【インタビュー】単行本2巻発売記念!『腐女子クソ恋愛本』おののぶし先生の素顔に迫る!

【インタビュー】単行本2巻発売記念!『腐女子クソ恋愛本』おののぶし先生の素顔に迫る!
     

漫画と酒と日本語ラップをこよなく愛する人。漫画蔵書5000冊以上。漫画はオールジャンルなんでも読みます。お酒もオールジャンルなんでも飲みます。元よしもと漫画研究部副部長。現在は人生模索中。

   

腐女子の赤裸々な恋愛事情を描いた『腐女子クソ恋愛本』の作者、おののぶし先生にお話を聞いてきました!

作中にも出てくる編集の担当Mさんにも同席して頂き、現在のB L業界の事や先生自身の恋愛観など盛りだくさんの内容となっております!

バリバリ当てはまる方は共感できる部分が多いことはもちろん、男性の方も腐女子について楽しく理解できること間違いなし!

腐女子の世界を是非一緒にのぞいてみましょう!

 

【プロフィール情報】

おののぶし
腐女子のリアルな恋愛事情を描いた『腐女子クソ恋愛本』作者。
作中に出てくる腐女子達の赤裸々すぎる恋愛事情に腐女子以外の恋愛下手からも注目を集めている。
(プチ雑学)ペンネームの由来は「おのののか」と間違えて買ってくれる層を期待してとのこと。
現役同人作家としても活躍中。

 

『腐女子クソ恋愛本』について

河野: よろしくお願いします!

 おの: よろしくお願いします。

河野: まずは『腐女子クソ恋愛本』2巻発売決定おめでとうございます!

 おの: ありがとうございます!

河野: 心境はいかがですか?

 おの: 正直、めっちゃ売れているって訳では無いので「2巻は出せないだろうな」と思っていたので出させてもらえて本当嬉しいですね! こんな出版不況の中ありがたいなと思ってます。

河野: 2巻を渇望する声がきっとたくさんあったんですよ!

 おの: そうなんですかね?(笑)身内しか買ってないと思っていたので買ってくれた身内以外の方に感謝です! うちの親ですら一冊しか買ってくれてないので(笑)うちの親は私の結婚をもう諦めているので、この『腐女子クソ恋愛本』の1巻と2巻を孫だと思ってもらってます(笑)

河野: (笑)そのシステムならこれから更に孫増やせますね!

 おの: どんどん孫を増やせたらいいなと思ってます(笑)この『腐女子クソ恋愛本』が単行本化されたので国立国会図書館に置かれるんですよ! と言うことは日本が滅亡するまで孫は生き続けるので!(笑)

河野: そんなポジティブな考え方が!(笑)一族思いないい孫ですね!(笑)今回描き下ろしは何ページあるんですか?

 おの: 今回は20ページですね。1巻の描き下ろしはイラストや一コマ漫画が多かったんですが、2巻の描き下ろしは20ページがっつり漫画を描いたので1巻の描き下ろしよりも読み応えのあるものになったかなと思ってます。

河野: 楽しみですね!

先生曰く、これは誰もが通る道!?腐女子になったキッカケ

河野: 先生自身の事もお聞きしたいのですが、まずはこの作品のテーマでもある腐女子について。先生が腐女子になったキッカケを教えてください。

 おの: 小さい頃から漫画を読むのが好きで、特にジャンプが好きだったんですよ。で、気づいたら腐女子になっていたと言う(笑)

河野: えー!? そうなんですね! なんか意外です!

 おの: いやいや! 超一般的なルートですよ!(笑)ねぇ?Mさん!

担当M: 超王道です! ジャンプを経て女はみんな腐女子になっていくんです!

 おの: アラサー世代の腐女子の9割くらいはジャンプを通って腐っていったと思っていますね。私が腐女子になったキッカケ作品も某ジャンプ漫画です。

担当M: 昔は商業アンソロジー本が普通に本屋さんに置いてあったんですよね。それを間違って手にとってしまい腐っていってしまう。

 おの: そう! 今はB Lコーナーにあるような商業アンソロが普通のジャンプコミックスの横に置いてあったりしたんですよ! 腐女子になった人の一番一般的なルートです。

河野: そうだったのか……。全然知らなかったです!僕は腐女子の世界を何も知らないので今日は色々と教えてください!(笑)

 おの: 任せてください!(笑)

『腐女子クソ恋愛本』が生まれた意外な理由!

河野: もともと先生はいつ頃から絵を描き始めたんですか?

 おの: 中学校くらいですね。

河野: もうその頃からB L物も描かれていたんですか?

 おの: そうですね。私はB L物しか描いてこなかったですね。

河野: 元々はBL専門だったんですね! 漫画家になりたいという思いはずっとあったんですか?

 おの: 漠然とですね。「空を自由に飛びたいな」っていうのと同じような感じです(笑)

河野: でも空飛べた訳ですもんね!

 おの: そうなんですよ。初めて描いたB L物じゃない漫画がこの『腐女子クソ恋愛本』です。ネット伝いに担当Mさんから連絡が来て、講談社さんに拾ってもらえて「インターネットは本当にありがたいな」って。

河野: 世の中何があるかわかりませんね。この『腐女子クソ恋愛本』を描こうと思ったキッカケを教えてください。

 おの: (即答で)これは殺意ですね。

河野: 殺意ですか!? それはどういった……?

 おの: 世間にある「アラサー女のリアルを描いた」みたいなドラマとか映画とか漫画って結局美男美女がくっつく訳ですよ! 例えばドラマの中でヒロインがイケてないブスって設定だったとしても、ちょっと野暮ったいメガネかけて髪をボサボサにしてるくらいでめちゃくちゃ美人なんですよ! 女優さんの元がいいから当たり前なんですけど。

河野: 現実はそうじゃねーぞ、と?

 おの: そう! で、結局その手のドラマって最終的に「恋愛して幸せになりましょう」みたいなメッセージだったりするのに腹が立ってたんですよ!(笑)でもインターネットで悪口を言うだけだったら誰でもできるので、 自分の作品として世に出した訳です。世にはびこってる「恋愛をしましょう」っていう風潮に対しての殺意ですね!

河野: 敵意ではなく殺意ですか……(笑)

 おの: 殺意です!(笑)世の中「恋愛をしましょう」って思っている女ばっかりじゃないんですよって事を伝えたかったんです。

河野: その感情はわかります! 殺意まではいかないですけど(笑)

リア充と腐女子について

河野: 腐女子と言われる方は「ボーイズラブ」、いわゆる「B L」が好きな人って認識でいいんですよね?

 おの: そうですね。

河野: おの先生の思う腐女子の特徴を教えてください。

 おの: まず思い浮かぶのは、自分の人生を全然考えてない人が多いですね。んー、でも最近は婚活してる腐女子もたくさんいるしなぁ……。

河野: 『腐女子クソ恋愛本』にも婚活している腐女子の方は出てきますよね。

 おの: 昔はインターネットがなかったので趣味の選択肢が狭かったんですよ。趣味としてオタクを選んだらオタクだけみたいな。オタク趣味って時間を使うものが多いので他に手を出してる暇がないんですよね。同人誌出すにも昔は今より凄く時間もかかりましたし。でも今は同人誌出すために絵を描くにしてもパソコンを使えば昔よりはだいぶ早く描けるようになりましたし。今は腐女子もやりつつ恋愛もしつつ他の趣味もあるって人が増えたので「腐女子の特徴はこう!」って一概には言えなくなりましたね。

河野: 腐女子も多様化していっているという事ですね。

 おの: その通りですね! 今まで彼氏が全然途切れない腐女子もいますし、夏はBBQ、秋はクラブ、冬はスノボみたいな腐女子もいます。

河野: 俗に言う「リア充」ですね。リア充と腐女子は混在するものなんですか?

 おの: 昔は絶対相容れない存在だったと思うんですけど、今は混在していますね。いわゆる昔のステレオタイプなオタクは減ったと思います。

担当M: もしご興味があったらビックサイトとかでやってる大きめの同人イベントに行ってみて欲しいですね。めっちゃ美人でオシャレな人も多いですから。

 おの: 本当にそうですね。大手同人サークルとか見るとハッピーポジティブモンスターみたいなのがいっぱいいますよ。

河野: ハッピーポジティブモンスター!?(笑)なんですかそれは!?

 おの: しょっちゅうハワイとかに行ってそうな人種です(笑)

河野: ハッピーポジティブモンスターも先生的には敵視する対象になるんですか?(笑)

 おの: いえいえ! 本当に全然してないですよ! バブリーで羨ましいなとは思いますけど!(笑)

河野: ちなみにおの先生は「リア充」ですか?

 おの: 全然違いますね。

河野: リア充になりたいなって思います?

 おの: 昔はありましたね、学生の頃とか。ちょっとチャレンジはしてみたことはあるんですよ。それこそBBQ行ってみたりクラブやBARに行ってみたり。でもあんまり楽しく無かったんですよね。BBQとか暑いし(笑)

河野: 世間一般でいうところの「リア充」がやっていることに楽しさを見出せなかったと。

 おの: 楽しかったっちゃ楽しかったんですよ。でも結局オタクやってる方が楽しかったのでハマれなかったですね。

おののぶし先生自身の体験談も

河野: 『腐女子クソ恋愛本』は友人のエピソードが多いですよね。おの先生自身の体験談も含まれていますか?

 おの: 結構入ってますね。でも私の事とは描いてないです(笑)素知らぬ第三者の体で紛れ込ませてますね。

河野: へー!どこだろう?(笑)

 おの: あまり私のイメージを付けたくないんですよね。全然男と付き合った事の無い喪女だと思っている人はそう思っててくれていいし、ある程度男とも付き合った経験のある上でこの漫画を描いているんだなって思っている人はそう思っててくれていいし、特定のイメージはつけないようにわざとぼかしている感じです。その方が楽しんでもらえるかなと思って。

現代のオタク事情

女子はみんな B Lが好き説について

河野: 僕、木尾士目先生の『げんしけん』大好きなんですよ。

 おの: 私も好きです! 全巻持ってます!

河野: 僕の中での腐女子の生態って『げんしけん』からの情報が多くて! 『げんしけん』の作中で「ホモが嫌いな女子なんていません!」って大野さんの有名なセリフがあるじゃないですか。あのセリフは共感できますか?

 おの: 共感できます! 私もそう思っているので!(笑) 潜在的に女子はみんなB Lは好きなはずなんですよ! みんなBL好きの種を持っていて、それが発芽して開花するかどうかの違いなだけだと思います。

河野: 潜在的には女子はみんなB L好きなはずだと。

担当M: 大人になってからB Lに目覚める人もいますからね。

 おの: いますね。遅咲きの同志。

河野: いつ目覚めるかわからないんですね。

▶︎Page.2:リアル『腐女子クソ恋愛本』! おの先生が語る腐女子談は次ページにて。

 

特集・インタビューカテゴリの最新記事