こんにちは。
元漫画家、高橋えのぐです。
今回は漫画アプリ『Palcy』で大人気連載中の『嫌いになります、佐山くん!』の作者・七都サマコ先生にお話を伺ってきました。
なんとインタビューを受けるのは初めてだとか!
同世代でオタク趣味も合い、とても楽しくお話してきました!
七都サマコ
2014年に『月刊Gファンタジー』にて特別読切「井の中のヴァンパイア」でデビュー。
同誌にて『Dance with Devils -Blight-』、『そのアイドル吸血鬼につき』を連載後、現在は講談社の運営する漫画アプリ『Palcy』にて『嫌いになります、佐山くん!』を連載中。
『嫌いになります、佐山くん!』とは? 誕生秘話から1巻発売まで!
きっかけは「担当さんが好きなもの描きたい」
高橋: 本日は2月13日に発売される『嫌いになります、佐山くん!』について色々伺えればと思います。よろしくお願いいたします!
七都: よろしくお願いします。
高橋: 早速ですが、『佐山くん』(『嫌いになります、佐山くん!』)はどういった構想から始まったんですか?
七都: もともと担当編集さんが私の描くものを好きでいてくださっていて、「担当さんが好きなものを描きたい」と思ったのがきっかけです。
高橋: 担当さんがメインターゲットなんですね!(笑)
七都: あとは、以前Webで描いてややバズりしてライトノベルが出ているシリーズがあるんですけど、それが“年下男子×年上女子”だったんです。ただ、その作品ではやれることは全部やったと思ったので、似たようなキャラ配置で、全然違う作品をやってみたくて。そこから“年下男子×年上女子”の設定で別のストーリーを考えました。
高橋: なるほど。ヒーローの佐山くんが主人公の若菜ちゃんに嫌われたがるという少し変わった設定ですが、その理由はまだ判明していませんよね。この理由は最終回まで隠していくんでしょうか? それともそろそろ……?
©七都サマコ/講談社・pixiv
七都: 多分出始めてきますね。バックボーンがちょこちょこ出てくるかなとは思っています。
高橋: もうデレデレですもんね。
七都: デレデレですね(笑) 私は結構早くデレさせたくなっちゃって、2話くらいの時点で「もうデレさせたいなー」とか担当さんに言ってたんですけど、「早い! 耐えて!」って返されました(笑)
高橋: 私も七都先生派です! 恋愛物って、最終回でくっつくみたいなパターンあるじゃないですか。あれ、もったいない気がするんですよ。くっついた後が美味しいのに! って。
七都: あはは(笑)
大量描き下ろし! 見所たくさんの『嫌いになります、佐山くん!』1巻
高橋: ちなみに1巻の見どころはありますか?
七都: …………。
高橋: …………。
七都: あ、担当さんからはカバーが可愛いって褒めてもらいました!(笑) それです!
高橋: たしかに可愛いです!(笑) ピンク色が目をひきますね。こだわりポイントとかはありますか?
七都: 表紙のイラストは、一回別の構図で線画を描いて提出していたんですけど、ボツにして全部描き直しました。
©七都サマコ/講談社・pixiv
高橋: どうしてボツになったんですか?
七都: ボツになった線画は佐山くんが右側にいるんですけど、タイトルの佐山くんの文字は左側にあるので……そうなった時に佐山くんは左側にいたほうがいいのでは?ってなって。
高橋: 反転する事もできたのに……?
七都: 描いちゃいました。このボツになった線画はもったいないので他のところで出すかもしれないですね。
高橋: では、1巻の中での物語での、注目してほしいポイントとかってあったりしますか?
七都: 最初の方は佐山くんが本当に若菜に興味無さそうなんですけど、徐々にぐらついていく様子を見ていただきたいです。 あと描き下ろしで、初めて佐山くん視点の漫画がつきます!
高橋: おぉ~!!
七都: そこもお楽しみに、という感じです!(笑)
高橋: ちなみに描き下ろしは何ページくらいあるんですか?
七都: 14ページ描きました。
高橋: めちゃくちゃ描いてるじゃないですか!
七都: 佐山くんの心の声とかも初めて出るので。
高橋: 楽しみです! 男子側のモノローグ!
七都: 女子進行の中に急に入る男子視点がめちゃめちゃ好きなんです! 連載が始まる頃にも、「コミックス描き下ろしで佐山くん視点やりたいね」みたいな事は言っていたので。
高橋: 最初から考えられていたんですね!
七都: そうですね。でも、いざネーム描く時に、やりたかった気持ちが強すぎてうまくできなくて難航しました。凄い悶えてほしかったので(笑) 結果的にはなんとかいい感じにできたと思います!
高橋: 楽しみです! 単行本発売にあたって、今のご心境は?
七都: やっと、っていうのがありますかね。連載開始が去年の4月だったので……10ヶ月近くかかってしまいました。ただ、昨今の紙の本を出すのが難しい状況の中、こうして出させていただけるのは本当にありがたいなっていう気持ちです。
高橋: ぜひたくさんの方の手にとってもらいたいですね。
七都: 電子ももちろんありがたいんですけど、紙だと、帯とのバイカラー感も凄い可愛いので紙もいいんじゃないかな! って。
高橋: 描き下ろし14ページって、やっぱり買う気になりますよね。
七都: ほんとですか?
高橋: 14ページも読めるってすごく購買意欲に繋がると思います。
七都: よかったです。あ、あと、ちょこちょこ作画修正もしてます。
高橋: おお!?
七都: もうちょっとカッコ良くできるんじゃないかなってカットは、カッコ良くしてます。
高橋: 買います。保存用も買います!
七都: 女神様だ……(笑)
可愛いヒロインと2人のイケメン! 制作の裏話
先生のタイプは……めんどくさい男?
高橋: 魅力的な男性2人が出てくる『佐山くん』ですが、先生はどんな男性キャラクターがお好きなんですか?
七都: 私、“めんどくさキャラ”にハマる癖があるんですよ。
高橋: “めんどくさキャラ”! 例えばどんなキャラが? 『薄桜鬼』の同人活動をやられてたとの事ですが、どのキャラが好きだったんですか?
七都: 沖田さんです。ちょっとめんどくさいキャラですね。「斬っちゃうよ?」とかいう……。
高橋: ちょっとSっ気があるキャラが好きなんですね。
七都: そうですそうです。前は、自分の好きなキャラ傾向を「こう!」ってぱっと言えなかったんです。でも知り合いに「人には2種類いて、新撰組で、土方にいく人と沖田にいく人がいる」って言われた事があって。
高橋: うわー! それ凄くわかります!
七都: 私、どの作品でも新撰組が出てくると沖田派だったんですよ。すっごい納得して、確かに「この作品は土方だけどこっちは沖田」っていう人あんまりいないんですよね。
高橋: たしかに! 私も土方さんじゃなく沖田ばかり好きになります……すごい分析ですね……。佐山くんにも先生の好みが入っているんですか?
七都: やや入ってますね。佐山くんは連載が進むごとにめんどくさい男になってきてるので……。
高橋: 確かに(笑)
七都: ただめちゃめちゃストレートなキャラも好きなので……。
高橋: 津田くんですか?
七都: そうです。そこは津田くんに出てますね。津田くんはすごい人気あります。
高橋: わかります! 人気が出るポジションですよね。
七都: 津田くんが人気になればなるほど「佐山くんも頑張れ!」って。
高橋: 先生はどちらのキャラクターがお気に入りなんですか?
七都: どっちも楽しいですね。ただやっぱり……「佐山くんもちゃんと人気が出てほしい!」という……(笑)
©七都サマコ/講談社・pixiv
高橋: やっぱり佐山くんを軸に描いていきたいと……。
七都: うーん……そうですねぇ……でも津田くんもかっこよく、良い男に描きたいですね。
高橋: もし佐山くんが勝つとして、津田くんにも相手の女の子とか出ちゃったりするんですかね……?
七都: いや、なにも考えてないですね。どうですか? そういう漫画好きですか?
高橋: どうなんでしょう……。
七都: なんか、そういう展開になっても、平気な漫画とダメな漫画がありますよね。
高橋: 確かに……これは難しくて答えが出せないですね……!(笑) では質問を変えますね、先生の考える、佐山くん津田くんの良いところを教えてください。
七都: 津田くんは良い男です。裏とか無いんだと思います。佐山くんが裏まみれなので(笑)
高橋: あはは(笑)そんな佐山くんの良いところは?
七都: わかんない……(笑)
高橋: 勝てないですよ、それじゃあ!(笑)
七都: 庇護欲? 庇護欲そそられませんか? それだけじゃダメかな?(笑) ひどい事をしてるってわかってても、ひどくなりきれない、ちょっと優しくもしちゃう感じとか……まあめんどくさいですね(笑) でも、漫画っぽいキャラではあるかなーと思います。
佐山くんvs津田くん! 予想外の人気キャラ津田くん
高橋: 作品の人気が出てきたって思われたタイミングってありますか?
七都: 津田くんの登場ですね。
©七都サマコ/講談社・pixiv
高橋: 津田くん凄い人気なんですね!
七都: あと、津田くんが登場した事で、佐山くんが動かざるをえない状況になるっていうのもあったのかもしれない……。4話くらいからコメントをいただく量が増えた印象です。
高橋: 津田くんを登場させる時に、「このキャラは人気出るぞー!」って、確信して描かれてたんですか?
七都: いや全然です! むしろ「要らない」って言われるかなって……。
高橋: ええー! 予想に反して大人気じゃないですか!
七都: 担当さんも「人気は出ると思っていたけど、予想以上だった」と話していました。「津田くん、私と付き合おう」みたいなコメントをくださる方もいます。
高橋: 人気投票みたいなのがあったら面白いかもしれないですね。
七都: あんまり差がつかれても!(笑) うま~くいってくれたらいいんですけど……!
高橋: でも、津田くんに負けないよう、これから佐山くんのいい面をどんどん描かれていくって事ですよね。
七都: そうですね、頑張っていきたいです!
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