『週刊少年ジャンプ』からは、その時代を象徴すると言っても過言ではない国民的人気作品が次々と生まれてきました。
今回は2018年10月時点で累計発行部数1,700万部を突破し、今後日本を代表する少年漫画作品になるであろう『僕のヒーローアカデミア』が描く正義の形について考えていきます。
『僕のヒーローアカデミア』の紹介
本作は2014年から『週刊少年ジャンプ』にて連載を開始した、堀越耕平による漫画作品です。
2016年にはテレビアニメ化も果たし、2018年の4月からは3期目が放送されるほどの大人気!
アニメ映画も2018年に公開されており、日本でも観客動員数100万人突破の大ヒット!
本作はアメリカでも高い人気を誇り、北米で公開された日本のアニメ映画作品として、歴代興行収入TOP10入りを果たすなどの世界的な大ヒットを記録しています。
物語は“個性”と呼ばれる超常能力を持つ人の割合が8割を超える社会となった日本が舞台です。
主人公の緑谷出久(みどりや いずく)は超常能力で人々を救うヒーローに憧れていました。
しかし、出久は個性を持たないことがわかり、その夢を断たれてしまいます。
そんなある日、誰もが認めるNo1ヒーロー・オールマイトと出会うことで個性を譲渡されます。
そしてヒーロー育成学校である雄英高校のヒーロー科へと進学し、仲間達と共に成長していく姿を描いた作品です。
完璧なヒーロー・オールマイト
本作でも重要な役割を果たすのが、誰もが憧れるNo1ヒーローであるオールマイトの存在です。
“ワン・フォー・オール”と呼ばれる個性を武器に活躍しています。
これは筋肉などを増強させて身体能力を大幅にあげるという、とてもシンプルでわかりやすく、だからこそ対策の難しい強力な個性です。
そしてオールマイト自身も快活で笑顔の似合うヒーローとして描かれています。
現場に登場する際の『私が来た』というセリフには、不安な状況下にいる被害者を励ます意味も強く、誰もがオールマイトを信頼しています。
あまりにも派手すぎるようにも見える本作のヒーローたちですが、彼らが活躍することによって犯罪の抑止効果もあります。
特にオールマイトの絶大なカリスマ性により、他国と比べても犯罪発生率が格段に低いという描写もあり“平和の象徴”の一面を担っています。
オールマイトなどのプロヒーローたちに共通する、描かれないある一面とは?
では、作中で描かれないオールマイトたちプロヒーローの、ある一面とはなんでしょうか?
それは生活面に関する個人的な描写です。
例えば家族や恋人、友人との関係や趣味や休日の過ごし方などはほとんど描かれません。
オールマイトはヒーローの師匠である志村菜奈(しむら なな)との描写や、ヒーロー時代を支えてくれる友人との交流のシーンはあります。
しかし、ヒーローとなる以前の描写などは現在発売中の20巻までの間では一切出ていません。
これはオールマイトに限らない、プロヒーローに共通する、本作の大きな特徴です。
例外的にプロヒーローであるエンデヴァーは家族の描写がありますが、出久のクラスメイトで、息子の轟焦凍(とどろき しょうと)との親子関係の不和の物語が中心です。
ヒーロー活動を第一に考え家族のことを一切考慮せずにスパルタ式で鍛えていく、ある種の敵のように描かれています。
本作は多くの描写が“ヒーローとして状況ごとにどのように行動するか”ということを中心に描かれており、恋愛などの個人的なことはほとんど描かれていません。
ヒロインの麗日お茶子(うららか おちゃこ)に至っては、出久に淡い恋心を抱いていますが、ヒーローになるためにその気持ちを封印しています。
他作品とヒーローと比較して
ここで他のヒーローが登場する作品を考えてみましょう。
現在映画も大ヒットしている『マーベルコミック』のヒーローは、家族や恋人との向き合い方を中心に、個人的な悩みを抱えているキャラクターもいます。
ヒーローという公的な一面と、ヒーロー活動を離れた個人としての、私的な一面の両方を描いています。
そういった私的な一面を描かない日本の誰もが知るヒーローも存在します。
それは『アンパンマン』です。
アンパンマンは人を助けることに理由を考えません。
ただ困っているから助ける、人々を笑顔にするためにみんなヒーローであり続けます。
そこに見返りなどは全く求めていません。
ヒーロー活動という公的な一面が強調されており、アンパンマン個人の恋愛や将来の悩みなどのような、私的な一面はほぼ描かれません。
本作のヒーローと個人の描きかた
本作も個人の悩みはあまり描かず、ヒーローとしてどうあるべきか?などを中心に描くなど、アンパンマンに近いヒーロー像です。
しかし、個人の事情を一切描かないわけではありません。
例えば出久の母親はあまりにも危険が多いヒーロー活動に反対し、オールマイトにも直接その意思を伝えます。
最後は出久自身の夢を応援しますが、ヒーローではなく、息子を思う母の気持ちが伝わって来る描写でした。
マーベル作品などの比較的対象年齢が高い作品だと、主人公も大人が多く、ヒーロー活動をある種の仕事のように描いている一面もあり、家庭や恋人との関係性など、ライフワークバランスの問題も扱っています。
これは大人も感情移入しやすいでしょう。
一方でアンパンマンは対象年齢が低いため、登場人物も子供のようなキャラクターが多いです。
そして、あまり個人のことは描かず、ヒーローを正義の味方としてみんなのために頑張る存在のように描くことにより、子供にもわかりやすくなっています。
ヒロアカは少年誌ということもあり、ちょうどその中間のような立ち位置です。
単にヒーローを英雄的に描くだけではなく、その危険性や支える家族の苦悩も描いています。
その結果、少年向けとしての爽快感がありながらも、大人にも向けた表現も入れることによって、多くの人に受け入れられやすい作品になっているのではないでしょうか。
まとめ
いかがでしたか?
作中では自らの危険を顧みず、命を賭けた戦闘に首を突っ込んでしまい、大人たちからたしなめられる描写が何度も登場します。
自分の身を後回しにしてしまっても、多くの人のために行動する。私的な事情よりも公的な事情を優先する出久だからこそ、ワン・フォー・オールを継承しました。
そんなヒーロー像の描き方がどう変化するのか、あるいは変わらないのかという点にも注目しながら作品を読むと、新たな発見があるかもしれません。
漫画が描く正義の姿について考察した記事です。
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多くの人間が“個性”という力を持つ。だが、それは必ずしも正義の為の力ではない。しかし、避けられぬ悪が存在する様に、そこには必ず我らヒーローがいる! ん? 私が誰かって? HA―HA―HA―HA―HA! さぁ、始まるぞ少年! 君だけの夢に突き進め! “Plus Ultra”!!
引用元:Comee.net
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