2019年に読みたい漫画『AKIRA』 東京が崩壊するまで残り1年

2019年に読みたい漫画『AKIRA』 東京が崩壊するまで残り1年
     

サブカルクソ研究者。
英文学・言語学・メディア記号論を専攻。
新聞社を退職後、翻訳補助を通じて総合文化研究に携わるも、中の人がどオタクであった為に、研究対象は漫画、アニメ、ゲーム等に限られる。Twitter→@semiotics_labo

   

 

鉄腕アトムの誕生は2003年。
ドラえもんのタイムマシンの発明は2008年。
エヴァンゲリオンの使徒襲来は2015年。

かつて近未来として描かれたサイエンスフィクションの世界は過去となり、その間に訪れた幾度もの世界滅亡の危機を乗り越え、2019年の元旦を無事に迎えました。

 

でももう終わりです。

今度こそ地球はもうダメです。

 

今から37年前、2020年の東京オリンピック招致を的中させた予言者・大友克洋が、その代表作である『AKIRA』において、同じ年に東京で起こる大爆発と首都崩壊を予言しているからです…!

突然こんなこと言ってごめんね、でも本当です。

みんな逃げてー!

伝説のSF漫画『AKIRA』

東京オリンピック前の2019~20年が舞台

引用元:Comee.net

 

はい、という訳で今回は2019年に読みたい漫画『AKIRA』をご紹介していきます。

『AKIRA』は、1982~1990年に週刊ヤングマガジンで連載されていた、おっさん世代なら誰もが知る伝説の大ヒットSF漫画です。
この漫画の舞台は近未来の2019年、冒頭にも書いたように翌年には東京オリンピックが開催される設定になっており、競技会場の建設が進んでいる様子が描かれています。

『AKIRA』の世界では、連載開始時の1982年に首都圏が一度崩壊、そこから新たに日本の首都・ネオ東京として復興を果たしますが、作中の暦の「ネオ東京38年」を「昭和」に直すと昭和38年(1963年)、つまり前回の東京オリンピック(1964年)の前年です。
作者の大友克洋は、昭和のリバイバルとして『AKIRA』を描く意図を持っていたという事でして、皮肉にもそれが昭和の古き良き時代を取り戻したい平成の世の政治家と重なってしまった訳ですね。

作中では東京オリンピックの他にも、暴走族、超能力ブーム、新興宗教、学生運動と、昭和を感じさせる描写が随所に盛り込まれているのですが、それらは後述する大友の圧倒的画力によってSF要素として再生産されている為、古臭さを感じさせず、2019年に追いついた現在の精読にも耐えうるものとなっております。

大友克洋の作品の特徴

引用元:Comee.net

 

大友克洋の作品の特徴は、何と言っても緻密な作画にあります。
頭の中でジオラマの模型を組んで、それを見ながらスケッチしてるんじゃないかと思えるほど、パースの取り方が正確で、なおかつ写実的です。

日本初のマンガ学部が創設された京都精華大学では、大友克洋を「建築家」と評するほど、大友の描いたネオ東京は巨大な建築物として見ても破綻は無く、手塚治虫の時代に描かれた想像上の近未来都市と比べて、荒唐無稽さがありません。

 

なぜそう言えるのか?

 

国立代々木競技場の歴史詳細
https://www.jpnsport.go.jp/yoyogi/sisetu/tabid/278/Default.aspx

作中に登場する新興宗教の総本山である施設は、1964年の東京オリンピック会場だった国立代々木競技場にそっくりに描かれています。
代々木競技場と言えば近代建築(モダニズム)を代表する建物であり、ここに限らず、ネオ東京に再現された建造物はほとんどが高度経済成長期のモダン建築の様式です。

 

 

ですが、2020年のネオ東京オリンピック会場はその影響から外れ、併設されたドーム型スタジアムなどは、新国立競技場のザハ・ハディド氏のデザイン案に近い現代的なデザインとなっているのが分かります。

軍(アーミー)が管理する超能力者のラボ、AKIRA関連の閣議決定を行った国会議場なども脱近代(ポストモダニズム)の様式となっており、ありそうでない近未来感を絶妙に突いています。

つまり大友克洋は、ネオ東京の街並みを描くのに、高度経済成長期のモダン建築とそれ以降の描き分けを行っていたという事に他ならず、昭和のリバイバル描写を遂げる為に、都市空間のデザインや工法まで完全に頭の中に入れていたという事です。
『鉄腕DASH』のTOKIOが、ラーメンを作るのに原料の小麦から作ったり、鉄製品を作るのに反射炉から建てたりするのと同じアプローチです。

 

手塚治虫の時代では、主役はあくまで登場人物であり、その人物を強調する為に輪郭の線を太くし、余計な線の数を減らして描写され、体系化されました。
ですが『AKIRA』では、主役は箱庭となるネオ東京の世界観であり、登場人物はネオ東京の住人として、背景画と同じ線の太さで、顔の陰影や服のしわまで緻密に描かれ、『AKIRA』の世界を構成する一部に組み込まれています。

結局はこれが超能力の少年Aと「大きな力」の意味にも繋がっていて、巨大な舞台装置として描かれたネオ東京を盛大に吹っ飛ばす事で、大人が作り出した世界をぶっ壊したい不良少年の生き方を、俯瞰的に伝えているのでしょう。

2020年、東京が崩壊する

さて、大友克洋の予言では、2020年4月16日に軍事衛星から地上にSOLレーザーが発射され、それから間もなく超能力少年の「力」によって東京は崩壊を迎えます。
なんと我が国では70年代から秘密裏に人体実験を繰り返し、2017~18年頃に軍がレーザー砲を積んだ衛星まで打ち上げていたそうですが、現政権への追及は後回しにして、今は大爆発の日を回避するのに専念しましょう。

3巻の後書きの新聞が伝える「四日」から42日前に崩壊が起こった事と、「夏に毛布の由」の記載から推測されるXデーは、

 

2020年4月23日

もしくは

5月23日。

 

首都高を腕組みしたまま走るバイクの少年を見かけたら、それが終わりの合図です。

程なく大きめの警報が発令されるので気を付けて。

それがやんだら、少しだけ間を置いて終わりが来ます。

となれば、今年から交通違反の取り締まりを強化し、来年の夏までに集団暴走を根こそぎとっ捕まえれば、最悪の未来を回避出来そうですね。
東京に暴走族なる団体が現在でも存続していればの話ですが…。

まとめ

2019年が舞台の『AKIRA』の世界観、いかがでしたか?

大友克洋の作画はもはやアートであり、『攻殻機動隊』の士郎正宗、『20世紀少年』の浦沢直樹、『NARUTO』の岸本斉史など、多くの後進漫画家に影響を与え、2019年の現在まで引き継がれています。

ハリウッドでの実写映画化が企画されているとも伝えられているこの作品、2019年に読みたい漫画の筆頭として挙げておきたいと思います。

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