平成のちびまる子ちゃん『岡崎に捧ぐ』 90年代ゲームキッズ達を郷愁へと誘う友情物語

平成のちびまる子ちゃん『岡崎に捧ぐ』 90年代ゲームキッズ達を郷愁へと誘う友情物語
     

サブカルクソ研究者。
英文学・言語学・メディア記号論を専攻。
新聞社を退職後、翻訳補助を通じて総合文化研究に携わるも、中の人がどオタクであった為に、研究対象は漫画、アニメ、ゲーム等に限られる。Twitter→@semiotics_labo

   

最近では珍しくなくなった、ネット発の漫画の書籍化。
今から4年前、時代に先駆けてプロデビューされた漫画家さんが居ます。

2014年にコンテンツ投稿サービス・noteで1000万PVを集め、翌年からビッグコミックスペリオールで連載される事となった『岡崎に捧ぐ』の作者・山本さほ氏です。

 

 

あの糸井重里氏にも高く評価された『岡崎に捧ぐ』は、作者が学生時代を過ごした90年代を、スーパーファミコン、たまごっち、プレイステーションなどのヒットアイテムと共に振り返る自伝作品であり、同じ時代を共有した20代~30代の読者を郷愁のど真ん中に叩き込みました。

今回は、脳天からつま先までゲームに浸かったガチゲーマーの筆者が、30代を代表してこの漫画の見所をご紹介します。

 

『岡崎に捧ぐ』のご紹介

ゲームが繋いだ山本さんと岡崎さんの友情

 

私きっと、山本さんの人生の脇役として産まれてきたんだと思う。

引用:山本さほ/小学館『岡崎に捧ぐ』1巻18頁

 

『岡崎に捧ぐ』は、自分は人生の脇役と語る岡崎さんを漫画の主人公にし、もう1人の主人公である作者・山本さんの視点を通じて、2人の小学校からの友情の思い出が綴られていきます。

1巻 小学校時代
2巻 中学校時代
3巻 高校時代
4巻 美大浪人生時代
5巻 OL時代

と、山本さんと岡崎さんの成長に合わせて時代も進行し、少しずつ乖離していく「あの頃」を懐かしむという、ちょっぴり切ない内容にもなっています。

 

 

クラスで一番暗かった岡崎さんと、活発で人気者の山本さんを繋いだのは、岡崎さんの家にあったスーパーファミコンでした。

ハイテクな電子機器が一般家庭にも当たり前のように普及していた90年代、TVゲームはコミュニケーションツールとして成立しており、全国の小中学生はゲームを自由に遊べる家に自然と集まり、そこで現代っ子同士の友情を築いていました。
ゲームの上手い子が人気者になり、クラス内のカースト制度が逆転するなんて話もよく聞く話で、つい最近も『大乱闘スマッシュブラザーズ』の最弱キャラ・プリンを誰よりも上手く扱う最強の不登校生徒のエピソードが共感を集めました。

 

プリン師匠とスマブラ
https://twitter.com/i/moments/1007249026926854144

 

 

2人の友情を繋いだゲーム部屋では、

『マリオペイント』
『MOTHER2』
『かまいたちの夜』

などなど、懐かしの名作ゲームが登場し、かつてのゲームキッズ達を丸ごと、各々が遊んでいた空間へと連れて行きます。

山本さんと岡崎さんのゲーム体験が、そっくりそのままゲームに慣れ親しんだ読者の追体験となっているのがポイントでして、総プレイ時間に従って思い出も濃くなりますから、ネット上で最もディープなオタク層から順番にノスタルジーを刺激され、やられていく人が続出しました。

 

 

 

ゲーム漫画の先駆者・鈴木みそ氏からも、『ちびまる子ちゃん』を初めて読んだ時と同じくらいの感動があったと評されたこの漫画。
山本さんと岡崎さんを触媒に90年代を追体験する切り口は、まるちゃんとたまちゃんを昭和の標本とした同作品と似ており、まさしく平成のちびまる子ちゃんと呼ぶべき作品です。

アマチュア時代を経てプロデビュー

 

 

 

作者・山本さほ氏はアマチュア時代、サホスツーカヤマ™というハンドルネームでnoteやTwitterに漫画を投稿されていました。

『岡崎に捧ぐ』にも登場する同級生の杉ちゃんから、「山本さんは才能がある」「山本さんは漫画を描いた方がいい」と言われて描き始めたのだそうで、その時に題材に選んだのが、結婚が決まった岡崎さんとの思い出の日々でした。

もともとは結婚式のサプライズ用に漫画を制作されていたとの事ですが、ネットにアップすると凄まじい反響を呼んだのはご承知の通り。
前述の鈴木みそ氏に「ファミ通は彼女に連載させるべき」と言われた半年後に、『無慈悲な8bit』で本当にファミ通への連載が決まるなど、プロデビューへの階段をとんとん拍子で駆け上がていきます。

 

杉ちゃんが推した「山本さんの才能」は、

・ゲーム部屋に侵入してくる岡崎家の妹を『パックマン』のお邪魔キャラに例える
(『岡崎に捧ぐ』 第7話)

・人ゴミをスクロール回避型シューティングゲームに例える
(ひまつぶしまんが vol.1)

・カップルの痴話喧嘩→車破壊を『ストⅡ』のボーナスステージに例える
(『無慈悲な8bit』 第3話)

と、ゲーマーならつい笑ってしまうような、物事を的確に例える観察眼に表れていて、そうそう、さくらももこのエッセイ集がこんな感じだったと納得。

 

引用元:Comee.net

『岡崎に捧ぐ』の4巻では、それまで主人公だった山本さんの「脇役」に回った挫折が描かれますが、それでも人生の主人公として接してくる岡崎さんや、才能があると言い続けてくれた杉ちゃんに支えられ、この漫画をきっかけに念願が叶いプロの漫画家になります。

親友・岡崎さんへの感謝の気持ちが込められた『岡崎に捧ぐ』。

まだ読んだ事の無い人には、本当にお勧めしたい一作です。
作者のデビューまでの経緯を知った上で全5巻を読むと、また格別です。

まとめ

『岡崎に捧ぐ』のお勧め紹介、いかがでしたか。

山本さんと岡崎さんの友情を描いたこの作品は、5巻で完結を迎え、あまりに広まりすぎてサプライズには失敗しましたが、岡崎さんは無事に結婚式を迎えました。

作者は結婚式に着ていくドレスが無かったそうで、自前のスーツで参加する事に。

 

 

ギリースーツ(FPSの御用達)やんけ。

 

マジでこれ着ていったそうです。

嘘じゃろ…?

 

山本さんと岡崎さんの2人の友情が永遠に続きますように。
ゲーマーの筆者よりご祈念申し上げます。

 

2014年にWEB上で公開され始められるや、各界著名人の称賛を浴びるなど瞬く間に話題を呼び、短期でページ1000万ビューを記録した人気エッセイ漫画がついに単行本化!!

作者・山本さほさんが、実際の幼馴染み・岡崎さんとのちょっと特殊な友情を描いた“超プライベート”なふたりの歴史。
出会いは小学生時代の1990年代。スーパーファミコン、たまごっち、プレイステーション……懐かしいたくさんのゲームやおもちゃ、笑いと涙のエピソードが、私たちみんなが持つ普遍的な記憶を呼び起こします!

「新しい世代の『ちびまる子ちゃん』」だと評す人もいる注目作、ぜひご一読ください!!

引用元:Comee.net

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