【インタビュー】正反対だけど、相性バッチリ!? 『改造公務員リーパーズ』の作者、田中先生と井上先生とお話を聞いてきました!

【インタビュー】正反対だけど、相性バッチリ!? 『改造公務員リーパーズ』の作者、田中先生と井上先生とお話を聞いてきました!
     

よしもと漫画研究部部長。
漫画、映画、ボードゲームをこよなく愛する帰国子女。
いつか漫画に囲まれた部屋に住んで漫画の風呂入って漫画で歯を磨きたいです。

   

はじめまして!
吉川きっちょむと申します。

今回はマンガアプリ『マガポケ』にて『改造公務員リーパーズ』を連載されていた田中鹿輔先生(原作)と井上菜摘先生(作画)にお話を聞かせてもらいました!

『改造公務員リーパーズ』は『マガポケ』での連載は終わり、現在は『ジャンプルーキー!』にて続編を、田中先生が原作・作画を担当しながら連載されています。

前作である『心因性メンタルマーメイド』から一緒に連載されてきたお二人。
『改造公務員リーパーズ』を中心にお二人のことなど、色々とお話を伺ってきました!

 

田中鹿輔(しかすけ)
2017年マンガ雑誌アプリ『マンガボックス』にて『心因性メンタルマーメイド』で原作デビュー。
その後、マンガアプリ『マガポケ』(講談社)にて『改造公務員リーパーズ』連載。
『改造公務員リーパーズ』の第二部をマンガ投稿サービス『ジャンプルーキー!』にて連載中。
動物が好きで猫を4匹飼っている。

 

井上菜摘
2014年『週刊少年マガジン』にて『阿部のいる町』で作画デビュー。
ウェブコミック配信サイト『Champion タップ!」にて『ウチにテレビはありません』、マンガ雑誌アプリ『マンガボックス』にて『心因性メンタルマーメイド』を連載後、マンガアプリ『マガポケ』にて『改造公務員リーパーズ』連載。
現在は、2019年2月から『コミックバンチ』にて『突撃!社食で男子』、2019年3月から漫画アクションにて『天泣のキルロガー』、を並行連載中。

『改造公務員リーパーズ』誕生秘話

敏腕編集さんによるマッチング

吉川: 本日は『改造公務員リーパーズ』についてお二人に色々伺えればと思います。よろしくお願いします。

井上: よろしくお願いします。

田中: よろしくお願いします。

吉川: お二人は『心因性メンタルマーメイド』からコンビを組まれていますよね? どういった経緯で一緒にお仕事をされることになったんですか?

井上: 私達の担当編集さんが同じで、『心因性メンタルマーメイド』(講談社)のときに「一緒に組んだらどうか」ってことで紹介されました。

田中: そうですね。それでまた『改造公務員リーパーズ』でも一緒にやることになりました。

吉川: 前作に続いて一緒にお仕事をされたということは相性が良かったんですね! 原作と作画で役割分担して作品を作られるときって、直接当人同士でやり取りする場合と、間に担当編集が入って会わせない、みたいな場合があると聞いたことがあるのですが、

田中: 会わせない(笑)

吉川: そういう場合があるということを聞いたことがあるんです(笑)

井上: 主張が激しい人同士の場合は担当さんが間に入って、落とし所をつけて進めていく感じなんですかね。私達は特に仲が悪いとかってわけじゃないんですけど、お互い信頼していて「好きにお願いします」っていうスタンスだったので。

田中: そうですね、特にモメることもなかったですよね。

井上: ね!(笑) 逆に直接会う必要もそこまでないかなって感じで、間に担当さんが入ってくれていました。

吉川: 確かにお二人とも「こんな作画しやがって!」とか「原作ちゃんとしろ!」みたいなことは絶対に言わなさそうですよね。

井上: 全くなかったですね(笑)

吉川: 二人を組ませたのは担当さんが敏腕だったんですね! 「絶対マッチングする」と思って。

井上: たしかに。年齢も同じですしね。

田中: そうなんです、同い年なんですよ。

吉川: そうだったんですね。同じ時代を生きていると感覚を共有できたりもしますし、結構大事なポイントですよね。

胃を痛めながら全力でキャッチーな「ロリババァ」を考えた

吉川: 『改造公務員リーパーズ』は序盤は、外見が幼女で中身はピリッと渋い最強のロリババァ・エミリィが敵を圧倒して説教していく、といった内容でしたが、どんどんディープにヒーロー社会の闇と救われない人々に焦点が当たっていきますよね。どういったところからお話作りをされているんですか?

田中: 若干……、日々ムカついたこととかの私情を挟んであります……。

 

一同: (爆笑)

 

吉川: だいぶ日々ムカついてますね!(笑) お話は十年以上構想していたというツイートを拝見しましたが。

田中: そうですね。

吉川: 長い間あたためていた作品だったんですね。そして、ロリババァに思いの丈をいろいろ言わせるぞ、と。

田中: 実はロリババァというキャラはあくまでキャッチーな気持ちで作ったんです。本当は第一部の最終話あたりから描いていこうとしたんです。でも話が暗すぎるから通らないということで、7話目あたりまでは胃を痛めながら全力でキャッチーに考えました(笑)

 

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

井上: もともとはもうちょっと一般向けではなくてニッチな設定の漫画だったのを、一般向けに入り口だけ変えたって聞きました。

田中: そうなんです、入り口だけ。

吉川: 確かに序盤と後半では全然話のテイストも変わってきますもんね。キャラクターのデザインは井上先生に完全にお任せしていたんでしょうか?

井上: 田中先生にネームを描いていただいてそれを私が下描きに起こすんですけど、ネームを受け取ったときにはすでにキャラの髪型とか服装とかが下描き並みに分かりやすく、且つ細かいところまで描いていただいていたので、私はほぼその通りに絵にするっていう感じでしたね。

田中: いつもすごくいい感じにしてくださいました。

吉川: 画面の構図とか決めゴマの演出とかすごくかっこいいなって思ったんですけど、それもネームの段階から?

井上: もうバッチリでした!(笑)

田中: でもかなりいい感じに仕上げてくれてます(笑)

吉川: 田中先生はネームの段階ですでにかなり仕上げてるということですが、それでもやはり作画の方についてもらいたかったんですか?

田中: 自分でちゃんと仕上げて描くとなるとすごく時間がかかっちゃうんですよね。だからそこに精神力がかなり奪われちゃう。

吉川: かなり重労働なんですね。現在連載されている、第二部は田中先生お一人で作画もされていらっしゃいますよね。絵のテイストがそこまで大きく変わってないように思ったんですけど、それはいままでもネームの段階から結構仕上げていたからだったんですね。

井上: えぇ、えぇ、そうなんです!ほんとそこまで描いてるんです田中先生は。

吉川: ということは、もしかして今の第二部で公開してる絵のレベルで第一部のネームを切ってたってことですか?

井上: でも、ほぼそうですよね?

田中: いや……そんなことは……(笑)

吉川: すごくないですか?ネームですよ?

井上: だからいつもすごいなって思っていて!

田中: 間に合わない時とかは若干、棒人間になっていました。(笑)

吉川: えー! むしろそれが普通じゃないですか? ネームの話ですよね? ネームって編集の人とかしか見ないからギリギリ伝わるレベルでざざっと描いたものってイメージでした。

田中: どういうネームでも、私が表現したいことを井上先生がさらにすごくいい形にしてくれていました。

井上: そう思ってもらえていたらならよかったです。

実はアレ、『アンパンマン』のオマージュなんです

吉川: 漫画内に小ネタみたいなユーモアが散りばめられているのがいいなと思っていて、気になったところいくつか聞いていいですか?

田中: はい。

吉川: まず、工藤という嫌味だけどどこか憎めない人間味溢れるリーパーズの社員が出てきますが、このキャラってもしかして「クドクド」としつこいところから工藤なんですか?

田中: そうです。(即答)

井上: えー! そうなんですか!?

吉川: 工藤が喋っている時に「クドクド」って書かれていたのでもしかしてと思ったらまさかの(笑)

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

田中: そんな感じで決めました(笑)

吉川: あと、エミリィが抜き取った亀の心臓を握り潰すシーンを、週刊誌で「ハートキャッチロリババア」というキャッチフレーズで叩かれているのは笑いました。

 

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

田中: あれは元ネタがあって、アニメなどで心臓を抜き出した描写をよくネットで「ハートキャッチ」ってイジられてるんですよ。

吉川: そうだったんですね! 魔法少女っぽいロリ感で心臓を鷲掴みなんで、プリキュアいじりで上手いなーと唸ってました。

田中: そうですね、王道部分を描いていると自分のなかで耐えられないものがあって、ふざけないと、って。

井上: あはは(笑) じゃあそういう部分で少しふざけて、ユーモアで発散してるんですね。

田中: そうですね。上手く王道が描けないんですよね。

吉川: たしかに、正義とかヒーローという部分では王道ですけど、実は社会の違和感とか一般人の様子をよく描いていて、シリアスな世界観だなっていうのは思いました。井上先生は田中先生に内緒で作画の際に遊び心入れてるところはあったんですか?

井上: えー、なかったですねー。やればよかったです!(笑)

吉川: 白薔薇が亡くなるときに血がバラの形に飛んでてかっこいいなーて思ったんですけど、あれは井上先生が?

 

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

井上: あれもネームの段階からですよね?

田中: あんまりグロいとこ描いちゃいけないから、可愛げみたいな。

井上: どうしても生々しくなるシーンですもんね。

吉川: でもエミリィは自分の腕ちぎってぶん投げたりしてましたよね?(笑)

田中: アレは……実はアンパンマンのオマージュなんです。

 

一同:えー!!!

 

井上: そうだったんですか!?

吉川: そういえばアンパンマンも自分の頭を食べ物として分け与えたり、頭を投げられて交換するようなヒーローでしたね!(笑)

井上: なるほど~!

吉川: アンパンマンもそうなんですけど、そういう世に溢れるヒーローものとの差別化はされてるんでしょうか?

田中: わりと社会構造的な話になっていくのでそこは他の作品と違うかなと思ってます。

吉川: たしかにあまり見ないかもしれません。最近のヒーロー作品だと、ヒーローのあり方みたいな描き方が増えてますよね。昔はヒーローは絶対的なもので疑われることもなかったのに、最近ではヒーロー本人にフォーカスされて、ヒーローにも悩みがあったり、日常的な部分とか見せたりして。

田中: 実は「天体戦士サンレッド」(スクウェア・エニックス)とか大好きなんです。他にも松本大洋さんの「ナンバーファイブ 吾」(小学館)とか。

井上: この漫画ってヒーローはヒーローなんですけど、ヒーローがかっこいいからこそ、どうしようもできない救えないものの怖さっていうのがすごい浮き立っていて。どっちかというと私は正義もすごい納得できるしいいなって思ったんですけど、その裏で救えなかったりするものの方がすごく心に残ってます。

田中: そうですね、そっちの方を大事にしたくて、描きたかったテーマではありますね。

井上: すごくグサッときたんですよね、正義と救えなかった人たちが対局で際立っているなと思って。

田中: それでいうと実は工藤が好きで。ああなっちゃうのはああなっちゃうなりの理由があるんです。

吉川: 弱さからですもんね、工藤も。すぐにお腹壊しちゃいますし。(笑)

お二人について

繊細な表情まで汲み取ってくれた井上先生

吉川: ズバリ、田中先生から見る井上先生の魅力ってなんでしょう?

田中: 恐ろしい社交力持っているところです。

井上: いえいえそんなことはないです(笑)

田中: 人にどんどん話しかけていけるのはすごいです。

井上: この漫画業界って両極端な気がして、家でずっと描いているタイプとめちゃくちゃアクティブなタイプと。中間はあまりいないんですよね。たぶん私は社交の方のタイプではあるかもしれないです。

田中: 私はひきこもりタイプですね。

吉川: お互いのバランスをうまく補い合って、それが作品に出てるのかもしれないですね。

田中: しかもすごい速さであのクオリティで描いてくださって。本当にすごいです。

井上: いやいや! ほんとに遅くて……。

吉川: 第一部は週刊連載だったわけですけど、お互いどういう時間配分になっていたんですか?

田中: わりとネームは先行していたので作画のスケジュールをきつきつにしてはいなかったと思います。

井上: はい。ネームを待ったことはないですね。

田中: 一応一週間に1本は描くようにはして、それをきっちりキレイに描いてもらってました。

吉川: 1話分作画するのにどれくらい時間かかったんですか?

井上: 1話12、3ページくらいなので、週に2日お休みはいただいて、5日くらいですかね。

田中: ほんとすごくよく描いてもらってました。

井上: 田中先生のネームがしっかりしていたので、この作品に関しては私のカラーっていうよりはそれに乗っかる形でした。

田中: 作画を人に任せたときに繊細な表情を汲み取ってくれないんじゃないかと不安だったんですけど、すごくよく描いてくれて嬉しかったです。

井上: ありがとうございます!

吉川: お話を聞いていると田中先生が本当に読み取ってほしい部分を井上先生がバッチリ分かっているのがやっぱり伝わりました。

井上: はい、なんか読む度にグサっときて。

吉川: 実は読んでいて、元々友人の二人が描いてるのかなと思うくらいに違和感なかったんですよね。それはやはり前作の『心因性メンタルマーメイド』でも一緒にやってたからお互いよく分かってた部分があったんでしょうか。

井上: そうですね、それはあるかもしれないです。

みんながちゃんと意識しないところをつくのが上手い田中先生

吉川: 今度は逆に井上先生から見た田中先生の魅力とは何でしょう?

井上: 今回のリーパーズでもそうなんですけど、「あー世の中ってそうだな」とは思っていたけど、ちゃんと言葉として出していなかったというか、ちゃんと見てなかった部分が表せてるのがすごいなって。読んで、「あ、そうだよな」ってことがすごくて。当たり前のことだけどみんながちゃんと意識しないところをつくのが上手いなと思いました。

田中: ありがとうございます。

吉川: 白黒はっきりついてないグレーゾーンの言語化がすごいですよね。

井上: はい、その言葉選びもすごいなって。

吉川: エミリィの言葉も刺さりますけど、逆に周りの力を持ってない人たちとか、工藤とか白薔薇とか。

井上: 市民の反応も特に。

吉川: 亀を倒したエミリィの評判を落とすために工藤がネットで意見操作した結果、エミリィが週刊誌で叩かれて、直接エミリィの活躍を目の前で見た人たちまでその意見に流されていってしまうシーンはすごくいいですよね。

 

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

井上: まさにそこです! 意見が変わっちゃうんですよ! そこ恐ろしいですよね! でもよくあるっていうか。

吉川: 外から見てたら気持ち悪いなっていうところでも、当事者だったらありそうだなと思わされます。

井上: 結構あるあるだなって。

吉川: 幼少期の記憶なんかは僕の中ではそうで、自分でははっきり覚えてなくて親からそう言われたからその記憶で定着してる、みたいな。親が言うんだからそうなんだろう、と。

井上: 人の記憶なんて他人の言葉で結構変わっちゃうもんなんですよね。人の意見に流されて情報操作されてたりフィルターかかっちゃったりとか。その気味悪さが漫画で表現されててすごいなーと思います。

吉川: 大衆に流されるなよ、みたいな裏メッセージがあるのかなって思いました。

田中: なんか、性格の悪さがにじみ出てますよね(苦笑)

吉川: いやいやいやそんなことないです!(笑) 実際、一般の人がマインドコントロールされているような描写は、いまの社会を見て何か注意喚起みたいなものも……?

田中: そこらへんの部分は実はまだこれから描いていこうかなーと。

吉川: めちゃめちゃ気になります! もう最後までの構想ってできてるんですか?

田中: そうですね、だいたい話作るときは最後から先にできてます。

吉川: いま第二部でいろいろやっと繋がってきたという感じなので最後まで読むのが楽しみです。

好きなキャラクター・シーン

吉川: お二人が一番好きなキャラクターっていますか? 描いてて楽しいとか。

田中: なんだかんだエミリィは好きかもしれないですね。あ、でも工藤も結構好きです。

井上: 私も実は工藤が一番好きかもしれない。(笑)

吉川: えー! 二人とも!(笑) やっぱりあの人間味のあるところがいいんでしょうか?それとも井上先生の場合は絵的に男性の方が得意とか?

井上: 絵的な部分でいうと性別はそこまで差はないんですけど、表情として、かっこいい表情よりは怒ってたり最悪なこと考えてたりしているときの方が気持ちが乗っかりやすいので描きやすいです。

吉川: 小さい頃描く絵ってかっこよく・可愛く描くところから始めるじゃないですか。それがどんどん技術が上がって行くうちに微妙な表情を描けるようになっていって。それが読者の方にとっても魅力になっていきますよね。

田中: (すごく頷いている)

吉川: 田中先生すごく頷かれてますが、やっぱり苦しそうな表情とか感情を露わにするところとか好きなところなんですか?

田中: そうですね、やっぱり工藤の表情すごくよかったです。

吉川: 工藤好きの田中先生からしたら、「この顔この顔~!」みたいな。

田中: ですね(笑)

吉川: 読者の方からは工藤は人気ありました?

田中: いやー、たぶん全然逆で。

井上: そうですよねー! 全然人気なイメージはないですよね。

田中: 多分エミリィが人気です。あとシザープリンスとか。電子コミック出すときに「おまけ漫画」を誰にするかでTwitterでアンケート取ってみたんですけど、エミリィが断トツでした。意外だったのが、石田一星と工藤がトントンだったことです。

吉川: それは面白いですね(笑) ちなみにお二人の一番好きなシーンはあったりしますか?

井上: 私はシザープリンスの本心が出るシーンが好きで、亀相手に「鋏撃演舞(きょうげきえんぶ)」で戦うとき、参(さん)以降全部同じで、「やってられるかバカ野郎」って言ってハサミ投げるシーンがとっても好きです。

 

©『改造公務員リーパーズ』田中鹿輔/井上菜摘/ナンバーナイン

 

田中: あー、良かった。

吉川: 3巻のおまけ漫画でエミリィに鋏撃演舞の参以降の技が同じって見破られて喜んでたのおもしろかったですよね。田中先生はどうでしょう?

田中: 白薔薇が自害するシーンとか、第一部の最後とか。どっちかというと暗いところのほうが好きですね。

吉川: なるほど。読者側も印象深いシーンですね。

舞台設定に関する知られざる情報

エミリィがロリなのは性能重視の強化パーツを使っているから

吉川: この漫画の舞台が2070年なので、エミリィって1990年生まれの80歳ってことになりますけど、もしかして田中先生自身も1990年あたりの生まれですか?

田中: だいたい(笑)

吉川: この年齢の設定っていうのは読者とか田中先生自身が感情移入しやすいようにってことなんでしょうか?

田中: うーん、ただエミリィに感情移入しやすいかっていうとそういうキャラでもないような気がするんですけど。

吉川: たしかに、圧倒的に強いので読者に寄り添う感じでもないですよね(笑) それではなぜ2070年だったんでしょうか?

田中: あんまり未来すぎても科学技術が違う感じになってるでしょうし、やりようが難しいかなという感じで。

吉川: なるほど、技術的な意味合いからの近未来設定だったんですね。技術的なことでいうと、「笹井システム」っていう、体が危険になったときに脳をスリープさせて守るっていうのは他で聞いたことがないのでオリジナルだと思うんですけど、どう思いついたんですか?

田中: 脳だけ生きてたらなんとかなるのかなーという感じでざっくりとした科学です(笑)

吉川: 笹井っていう名前は由来があるんですか?

田中: 前に描いた違う読み切りでそういう名前の博士を出したことがあって、使っとこうみたいな。

吉川: じゃあ知ってる人はクスっとしちゃいますね。

田中: いえ、その読み切りは表に出してないやつなので誰も知らないんです。(笑)

井上: 担当さんだけが「あの笹井使ってきましたねー」ってなっていたわけですね(笑)

吉川: 知らなかったプチ情報がどんどん出てきますね! エミリィがまだ改造人間じゃなかった頃、2020年に東京が壊滅するまで警察にいたとのことですが、今後そういったエミリィの過去っていうのは描かれるのでしょうか?

田中: ちょいちょいそのあたりは今後描きたいなと思ってます。

吉川: それは楽しみですね! エミリィの正義に対する思いやその背景がどう語られるのかがすごく気になっています。

田中: そうですねー、昔はもっと鬼のようだったという感じで。

吉川: 今よりも鬼なんですね! なんで警察だった人がロリになったのかってところも気になってます。

井上: たしかに!(笑)

吉川: やっぱり視聴率をとるために幼女枠でやるためなんでしょうか?

田中: いま第二部で最新でやっているあたりでちょうど描くか描かないかってところなんですけど、一番の理由はいろんなものって小型化すると性能がいいってことあるじゃないですか。一番性能が良くてピーキーな強化パーツを使っているのがエミリィなんです。

吉川: なるほど、確かにガンダムとか巨大ロボを作るのは現実的に部品が負荷に耐えられないから不可能って話は聞いたことありますね。小さい方がいいっていうのはあるかも。

田中: エミリィは一番苦しい道をいくために多分自ら。

吉川: 圧倒的すぎますねエミリィは。エミリィって本名の設定ってあるんですか?

田中: あります。

吉川: さすがに本名ストベリーじゃないですもんね! 名前も「えみり」ってわけじゃないですよね?

田中: 「えみり」ではないですね。じゃあ、それは後のお楽しみということで。

吉川: 知れる時を楽しみにしています!(笑)

何年経っても読み返したくなるようなものにしたい

吉川: 作品全体からメッセージ性の強さを感じるんですが、特に読者に伝えたい、感じてほしい部分ってありますか? 例えば正義を問うようなエミリィのセリフで「どうかお前達一人一人の…屹立した正義を示しておくれ」みたいな。

田中: あれは強いエミリィの意見であって、結局はうまくいってないと思いますし、「強く生きられる人もいるし、そうじゃない人もいるんだよ」っていうのを伝えたいですね。

吉川: 確かにそのセリフのあとも全員賛同して感化されるわけじゃないというのがリアルだなって思いました。読者の方にはどういうふうに思ってもらえたらゴールだなっていうのはあるんですか?

田中: 何年経っても読み返したくなるようなものになればいいなって思いますね。

吉川: 実際にただのヒーローものじゃないような難しいテーマを扱っているので、何周も読んで新たな発見をしたくみたくなるっていうのはあると思います。
第二部の今後の見どころを聞いてもいいですか?

田中: 一応、主人公だから一星ですかね。

吉川: え?主人公、一星だったんですか?

田中: そうですね、本当はそうだったんです。ただキャッチーさが足りないみたいだったからエミリィを主人公に立てたんです。

吉川: あー! じゃあ当初から本当の主人公は一星だったんですね! すごい! これはいいこと聞きました! 今後は一星に注目してきたいと思います。

今後の活動と読者の方へのメッセージ

二人に次回作があるとしたら

吉川: 前作『心因性メンタルマーメイド』はスクールカーストの闇、今度は『改造公務員リーパーズ』ではヒーロー社会の闇を描いてきていますが、もし次も二人でやるならどういうことやっていきたいですか?

田中: また何かの闇ですかねー。

井上: 私もやっぱりかっこいいとかかわいい表情よりは闇のある表情を描くのが好きなので、お話もそういうのが。キャラクターの闇を深いところまでついた感じが好きですね。

吉川: 井上先生は雰囲気やお話させていただくとほわほわした日常コメディとか似合いそうですけど、人間の心理とか闇、表情を描くことがお好きなんですね。

井上: 作画でつくって考えると結構重めの作品の方が合う気はします。あとは日常的なコメディだと画力がそこまで求められないので、もう自分で描いてしまう人が多いっていうのもありますね。

吉川: そういう意味では二人とも闇を描くので相性はいいのかもしれませんね。次はどんな闇がくるのか……。

田中: 実はホラーとか描きたいんですよね。

吉川: ホラー! いいですね!

田中: 夜にずっと描きながら怖い話の朗読とか聞いて作業していて、もう聞きすぎてだいぶネタ切れしたくらいです。

吉川: そんなに聞いてたら身の回りで変なことって起きたりしないんですか?

田中: 一個くらいあるかなって考えてみましたけどなんにもないですね。だいたい恨み言って理不尽じゃないですか、なんでそんなことで私が恨まれなきゃいけないんだって気持ちになっちゃうし、私きっと霊にも好かれない……(笑)

吉川: どういう判断ですか!(笑)

読者に向けたメッセージ

吉川: 最後に読者に向けてメッセージをお願いします。

井上: みんな結構エミリィがかっこいいというところに目がいってしまうしまうと思うんですけど、その周りの一般市民の考えにもグサッとくるものがあると思うので注目してほしいです。

田中: 結構読者の方から応援のお手紙をいただいたりして、そういうのに支えられたりしたなっていうのがあるので大変ありがたいと思っていて、これからもそんなに器用なことはできないとは思うんですけど、自分のできることで楽しんでもらえるように頑張って描いていきたいなと思っています。

まとめ

田中鹿輔先生と井上菜摘先生のインタビュー、いかがだったでしょうか。

田中先生は真面目でシリアスな面とユーモラスな面を併せ持った大変面白い方で、井上先生もほのぼのしてるように見えて物事の表と裏をしっかり見据えたリアリストで、素晴らしいタッグでした。
(田中先生のポケモンGO健康法とか、井上先生の社員食堂のイケメンの話は泣く泣くカットしました……。)

お話を聞くうちに思わぬ裏話も聞くことができ、また改めて最初から読み直そうと思いました!

ちなみに『改造公務員リーパーズ』は現在、Kindle限定で99%OFFになっているとのことです!
かなりお得なのでぜひチェックしてみてください!

 

最後には少しお時間をいただきまして、お二方からサイン色紙まで……!

 

 

 

色紙を持って写真を撮らせていただきました!

 

 

2枚を並べて飾らせていただきます!

田中先生、井上先生、本日はありがとうございました!

 

 

長年幼女向けニチアサ(日曜朝)枠を温めてきたロリババアヒーロー「エミリィ・ストロベリィ(御歳80歳)」は、漢気溢れる最強ヒーローでありながらその雑なキャラ作りと説教臭く漢臭いスタンスから幼女達から敬遠されていた!

庶民の生活も頭打ち、公務員化したヒーローは勝って当たり前、閉塞感漂う加須ニューシティ。それでも彼女は今日も人を信じ、己が信念を貫き続ける!

↓試し読みができるサービス↓

※現在Kindleでは99%OFFで購入できます!

 

 

◆田中鹿輔先生の情報

Twitter(@tanakashikasuke 

pixiv

◆井上菜摘先生の情報

Twitter(@natsumi19900325

Instagram

特集・インタビューカテゴリの最新記事