これがC-TOWNスタイルだ!!平成最後の問題作『死都調布』レビュー!

これがC-TOWNスタイルだ!!平成最後の問題作『死都調布』レビュー!
     

漫画と酒と日本語ラップをこよなく愛する人。漫画蔵書5000冊以上。漫画はオールジャンルなんでも読みます。お酒もオールジャンルなんでも飲みます。元よしもと漫画研究部副部長。現在は人生模索中。

   

『死都調布』という漫画をご存知だろうか?

今年発売された漫画で間違いなく一番の問題作。
いや、問題作という呼び方が果たしてあっているのかもわからない。
怪作?奇作?まぁとにかくとんでもない作品である事は間違い無いのだから呼び方なんてどうでもいいだろう。

自分で言うのもなんだが、俺は超王道の漫画から世間ではあまり認知されていないであろう漫画までかなり幅広く読んでいる方だと思う。
そんないっぱしの漫画好きを気取っている俺が『死都調布』を読んだ時に今まで読んできた漫画では感じてこなかった新たな感情が生まれたのである!

それは感動でもなければ興奮でも悲しみでもない。
なんだこれは!
わからないけど「何か」が激しく揺さぶられたのである!
『死都調布』はその「何か」が抜きんでている事だけは確かなのだ!

その「何か」が何なのかを確認するべくこうして紹介記事を書き始めた訳なのだが、一向に掴めない。
とにかく書き進めていけば掴めるかもしれないのでしばしお付き合い願いたい。
(文体がハードボイルドぶってカッコつけてる感じになっているのはご愛嬌という事で見逃してね!)

『死都調布』その魅力

漫画紹介の記事としてはまず最初にあらすじを書くのが定番だろう。

そりゃそうだ。
あらすじがわからなきゃどんな漫画かわからないんだもの。

でも書けないんだなこれが!
無理矢理にでも書こうと思ったら、架空の都市「調布」の住人達に巻き起こる暴力的な群像劇と言ったところか。
(実在する調布ではないと思われる。あまりに俺の知っている調布と違いすぎるから。)

基本的には「CHAPTER.」毎に分けられた断片的な短編が連なって構成されている。
CHAPTER毎に独立した話なのだが、「調布」で巻き起こる話なので繋がっている部分も見受けられる。

単行本の帯の裏に書いてあるあらすじ的なものにはこう書いてある。

 

指を発砲した女、蛇をタコスにして食う男、タクシー運転手を罵る女、熱狂のカルト集団、地獄の番犬、火を噴く骸骨……そう、ここは死都調布…血と暴力の景色……

引用:斎藤 潤一郎/リイド社『死都調布』帯

 

どうです!?
なんかよく分からないけど、でもめちゃくちゃカッコ良さそうで面白そうなのは伝わるでしょ!?

ちなみにこのあらすじ的なものに書かれている人等はちゃんと出てきます。

例を挙げるとすれば火を噴く骸骨。
CHAPTER.5「IN THE DOGG SOUP」に出てくるのですが、これはまんま火を噴く骸骨です。
ただ、なぜ火を噴く骸骨が生まれたかと言うと、義理の父にレイプされそうな麻里と言う女の子は自分の身に危険が迫る前に自室で首吊り自殺をします。
何も知らずに麻里を犯そうと部屋に入ってきた義父を首吊り直後なぜか唐突に骸骨になった麻里が焼き払います。
火を噴く骸骨と化した麻里はそのまま調布に繰り出し街を炎で焼き尽くします。
骸骨と化した麻里はその後、犬を引き連れた全裸の女と対峙するところで話は終わります。
文字で読むとめちゃくちゃ不条理なようですが、この話を最初から読めばさほど不条理な感じはしません。

あと、個人的に最高なのはタクシー運転手を罵る女ですね。
本編とはあまり関係なく、2コマしか出てきませんがなぜかノーパンであそこ丸出しという強烈なインパクト!
でも絶対忘れられないシーンとなっているので是非読んで確かめて頂きたい。

って事であらすじはひとまず置いといて俺が思う『死都調布』の魅力を語らせてもらおう。

何から何までとにかくカッコイイんだよ!!!

とにかく作品中に漂う空気がカッコいい!!

まず装丁!
カバーは無し!
カラーではあるけど、一般的な漫画の単行本のカバーを外した状態だと思ってもらっていい。

そして表紙!
作者の名前もなく二台の車の絵の下に筆文字でデカデカと『死都調布』と書かれているのみ!
大きめな帯にはタイトルである死都調布の下にこれまた筆文字で「これがC-TOWNスタイルだ 覚えとけ…!!」と!

ね?
媚びずにこの突き放す感じ、めちゃカッコ良くないすか!?
多分この表紙をカッコいいと思える人なら中身はもっとハマれると思います。
そして表紙をめくったらいきなり漫画が始まる。
扉絵も目次もなく1ページ目からいきなりですよ!?
これ、意外とありそうでなかった手法ですよね?(勉強不足で割とある手法だったらすみません)

そしていきなり始まる漫画のタイトルが「イン・ザ・クソスープ」
「イン・ザ・クソスープ」は『死都調布』本編ではなく、独立した6ページの短編なのですがこれがもう、単行本一冊として見たときに、導入として最高の役割を果たしている訳ですよ!

精神的にまいっている人を救うために、「ネガティブ探知機」という人間のネガティブな感情が発する脳波に反応する装置を作った男とその元同僚の話。
二人は道を歩いているとトンネル内で泣いている女を見つける。
しかし「ネガティブ探知機」が反応しない。探知機に反応しないという事は大した悩みじゃないんだろうと思っていたらバッテリー切れだった。
すると2人は唐突に「こんな所で泣いていたら気持ち悪いですよお嬢さん」と執拗に歌い出す。
女は「気持ち悪いのはあなたたちの方よ」と言い返す。
女は泣いていた訳ではなく詩を作っていただけだったのだ。
女を無視して2人は踊り続ける。
「人の詩作を見て一体何が楽しいのですか?」というセリフの後に、踊り続ける2人を見ながら女が後ろで笑いながら漫画を描いているシーンで終わる。

「人の詩作を見て一体何が楽しいのか」の後に漫画を描いているシーンがこれから始まる『死都調布』の世界を描いているようで期待が膨らむのです。

……だがダメだ!
俺の文章力じゃどうやってもあの世界観を少しも表現できない……!
漫画なので当たり前だけど、文章だけでは伝えることができない表現が大部分を占めているのでこればっかりは読んでくれとしか言いようがないです。

とはいえ、短編のあらすじを書き出すことはそう難しくないはずなんです。
でも上手く説明できない!面白いのに!台詞回しも構図も全てがカッコいいのに!
この説明できなさを、「シュールな世界観」だとか、「〇〇監督の映画の様な雰囲気」とか「いわゆるガロ系」って逃げ道みたいな言葉で表現したくないんですよ!

あと、『死都調布』は俗に言う「ガロ系」と評される事が多いみたいですがそんな安直な例えは、「ガロ系」と言われる先生達にも、作者の斎藤潤一郎先生にも、双方に失礼な気がしたんです。
これはどちらが優れているかとかそんな低レベルな話ではなくて!
(「ガロ系」がイマイチわからなかった方はググってね!)

じゃあ自分なりにどう面白かったのか表現しろって言われたら前述の通り「何か」よくわからない感情が揺さぶられたって事なんです。
まぁ結局その「何か」は何なのかわからずじまいでしたけど。
長々と俺の独り言みたいなものにここまでお付き合い頂いた皆さんには是非読んで頂きたい。

肝心の内容にほとんど触れていないので作品紹介としての体をなしていない気もしますが、かしこまった言葉で「ここがこう面白かったです」と書くより伝わる様な気がしたんです。
『死都調布』あなたの「何か」を動かす作品かもしれませんし、全く動かさないかもしれません!

無理矢理まとめ

作品紹介ってよりはただただ俺の個人的な作品評になってしまいましたね……。

伝わったかどうかわかりませんが、かなり人を選ぶ漫画です。
俺はめちゃくちゃ好きですけど、サッパリな人にはとことんサッパリだと思います。
今の世の中、漫画に限らず家族で楽しめるような良質な作品が増えています。
それ自体はとても素晴らしい事だと思います。
しかしその反面、強烈にハマる人とサッパリな人がハッキリと別れるこんな作品もたまにはあった方がいいと思うんです!

漫画とはこうあるべきだ!
と考えてしまいがちな俺のような自称漫画好きにも読んでもらいたいですし(恐らく面食らうので)、個人的にはこの作品は先入観なく、漫画をあまり読んでいない人にも読んでもらいたいです。

つらつらと書いてきましたが、おそらく俺はこの漫画の事をしっかりとは分かっちゃいないと思います。
この漫画についてキチンと語れる人は作者の斎藤潤一郎先生と、極一部の強烈に斎藤先生と感性が合う人だけだと思います。

ただ!漫画なんだから面白かったらいいんですよ!
俺は面白いと感じたからこうして書かせてもらいました!

では最後に俺が一発でつかまれた部分、『死都調布』CHAPTER.1「指」から、冒頭のモノローグを。

 

「俺の地元の飲み会では乾杯する前にまず全員の小便を鍋に入れ回し飲みする 自慢じゃねえが俺は生まれてこの方ずっと夢心地でいる…これがC-TOWNスタイルだ覚えとけ…!!」

引用: 斎藤潤一郎/リイド社『死都調布』11頁

 

はぁ〜カッコいい!!なんだよこのセンス!!
このモノローグに少しでも「何か」が反応した人は必ず読んでみてください!
責任は取りませんけど!

 

俺の地元の飲み会では乾杯する前に
まず全員の小便を鍋に入れ回し飲みする
自慢じゃねえが俺は生まれてこの方ずっと夢心地でいる…
これがC−TOWNスタイルだ、覚えとけ……!!

指を発砲した女、蛇をタコスにして食う男、タクシー運転手を罵る女、狂熱のカルト集団、地獄の番犬、火を吹く骸骨。
そう、ここは死都調布…血と暴力の景色……

サグシティ調布で捲き起こるスーパードープなハードボイルドストーリー。

「ジャパニーズコミック史上、最高にして最悪の傑作」と、連載時から驚きと絶賛の嵐を巻き起こした話題作。

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