『響〜小説家になる方法〜』が描く小説家に対するイメージを使った天才作家の描き方とは?

『響〜小説家になる方法〜』が描く小説家に対するイメージを使った天才作家の描き方とは?
     

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皆さんは小説を読まれますか?

近年、若者の活字離れが叫ばれています。ライトノベルやなろう系小説は読むけれど純文学作品は……という方もいるかもしれません。

今回は一般小説の世界を舞台とした作品『響〜小説家になる方法〜』から、小説家に対するイメージなどを探っていきます。

『響〜小説家になる方法〜』の紹介

本作は柳本光晴さんが小学館から発行されている「ビックコミックスペリオール」にて、2014年11月から2018年11月現在も連載している作品です。

主人公の鮎喰響(あくいひびき)は文学が大好きな女子高校生です。

文芸雑誌の「木蓮編集部」に応募要項を無視した新人賞応募作を送り、本来は審査すらされずに弾かれるはずでした。
しかし、編集部に勤める花井ふみがその中身を読んだところ、その出来に興奮し新人賞候補に入れます。
そしてその圧倒的な才能を感じさせる作品によって、文芸界が大きく変化していく様子を描いています。

本作は2018年に欅坂46に所属する人気アイドル・平手友梨奈が初主演を果たし実写映画化しています。
響の存在感のある様を見事に演じており、高い評価を獲得しました。

天才小説家のイメージとは?

本作の主人公、響は多くの作家や編集者が憧れや嫉妬を抱くほどの才能がある少女です。
他人に褒められると照れてしまうなどの可愛らしい一面とは別に、その言動はバイオレンスなものも多いです。

響が入学した高校は部活に入ることが強制されており、文芸部は不良のたまり場となっていました。
響は文芸部として活動をすべくその不良生徒達を追い出そうとしますが、不良は響に威圧的な態度をとります。
しかし、それに怯むどころか、躊躇なく指の骨を折るという暴力行為に及びます。

他にも自分を罵倒した小説家を格闘技のように蹴り倒したり、パイプ椅子で殴るなどの暴力行為を躊躇なく行います。
そして相手が誰であろうと本音をぶつけ、時には暴言を吐いてしまいます。

暴力は別としても、この破天荒な態度は、おそらく多くの方が“天才小説家”に抱くものではないでしょうか?
太宰治や芥川龍之介などの文豪に対するイメージとして、破滅的な性格を思い浮かべる方も多いでしょう。
例えば、太宰は雑誌で当時の文壇で大きな権威を持っていた志賀直哉を罵倒し大喧嘩、さらには借金を重ね、さらに未遂も含めて何度も自殺を試みる現代で言うところの”お騒がせタレント”のような一面があります。

響の行動はこれらの天才作家たちの破天荒なイメージを連想させます。

書いた作品が一切登場しない本作

本作のような創作をテーマにした漫画作品は他にも多くあります。
例えば漫画家を描いた漫画としては『まんが道』や『バクマン』などの人気作も多いです。
そのような創作を描くまんがでは、登場人物がどのような作品を描いたのか、ということを示すために魅力的な作中作を登場させている作品もあります。

作中では響の作品は一切登場しません。
おそらく純文学に分類される作品だろうと想像はできますが、物語のテーマは何か? どのような出だしで始まるのか? などという作品の内容に関する疑問は解消されません。

それでは作品を一切出さないで響の天才性をどのように表現しているのでしょうか?
本作はバイオレンスな描写や破天荒な様子、あるいは小説家たちが打ちのめされる様子を描くことで、響がいかに力のある存在かということを描いていきます。

つまり“作品”ではなく“作者”を描くことにより、物語が動いています。
その結果、小説という上手い下手の表現が難しいメディアを題材にしながらも、文学に馴染みがない人であっても状況がわかりやすく、ストーリーを楽しむことができる効果を発揮しています。

まとめ

いかがでしたか?

『響〜小説家になる方法〜』は「マンガ大賞2017」で大賞に輝くなど、多くの方に高い評価を受けている作品です。

本作を読んでから小説の世界に興味を持ち、有名な作家の代表作を読んでみる、というのもいいのではないでしょうか?

 

とある文芸編集部の新人賞宛に送りつけられた、直筆の投稿原稿。
編集部員の花井は、応募条件を満たさず、
ゴミ箱に捨てられていたその原稿を偶然見つける。
封を開けると、これまで出会ったことのない
革新的な内容の小説であった。
作者の名は、鮎喰響。連絡先は書いていない・・・

引用元:Comee.net

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