【インタビュー】徹底的にリアルを追求した19世紀イギリスの世界観!『Under the Rose』の作者、船戸明里先生のこだわり

【インタビュー】徹底的にリアルを追求した19世紀イギリスの世界観!『Under the Rose』の作者、船戸明里先生のこだわり
     
元少女漫画大好き芸人。
少女漫画歴22年、生涯で10000冊以上、5000作品以上の少女漫画を読んでいます。
男りぼんっ子です。男目線で少女漫画の魅力を語ります。
   

徹底的にリアルにこだわる理由

田舎: 入念な下調べをしてキッチリと描いているのがとても伝わったのですが、「あそこの描写は失敗したなぁ」みたいなシーンなどもあったりするものですか?

船戸: 結構いっぱいありますよ! 「あのシーンの紅茶の缶の年数を間違えちゃった!」みたいな事はぽつぽつありますね。意外と気づかれないですけど(笑)気づいて欲しいです。気づいたら是非教えてください。

田舎: 紅茶の缶の年数は読者さんは普通気づかないですよ!(笑)

船戸: 大きなところで言うと、ロウランドの屋敷は描き始めた時には何軒かの家を混ぜてモデルにしていたんですが、何年も描き続けていくうちにモデルにする家が1軒に固まってきちゃったんですよ。そうすると今のモデルの家のサイズ的にロウランド一家は兄弟の数が多いので1人に1部屋与えると間取りに収まらなくなってきちゃうんです。

田舎: えー!(笑)でも読んでて全然気づきませんでした……。

船戸: 元々『Under the Rose』の前に描いていた『Honey Rose』は3話で描き切るつもりだったんですけど、それが6話になり最終的に9話になり、『Under the Rose』に繋がっていったので、3話で終わる予定の話だったので屋敷の間取りは細かくは作り込まなかったんですよ。いつか直そうと思ったまま10年以上経ってしまいました(笑)少しずつ修正を入れたりしているんですけど、どうしたものかなぁと今密かに悩んでいる部分ですね。

田舎: そうだったんですね! それを聞いたら読み返して確認してみたくなりました!(笑)

船戸: 探さないでください!(笑)

田舎: お話を伺って、全編に渡ってすごくこだわられていると感じたのですが、その中でも特にこだわって描いたシーンなどはありますか?

船戸: 7巻の最後に出てくる小さいボロ屋を設定するのに1年くらいかけましたね。

田舎: 1年もですか!?

船戸: あの時代のあの場面にありそうな平均的な元漁師の廃屋を調べ上げて間取りも3Dで作ってすごく頑張ったんですよ! けどあの廃屋がリアルだって誰も気づいてくれないんです(笑)誰にも気づいてもらえないので今初めて言いました(笑)褒めてください!(笑)

田舎: めちゃくちゃすごい! それは素直にすごいと思います!(笑)そこまで細かい描写にこだわる理由は読者さんに間違った情報を与えたくないからですか? それとも先生ご自身がやっぱり細かく描きたいという気持ちが大きいのでしょうか?

船戸: んー、両方ですね(笑)趣味の部分もあります。私はリアルな物が好きなんですよ。歴史物だと特に「史実を忠実になぞっても面白くない」「漫画だからリアルじゃなくてもいい」って言われがちなんですけど、私は絶対にリアルな方が面白いと思って描いています。現代の感性に媚びたら歴史ものの意味がないし、リアルに描いた方が当時の空気感や質感を再現できると思いますし、資料があるなら資料に従って表現したいです。

田舎: リアルに描く事によって空気感まで再現する、素晴らしいこだわりだと思います!

連載初期と現在で変わったこと

田舎: 『Honey Rose』を描き始めた時の構想は3話までだった訳ですよね。そこから前日譚の『Under the Rose』を連載するようになった訳ですが『Under the Rose』の今後の展開はもう完全に決まっていますか?

船戸: 『Honey Rose』を描き終わった段階で『Under the Rose』の構想は出来上がっていましたね。私はもともと1話と最終話のシナリオを同時に作るのですが、全体の構成も全部決め終わってしまってから描き出すタイプなので、今描いている『Under the Rose』は流れも結末ももちろん決まっていますね。

田舎: やっぱり結末は決まっているんですね。

船戸: ただ、描いてみると予想外に連載期間が長くなっちゃいましたねぇ(笑)登場人物の数が多すぎたんですね。こんな人数をさばいた経験がなかったので軽く見積もっていました。反省してます。若い頃の体力を維持できていればもっと早く描き終わっていたと思うんですが、一番の計算違いは私自身の老化ですね。この年齢になるのは人生初めてなもので、こんなに体力が無くなって頭と体が動かなくなるなんて知らなかったです。楽しみにしてくれている読者さんをお待たせしてしまい申し訳ない気持ちもありますが、連載期間が伸びて私が年を取ったおかげで良かったこともあるんです。

田舎: 先生自身が年齢を重ねたことで、描ける事の幅も広がったということでしょうか?

船戸: そうですね。30代の頃には描けなかっただろうなって事が今は描けているので。『Under the Rose』を描き始めた時はアーサー・ロウランドよりも歳下だったんですが、アーサーの回想を描いている間にアーサーと同じ歳になって、10巻を描いている時はアンナ・ロウランドと同じ歳でした。昔は自分よりキャラクターが歳上だったので「多分こんな事を考えているんだろうな」っていう想像で描いていた部分もあるんですが、キャラクターと同世代になったことで現実味が増して内面が分かるようになって描きやすくなりましたね。

田舎: 年齢を重ねたことによってキャラの内面がよりわかるようになったんですね。素敵なお話です。『Under the Rose』はたくさんのキャラクターがいますが、どのようにキャラクターを作っていってますか? モデルがいたりしますか?

船戸: 明確なモデルは基本的にはいませんが、私が今まで好きだった映画だったり本だったり色々なものから少しずつ何かはもらっているとは思いますね。『源氏物語』が好きなんですけど、アンナに関してだけ言うと『源氏物語』の葵の上の要素が入っている部分はあります。葵の上は光る君(光源氏)より歳上の妻なんですけど、何を考えているのか最後まで分からなくて冷たい人のままなんですよね。アンナがアーサーより歳上の妻っていう設定は、今思うと葵の上から取ってるかもしれませんね。でも自分の描いているアンナと葵の上を比べたら葵の上にちょっとかなり失礼かなって思っています(笑)

田舎: そんなことないですよ!(笑)

視点を変えて何度も楽しんで欲しい

田舎: これから『Under the Rose』を読む人に「ここに注目して欲しい!」っていうポイントはありますか?

船戸: 実は『Under the Rose』でやりたいことがあるんです。私『アルプスの少女ハイジ』が好きなんですけど、クララの家の執事でハイジの教育係でもあるロッテンマイヤーさんってキャラクターがいるんですよ。子供の時にハイジを見ていた時はロッテンマイヤーさんを「なんて意地悪なおばさんなんだろう」って思っていたんです。

田舎: 僕もそういうイメージがあります。違うんですか?

船戸: 大人になってからロッテンマイヤーさんを見ると、あんなに気の毒で優しい人はいないんですよ。ロッテンマイヤーさんは実は当時の躾の方法としては正しくて間違っていないし、ハイジのためを思って厳しくしているのが大人になってから見るとわかるんです。ロッテンマイヤーさんは子供の時に見た時と大人になってから見た時で全然印象が違うキャラなんですよ。私は『Under the Rose』であれをやりたいんです!

田舎: とても興味深い話ですね! もう少し詳しく聞かせてもらっていいですか?

船戸: 若い時に『Under the Rose』を読んだらライナスと同じ視点で「大人達はクソだな」って読み方をすると思うんですよ。でも大人になって視点を変えたら、アーサーはライナスは引き取らなくていいし優しくする必要もないし、救貧院に送れば良いし、嘘をつき続ける必要もないんですよ。アーサーの覚悟を読者が自分で気づく日が来たら面白いと思うんです。読者さんの年齢や読んだ時の心境によって作品の視点が変わっていってくれたら嬉しいなと思っています。

田舎: なるほど! その視点を持てれば一生楽しめますね!

船戸: 一生楽しんでもらえたら本当に嬉しいですね!(笑)キャラの微妙な表情ひとつも伏線になっていたりするので完結してからも読み返して確認してもらえたらなと。色んな味がすると思うので何度も噛み締めて楽しんで欲しいです。

読者さんに一言

田舎: 最後になりますが、個人的にどうしても先生に伝えたい事があるんですけど、いいですか?

船戸: はい、何でしょう……?

田舎: ロレンス、めちゃくちゃ可愛いですね!

船戸: あはははは! ありがとうございます! どんどん太っていってますけどね!(笑)

田舎: みんながいっぱい甘やかしてますからね(笑)丸々してる感じも可愛いです! 急にすみません、これだけは絶対に伝えておきたくて(笑)それでは改めて最後に読者さんに一言頂いていいですか?

船戸: いつもありがとうございます。私がマイペースすぎるので、無理についてきて欲しいとは言えないんですよね。なので、気が向いたら読んで欲しいなって思います。読んでくれた方の暇つぶしになれたら嬉しいです。たまには思い出して欲しいですね(笑)

田舎: 船戸明里先生ありがとうございました!

船戸: ありがとうございました!

まとめ

『Under the Rose』船戸明里先生インタビューいかがだったでしょうか?

船戸先生はとても博識な方で、特に好きな事の知識量には驚かされっぱなしでした!
途中、ゲームの話で盛り上がったのですがゲームの話だけでインタビュー記事が一本書けるくらい熱心に語ってくれました!

 

こんなに素敵なサイン色紙も!感激です!ありがとうございます!

 

このインタビューをさせてもらって帰宅後すぐに『Under the Rose』を読み返したのですが、船戸先生がインタビュー中におっしゃった「読者さんの年齢や読んだ時の心境によって作品の視点が変わっていってくれたら嬉しいなと思っています」の言葉通り、新たな発見がいくつもあり新鮮に楽しめました!

是非インタビューを読んだ後でもう一度『Under the Rose』を読み返してみてください。
もちろん、未読の方にも自信を持ってオススメできる作品です!

 

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19世紀英国。没落貴族である侯爵家の娘・グレースは愛人のロウランド宅で謎の死を遂げた。彼女の息子ライナスとロレンスは実父・ロウランド伯爵に引き取られるが、ライナスは母の死にロウランド家の人々が関わっていると疑念を抱く。真相を究明しようとするライナスの孤独な闘いが始まった。

©船戸明里/幻冬舎コミックス
引用元:Comee.net

 

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