」と反発しましたが、結局は編集者に押し切られてしまいました。
一介の漫画家では、大企業の社員のいうことに反対できませんでした。
チャーリー・ブラウンが示す世界で受けるキャラクター像
本作で1番有名なキャラクターはスヌーピーでしょうが、彼は主人公ではありません。
本作の主人公はスヌーピーの飼い主である少年・チャーリー・ブラウンです。
デフォルメによるものもあるのでしょうが、あまり特徴のない丸い顔に、髪の毛がほとんど生えていない丸坊主の男の子です。
彼の特徴といえば典型的なダメな子ということでしょう。
野球が大好きですが、ピッチャーとして投げればホームランを打たれたり、強烈なピッチャーライナーでひっくり返ったりする姿がよく描かれています。
また赤毛の女の子に恋をしていますが、話しかけることもできません。
シュルツによると、これは作者自身が若い頃に赤毛の女性に恋をして、告白しようとした際に他の男性に先を越された時の思いを描いているとのこと。
最初からチャーリー・ブラウンの恋は叶わぬ運命なのです。
しかし、どの登場人物も口にするように、彼はとても優しくいい人なのです。
ドジであまり冴えないけれど、優しい男の子……これは『ドラえもん』の野比のび太のように、多くの作品で登場するキャラクター像です。
本作が愛される理由、その1つがチャーリー・ブラウンの優しさが由来の魅力にあることは間違いないでしょう。
その魅力は世界共通のものなのです。
アメリカを象徴する漫画
1950年連載が開始され、2000年に連載が終了するまでの50年間もの長きにわたり愛されてきた本作。
最終回が掲載されたのは2000年の2月13日ですが、その前日の2月12日にシュルツは亡くなりました。
シュルツが生涯現役で書き続けた国民的な人気作は、アメリカ社会に大きな影響を与えています。
その1つに『ライナスの毛布』という心理学で用いられる言葉があります。
これは『ピーナッツ』に登場するライナスというキャラクターが、いつも肌身離さず毛布を持っていることから名付けられました。
その意味は人が物に執着している状態を指します。
幼児などがおもちゃやぬいぐるみをずっと抱いて、安心感を得ているような状態です。
また、シュルツ自身が第2次世界大戦中にヨーロッパに従軍した経験を持ち、戦争について啓蒙する内容も作中には含まれています。
1998年の復員軍人の日に合わせてスヌーピーが戦場を歩く作品が発表されたり、戦争をテーマにした作品が多く発表されたりしています。
そのほかにもシュルツは「1944年の6月6日を忘れるな!」というような作品を定期的に発表しています。
この日は第2次世界大戦でも特に有名な戦いであるノルマンディ上陸作戦が決行された日ですこの反響はとても大きく、元兵士やその家族から圧倒的な感謝の声があったということです。
アメリカの歴史とともに歩んできた本作の影響が、とても大きいことをうかがわせます。
まとめ
いかがでしたか?
アメリカの作品ということもあって、実際に読んだ方は少ないかもしれません。
しかし、今でも日本語に翻訳された書籍が発売されるなど、根強い人気を誇ります。
登場キャラクターたちの個性あふれる言動や、人生訓が刺さるという声も大きな本作。
ぜひお手にとって読んでください!
自分に自信のないチャーリー・ブラウンは、悩みが尽きない。そんな彼に仲間たちは優しく接し、さりげなくアドバイスをする。「ピーナッツ」の大ファンであり医師でもある香山リカが厳選した、読むと元気になるスヌーピーの話。
引用元:Amazon.co.jp