笑って、泣けて、ためになる子育てエッセイ漫画『ばぶらぶ』の作者、さやえんどう先生にお話を伺ってきました!
子育ての話はもちろんのこと、現在ベトナムに住まれているさやえんどう先生の独自の視点や、海外と日本の文化の違いや次回作の構想までたっぷり盛りだくさんな内容となっております!
【プロフィール情報】
さやえんどう
ベトナム在住の漫画家。
2013年、マンガ・ノベルサービス 『comico』にて『ひっこしマニア』でデビュー。
現在は『comico』にて毎週火曜日に子育てエッセイ漫画『ばぶらぶ』を連載中。
ほのぼのとした優しいタッチと母親なら共感する子育て描写が特徴で、普段漫画を読まない母親層にも受け入れられている。
趣味は筋トレ。
『ばぶらぶ』のこと
デビューまでの道のり
田舎: 今日は『ばぶらぶ』の話をメインに、現在生活されているベトナムでのお話やさやえんどう先生自身のことまで色々お聞かせ願えればなと思います。よろしくお願いします。
さやえんどう: よろしくお願いします。
田舎: 早速ですが、さやえんどう先生は元々エッセイ漫画家を目指されていたんですか?
さやえんどう: もともとはイラストレーターだったんです。ずっとインテリアプランナーになるために勉強していたんですけど、夫が転勤族で一緒にあっちこっちついて行くとなかなか仕事に就けなくて(笑) なので自宅で出来る仕事は無いかなと考えまして。デザインを勉強していて「イラストレーターや漫画家になりたいな」っていう夢があったのでイラストを描き始めて、そこから15年くらいイラストレーターをやっていました。
田舎: そうだったんですね! では絵を仕事にしてから漫画を描き始めるまでに15年くらいの期間があったんですね。
さやえんどう: そうですね。なので漫画のノウハウがあんまり無いんですよ(笑)
田舎: あはは! 実際に漫画家としてデビューされたのはいつ頃ですか?
さやえんどう: 『comico』さんに声をかけて頂いた5年前からですね。それまでも趣味では漫画を描いていました。10年前に不妊治療をしていたんですけど、その体験があまりにも衝撃的すぎて、自分の中で昇華したくなって、当時やっていたブログに日記みたいな感じで1日1本、4コマ漫画を描いて載せていましたね。トータル200本くらいアップしたと思います。それが始まりです。
田舎: 1日1本って、けっこうがっつり漫画も描かれていたんですね! 絵を描くのは昔から好きだったんですか?
さやえんどう: 逆に子どもの頃から絵を描くこと以外の全てが苦手で(笑) 運動なんて本当に何にもできなかったですね。描くことは大好きで漫画家になりたいっていう夢もあったんですけど、周りが凄すぎて自分には無理だなって思って早々に諦めてしまっていた部分もあります。
田舎: 周囲にすごい方がいらっしゃったということですか?
さやえんどう: そうなんです。中学の同級生が16歳で某有名少年漫画雑誌の担当さんが付いたり、高校の同級生が某有名ゲームのキャラクターデザインを手がけていたり。
田舎: えー! それはすごいですね!
さやえんどう: そんな凄い人達を目の当たりにしてきたので「あー、私は凡人だな」って思ってたんです。なので日々イラストをチマチマと描いて生活していました(笑)
田舎: でも今は漫画家になるという夢が叶った訳ですね。
さやえんどう: はい。本当にありがたいですね。時間はかかりましたけど(笑)
共同作業!?『ばぶらぶ』のネタ作り
田舎: さやえんどう先生は『ひっこしマニア』も『ばぶらぶ』も、ひとつのテーマでエッセイ漫画を描かれていますが、昔からエピソードやネタはストックされていたんですか?
さやえんどう: 『ばぶらぶ』に関して言えば「昔の私、偉いな!」って思うんですけど、息子の瑛太が産まれてからずっと絵日記をつけていたんですよ!
田舎: うわーそれは助かりますね!
さやえんどう: 赤ちゃんって生命そのものじゃないですか。もう本当に日々の変化が面白くて! これは記録しておかないともったいないと思って、絵に一言ずつ添えて日記にしていたんです。その時に書き連ねていたものが漫画の基になっていますね。
田舎: 素敵ですね! じゃあネタには困らないですね。
さやえんどう: でも、その日記は3歳までしか書いていないんです(笑) なので今は記憶を頼りにビデオや写真を見て思い出しながら描いている部分もあります。あと、ラッキーなことに本人にネタを提供してもらう事もあります。
田舎: えっ!? 小さい頃のことも覚えていらっしゃるんですか?
さやえんどう: 4歳、5歳くらいの記憶はあるみたいで、「この時どう思った?」とか聞きながら作っているところもあります。手伝ってくれているんでお小遣いあげなきゃですね(笑)
田舎: あはは! 原作料みたいなものですね(笑)
すべてのお母さん達への表彰状
田舎: 連載から4年以上経っていると思うのですが、今まで描いてきた中で1番お気に入りのエピソードはありますか?
さやえんどう: エピソードではないんですがあります。29話と30話の間に休載漫画を挿れて頂いているんですけど、そこで子育てをしているお母さん達へ表彰状を送る漫画を描いたんです。「妊娠の不安から出産の痛みも乗り越えて、産まれて来た新たな生命を一生懸命に育てているすべてのお母さんに表彰状を贈ります」っていう内容なんですけども。私の言いたい事は全部そこに凝縮されています。
©さやえんどう/comico
(http://www.comico.jp/detail.nhn?titleNo=4410&articleNo=30)
田舎: ……これは刺さりますね!!
さやえんどう: ありがとうございます(笑) 多分これって子育てを経験した方みんなが感じている事だと思うんですね。それを私がたまたま表現しちゃっただけなのかなって思っています。
田舎: 僕は男ですけど、少しですが子育てに携わったこともあるので、本当にすごく同感ですし感激しました!
さやえんどう: 生命を育てる事はビジネスのキャリアに繋がる事もなく、社会的地位が向上する訳でもないけれど本当に大変な作業で、でも未来そのものを創造するものすごく価値がある仕事だと私は思っているんですね。でも世間からはそう思われていない部分もあるじゃないですか。世の中のお母さん達は生命を育てるという一大ミッションをこなしている訳ですから、世の中に対してもっと胸を張って頑張って欲しいなっていう願いを込めて描きました。
田舎: 本当にそうですよね。このお母さん達への表彰状を読んでより一層そう思えました。
ファンの方からのメッセージ、大事なコメント欄
田舎: 僕、『ばぶらぶ』の中ですごく大好きなフレーズがあるんですよ。「単調だけど昨日と同じじゃない毎日。もったいなくて目が離せません。」っていう部分なんですけども。
さやえんどう: うわー! ありがとうございます!
田舎: 僕の母親もこう思っていてくれていたのかなって思うと心が温かくなりました。
さやえんどう: それは嬉しいですね。読者さんには若い方も結構いらっしゃって、「自分もこんな風に大事に育ててもらったんだなと思うと、親に感謝したくなりました。」という内容のコメントをたまに頂いた時には、描いていてよかったなぁととても励まされます。なので今の田舎さんの感想もとても嬉しいです。
田舎: こちらこそ、温かい気持ちにさせてくださってありがとうございます!(笑) 僕、『ばぶらぶ』は毎回読み終わった後にコメント欄を読むのも好きなんですよ。すごく共感できるコメントを見つけて嬉しくなったり。
さやえんどう: 私もコメント欄を読むの凄く好きです! 『ばぶらぶ』は読者さん同士でコメントしあって勉強している部分もあるんだと思います。私も読者さんのコメントで凄く勉強になることがありますね。
田舎: 先生自身の勉強にもなるんですか?
さやえんどう: なりますなります! 何気無いコメントから色々と気づくこともありますし、現役の保育士さんがコメントを書き込んでくれたりもするので。「書籍化してください!」っていうコメントをたまに頂くんですけど、その中に「コメント欄も一緒に!」って言ってくださる方もいるくらいなんですよ。
田舎: それは素敵ですね! 他にも特に嬉しかったコメントはありますか?
さやえんどう: コメントは本当にありがたいものばかりなのでどんなものでも嬉しいですね。中でも書籍化を望んでくれている声、それも「育児書にしたい」って言って頂けるのがすごく嬉しいです!
田舎: それは僕も思いました! 僕の妹は子どもが3人いるんですけど、妹にプレゼントしたいなって。妹はあんまり漫画を読まないタイプなんですけど、『ばぶらぶ』なら共感して読んでくれるかなって思います。
さやえんどう: ありがとうございます。育児書にしたいっていうのは本当に凄く嬉しいですね。『ばぶらぶ』が少しでも誰かのお役に立つことができればこんなに嬉しいことはありません。
▶︎Page.2:気になる『ばぶらぶ』の今後の展開とベトナム生活についてのお話は次ページ!