『中国嫁日記』でお馴染み、テーブルトークRPGデザイナーで漫画家の井上純一さん。
2017年7月にコンテンツ投稿サービス「note」に公開され、瞬く間に人気を集めた漫画が、日本経済をテーマにした『キミのお金はどこに消えるのか』です。
井上純一の新連載『キミのお金はどこに消えるのか?』。日中夫婦で語る『お金の話』です。日本の医療費はどこまで持つのか? 日本の借金は大丈夫なのか? 第一話無料で公開です! https://t.co/4BJnuCzIP9 pic.twitter.com/r324k58mlX
— 井上純一(希有馬) (@KEUMAYA) 2017年7月11日
『インベスターZ』や『M.I.Q』など、金融経済を扱う漫画が注目されている昨今、日本経済を漫画で解説した入門書も多く出ていますが、どの書も経済の専門用語が当然のように出てきますので、詰め込みすぎて分かり難い。
しかし『キミ金』は、テレビの池上彰解説と同様に、
中国嫁・月(ゆえ)さんを聞き役に、
著者の井上さんを解説役に据える事で、
経済書にありがちな分かり難さを払拭し、内容がするすると入ってくるのです。
今回は、面白いくらいに経済が分かる本『キミ金』を、消費税増税が間近に迫った日本国民の皆様にご紹介していきます。
『キミのお金はどこに消えるのか』 のご紹介
リフレ派のマクロ経済入門書
引用元:Comee.net
『キミのお金はどこに消えるのか』を一言で説明しますと、デフレ脱却を唱えるリフレ派(リフレーションの略、緩やかなインフレの意)のマクロ経済政策に注目した漫画です。
監修する飯田泰之(明治大准教授)氏がリフレ派の経済学者なので、この漫画の大枠の主張である「経済はビミョーにインフレの方がいい」も、リフレ派の主張に沿って展開されています。
リフレ派と言えば、安倍晋三総理に金融政策を指南してきた、言い換えればアベノミクスを推進してきた人達でして、シャンパンタワーで説明された「トリクルダウン仮説」を実行に移し、経済指標を改善させた立役者です。
※ただし、安倍総理本人を含めトリクルダウンではないとしています。
景気回復を実感する年に――カギ握る成長戦略の成否
ここで思い出して欲しいのが、日銀による第一次量的金融緩和(2001年)。
小泉元総理の懐刀だった竹中平蔵氏は、構造改革の名のもとに緊縮財政を推進し補正予算の編成を拒んでいましたが、日銀のゼロ金利政策の失敗を受けデフレが進行すると、5兆円規模の大型補正予算を組んで量的緩和に踏み切っています。
安倍政権下で行われた量的緩和(2013年)は、デフレへの処方剤として期待される効果は同じでも、竹中氏とは真逆の、反緊縮(積極)財政の考え方によるものです。
つまり、竹中氏の時は自らの信条に反して失敗の穴埋めを行ったのに対し、リフレ派は初めから財政出動する気まんまんで、国の借金を増やしてでもお金を使うべきだというのが骨子にはあります。
『キミ金』に書かれてある説明は概ねこの積極財政を指しており、なぜ借金が増えても大丈夫かなど、日本経済に関する様々な知識を分かりやすく伝えています。
池上彰解説のような分かりやすさ
日銀の失敗については、『キミのお金はどこに消えるのか』でも触れています。
キミ金セカンドシーズン第3話! キミ金の主張は分かるけど、日本がそれを選択しないのはなんか理由があるんじゃない? というアナタに。いや、明確には答えは出せないデスヨ! だってホントにわけが分からないから…… 毎度の100円です。 https://t.co/7aevuVXS9h pic.twitter.com/LFRkcKKRzW
— 井上純一(希有馬) (@KEUMAYA) 2018年11月12日
失敗の原因は、プラザ合意(1985年)に端を発する円高不況に、日銀総裁が金利引き下げで対応し、企業がお金を借りやすくして経済を回し始めたバブル時代にまで遡り、その後、次の総裁が金利引き上げと総量規制によってバブル熱を冷ますと、日本経済が崩壊して大打撃を受け、貸したお金が返ってこなくなります。
前述のゼロ金利と量的金融緩和は、この流れの中で行われていて、
もう誰が悪くて、誰に責任があるのか、
原因が重なりすぎて説明がややこしくなっている
のを、「失敗」の事実だけを短く伝え、長期のデフレに至った日本の経済政策の明後日さを、たった2ページで聞き役である月さんに分かるように説明しているのです。
#池上彰 さんがやさしく解説するベストセラー!
日経ビジネス人文庫『池上彰のやさしい経済学 1―しくみがわかる―』『池上彰のやさしい経済学 2―ニュースがわかる―』池上彰 著/テレビ東京報道局 編。https://t.co/m9OojAPBlc— 日本経済新聞出版社 (@nikkeipub) 2016年4月3日
実はこれ、池上彰さんが『やさしい経済学』というセミナー本で行っている方法と同じでして、『キミ金』とほぼ同時期に漫画化されています。
アベノミクスのおかげで金融経済政策への関心が高まり、各方面で経済を分かりやすく噛み砕こうとする試みが行われる中、まだ手が付けられていなかった漫画化にいち早く乗り出したのが、池上彰さんと井上純一さん、という訳です。
更に付け加えるなら、池上彰さんの漫画では聞き役が創作の人物であり、池上さんから「良い質問ですね」の決め台詞を引き出す役を演じているに過ぎません。
『キミ金』の場合、井上さんご夫婦は実際にお金で苦労をされてきた(『中国嫁日記』5巻参照)ので、月さんがお金の話題に対して鋭いツッコミを入れるのには物凄く説得力があり、当然ながら読者の理解の促しも違います。
『中国嫁日記』の読者との間に出来た共通解釈を使って、一段上の解説を行うのは流石だなと思いますね。
マクロ経済の入門書としての価値も高い本書。
なぜ今お金の使い方が議論されるのかを知りたい方は必見です。
まとめ
『キミの金はどこに消えるのか』のお勧め紹介、いかがでしたか?
著者の井上純一さんによる分かりやすいマクロ経済の解説は、デフレの今だからこそ財政出動に打って出る重要性を学ぶのにうってつけです。
「経済の話は苦手」という方にお勧めした一冊ですので、本屋で見かけられたら是非とも手に取ってみて下さい。
大ヒットシリーズ『中国嫁日記』の著者・井上純一は、実は経済オタクでもあった!? ある日、円安で中国工場への送金が高くついた、とボヤく井上さんに、愛妻の月さんが「減った分のワタシたちお金、誰が取りマシタカ?」と返します。「こ、答えられない…というか、その発想はなかった!?」と衝撃を受けた井上さん、月さんの「お金に関する素朴な疑問」を題材に連載を始めることになりました。知らなくても生きてはいけるが、知るともっと世の中が面白くなる「お金」の話が弱者切り捨て、高齢化社会、増税、選挙、雇用問題など、誰もが知っている(しかし答えをもっていない)社会問題に絡めて語られます。監修 飯田泰之(明治大学経済学部准教授)
引用元:Comee.net
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